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負けヒロイン負けヒロインって言ってるけど勝ちヒロイン確定だから!  作者: パミーン


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第23話

 朝4時に起き、1時間の勉強を始める。今日は6時にカンジエスに行ってイベント関連の仕事のお手伝いをすることになっている。


 報酬は15,000円。これが今の僕の人工代。ここから経験を積んで一人で現場を任せられるようになったり、有資格者が必要な現場だと人工代が上がっていくらしい。


「今日から仕事ね。無理せずやるのよ」


「うん、まだ6月に入ったばかりだけど、熱中症対策はしっかりするようにって言われてるから気をつけながらやるよ」


 父さんはまだ起きていない。僕がいつもより早く家を出るから母さんが僕に合わせてくれたんだ。


 朝食を摂り、自転車でカンジエスに向かう。到着すると大型トラック1台とワゴン車が1台停まっていた。


「おはようございます!エイチエーサービスの速水です!よろしくお願いします!」


「おはようございます。カンジエスイベント事業部の現場リーダーを任されている瀬川です。これからイベント会場まで移動します。そちらのワゴン車に乗ってください」


 あ、言うのを忘れていたけど、屋号はエイチエーサービス。僕のイニシャルを屋号に入れたんだ。ワゴン車には4人の男性がすでに席についていた。


「おはようございます。エイチエーサービスの速水です。今日からお世話になります。よろしくお願いします」


「よろしく」と声をかけてもらい、今日のイベントに関する情報を共有してもらった。


 今日のイベントは屋外で行われるラーメンフェスのイベントで、カンジエスとしては運営側のテント、机とイス、音響設備の設営をすることになっている。フェス自体は土日の2日間行われるので、今日は設営をして音響の確認などをして終わりみたい。


「ラーメンのイベントで音響とかって関係あるんですか?」


 僕は隣に座った土屋さんという男性に聞いてみた。


「そりゃ必要だよ。音楽をかけて場を盛り上げたり、迷子の案内とかお知らせしたりしないといけないからな」


「なるほど、そうなるとほとんどのイベントでは音響が必要になりますね。電源とかはどうするんですか?」


「パワードミキサーというのを使うんだよ。それがあればケーブルと接続させるだけでスピーカーは使える。あとは配置するスピーカーの距離に応じてケーブルが必要になってくるだけだ」


 こういうのは現場を経験しないと分からないことだね。そう考えると学ぶことはいっぱいあるなあ。


「聞いた話だとまだ高校生なんだって?これからイベント系の仕事をやることになるなら俺と一緒になることは多くなると思うぞ」


「土屋さんはカンジエスの社員さんなんですか?」


「俺も個人事業主で俗にいう一人親方ってやつ。こういうイベント系の仕事をメインにやっているんだ。それでカンジエスさんから依頼を受けてやらせてもらっているって感じだ。特に音響関係は複雑だからよくお声がけいただいてる」


「これから一緒に仕事をしていって僕がイベント関連の仕事をマスターしたら仕事が減ったりしないんですか?」


「こういうのはチームでやるからな。速水君が仕事を独占するってことはないよ。まあ速水君が会社を大きくして人も雇用して何でも任せられるってなったら話は変わってくるだろうけどな」


 師匠は僕に広瀬さん達を雇用してもらいたいと考えている。そうなると広瀬さん達にもこういうイベント系のノウハウを知ってもらわないといけない。でもそれは難しい気がする。僕にイベント系の仕事をやらせようとしている意図は何だろうか?


 土屋さんから音響について話を聞きながら現場に到着。早速テントの設置や机、イスの配置、ゴミステーションの設置などをやった。


「このゴミステーションってすごいですね!こんなの見たことないや」


「ラーメンイベントだとよくあるんだよ。ラーメンはスープがどうしても残ったりするだろ?だからスープ専用の捨てる場所が必要だからこういうのが最近はできてきたんだよ」


 土屋さんとは別の個人事業主の田中さんが説明をしてくれた。今回僕は田中さんと一緒に作業をしている。音響のことは今回は携わらない感じかな?


 お昼休憩を挟むことなく作業を続け、14時くらいに設営は完了した。


「お疲れ様でした!おかげさまで無事設営が完了しました。あとは撤去がありますので、その際はよろしくお願いします」


 僕のスケジュールにはイベントの撤去は入ってなかった。多分夜遅くの作業はさせてもらえないんだと思う。一応個人事業主だから労働時間は関係がないけど、まだ未成年だからそういうのは配慮してもらってるんだろうな。


「速水君お疲れ!さっき話を聞いたけど、速水君はこれから色々やらされるみたいだぞ。だから音響もやることになるかもな。そん時はよろしく!」


「お疲れ様でした。今日仕事をやってみて色んなことに挑戦したいと思いました。また次会うことがありましたらよろしくお願いします」


 帰りの移動で土屋さんから過去に携わったイベントの話を聞き、僕の初日の仕事が終わった。


 と思ったんだけど、そろばん教室を終えて家に帰ってメールを見てみると動画編集の仕事の依頼が来ていた。


 なるほどね、肉体労働をしながら頭を使う仕事もあるってことね。これは確かに体力がないとやっていけない。


 ということでランニングだ!体力をつけてバンバン仕事をしよう!


 ランニングが終わって風呂から出ると、いつもより豪勢な夕食になっていた。


「どうしたの?何かいいことでもあった?」


「何を言ってるの。晃弘の初仕事だったんだから今日みたいな日は豪勢にしないとね」


「ありがとう、仕事を頑張ってよかったって思えたよ」


 いただきますと三人揃えて言いながら夕食を食べ始めた。


「今日の初仕事、どうだったんだ?」


「イベント会場の設営で備品の配置がメインだったよ。皆さん丁寧に色んなことを教えてくれたよ」


「宮田社長の会社はイベント関連の仕事をバンバンやっているからな。そういうのがメインになるのかもしれないな」


「でも次の土日は清掃の応援になっているんだよね」


「社長はどうやって仕事を取って来るんだろうな……」


 父さんは遠い目をしていた。


「お父さん、宮田社長と自分を比べちゃだめよ。お父さんはお父さんで営業でしっかり成績残してるでしょ」


「それはそうだけど、全然ジャンルが違う仕事も取れるのがすごいってなってしまうんだよ」


「それに清掃の仕事は師匠が取ったとは限らないよ。他にも営業さんはいるだろうしさ」


「まあ、それは確かにそうだな」


 そんなことを話しながら両親は僕の初仕事を労ってくれた。

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