表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
負けヒロイン負けヒロインって言ってるけど勝ちヒロイン確定だから!  作者: パミーン


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

3/59

第3話

 今日はうちのクラスの練習日。球技大会までの昼休みと放課後30分に参加競技の行われる場所で2回練習ができることになっている。


 ゴールデンウィーク前の放課後に1回、明けの昼休みに1回で短い時間だけどその間に仲間の実力や役割を決めようってわけ。


 薫はやっぱりサッカーに参加していた。そして残りの濃山四天王もサッカーに参加したというのを噂で聞いた。当日にならないとどの学年のどのクラスと対決するかは分からない。


 僕としては残りの四天王のいるクラスとは戦いたくない。嫌な予感しかしないから。絶対何か起こると思うんだよなあ。


「おい、晃弘!何ボーッとしてるんだ!?ボールいったぞ!」


 四天王のことを考えていて練習に集中できていなかった。瞬に言われてハッとした僕の目の前にはサッカーボールが転がってきた。


 とりあえず授業で習ったインサイドキックで大木君にパスを回した。うまく蹴れたようで大木君のところに無事ボールが転がっていった。





「ふう、この感じだと結構いいところまでいけるんじゃないか」


 30分の練習が終わり、僕は汗がダラダラだった。元々運動ができるタイプじゃないのと中学は文化部、高校では帰宅部の僕にとってはかなりハードな練習だった。


 そして分かったことがひとつ。僕が完全にお荷物だということ。普通なら女子の方がサッカーとか慣れていないからできなくて男子がリードするってなると思うんだけど、薫を筆頭に女子の方が僕よりも断然にサッカーが上手かった。


 薫の身体能力は女子の中では圧倒的に高い。だから男子と同じくらいに体が動かせる。他の4人の女子も運動部に入っているらしく、それなりについていけている。


 瞬から薫へのサポートを頼まれていたけどそれどころじゃない。自分のことで精一杯だ。


「晃弘、かなりしんどそうだけど大丈夫?」


 そう言いながらスポーツドリンクを差し出してくる薫。


「あ、ありがとう……。正直こんなに体力がないとは思ってなかったよ」


「晃弘はそんなにスポーツが得意じゃないからね。だから無理しなくても大丈夫!私がしっかりサポートするから!」


 いや、それは嬉しいんだけどサポートをするなら瞬にしてあげないと。


「それに四天王には負けたくないんだから!勝つためには晃弘がカギになってくる」


 なるほど、僕がお荷物だということは分かっているからその穴を埋めてくれようとしてるんだね。その上で四天王と戦うことになったら勝つことで瞬とのチームワークを見せつけようってわけか。


 それにしてもいつも弱気な薫なのに、今回は「負けたくない」ってよっぽど気合いが入ってるってことだね。


「晃弘、ゴールデンウィークは暇?」


「大木君と一緒にゲームする予定だよ」


「それって暇ってことだよね?じゃあ球技大会に向けて特訓しよっ!」


「えぇ……。大木君と約束してるしなあ」


「ずっと一日中やるわけじゃないでしょ?それにオンラインゲームでしょ?夜でもできるじゃない」


 あれ?なんで薫が僕がオンラインゲームをやってることを知ってるんだ?少なくとも僕は幼馴染二人には言ってないし、一緒にいるときもやってるところは見せていないんだけどな。


「まあそうだけど、なんで僕がオンラインゲームやってること知ってるの?」


「えっ!?そ、それはなんとなくよ!晃弘の部屋にデカいパソコンあるじゃん!あれってゲーミングパソコンってやつでしょ?それと大木君もオンラインゲームやってるって自己紹介してたじゃない。だからそれでそう思っただけよ」


「そっか、普通ゲームするってなったら家で一緒にゲームする方をイメージすると思ってたけど、確かにゲーミングパソコンとか置いてあるの見てたらそう考えるか」


「そういうこと!だからゴールデンウィーク中は昼間に特訓で夜に大木君とゲームすればいいじゃない」


「でも薫はゴールデンウィーク中部活はないの?」


 薫は中学の時から陸上をやっていて高校でも陸上部に所属している。


「部活がある日は午前中だけだから昼間に特訓って言ったんでしょ!」


 薫は小学校の時ほどではないけどたまに僕に対して当たりが強くなる。瞬には絶対にそんなことはしないんだけどね。


「ああ、そういうことか。ごめん、僕の理解力がなくて」


「あ、ごめん。そういうつもりじゃなかったの。今回はこのチームで勝ちたいって気持ちが強くなっちゃってて……」


 でも最近は当たりが強くなることを自覚したみたいで、こうやって謝ってくれるから別に気にはしていない。


「大丈夫だよ。薫からしたら負けられないよね。特訓して僕も体力つけないとね」


 瞬や薫の足は引っ張りたくない。だから薫の特訓のお誘いは正直ありがたいし好きな人と一緒にいられるから嬉しい。


「じゃあ部活終わったら連絡するから近くの公園で特訓ね!」


 そう言って薫は陸上部の練習場所へと駆けていった。他の面々もそれぞれの部活に向かい、僕と瞬、大木君が残った。


「俺はこのままここで部活が始まるからここまでだな。今日はお疲れ!」


「あのさ、さっき薫からゴールデンウィーク中に球技大会のための特訓に誘われたんだけど、瞬もどう?」


「あー、うちの部活はゴールデンウィーク中は全日練習と遠征があるから無理だわ」


「なんだ?俺とゴールデンウィーク中はひたすら一緒に協力プレイするんじゃなかったのか?」


「そうなんだよ。僕もそのつもりだったんだけど、薫が……狭山さんがこの球技大会に強い想いがあるみたいで特訓につきあうことになっちゃったんだ。だから夜にしかプレイできなくなっちゃった」


「聞き入っていいかどうか迷っていたんだが教えてくれるなら教えてくれ。速水と中西と狭山は一体どういう関係なんだ?」


「俺達三人は幼馴染の関係なんだよ。中学の時はちょっと疎遠になっちまったんだけど、最近はまた絡み出すようになったんだ」


 え?疎遠になったのは僕だけじゃないの?瞬も薫と疎遠になってたってこと?どういうことだろう?


「あー、大体察したわ。中西も大変だし、速水も大変みたいだな。これ以上は詮索しないようにするから。さっき俺も特訓に参加させてもらおうと思ってたけどやめとくわ。じゃあ俺は帰るから速水は夜またな!」


「晃弘、俺、大木とは仲良くしたいわ。今度時間ある時に正式に紹介してくれよ」


「分かった。味方は多い方がいいからね。それじゃあ僕もこれで帰るよ。部活頑張ってね」


 そう言って学校をあとにした。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ