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負けヒロイン負けヒロインって言ってるけど勝ちヒロイン確定だから!  作者: パミーン


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第21話

「よし!今日はここまでだな!じゃあこっからはおしゃべりといこうぜ!」


 22時になったので今日の勉強会は終わり。お待ちかねと言わんばかりに瞬のテンションが上がっている。


 その時だった。猫の出入口からツキがやってきた。


「うおぉ!子猫いるじゃん!新しく猫飼ったのか?」


「晃弘が拾ってきたんだって。しかも三匹も」


「マジかよ……。ホントは俺がミケを引き取りたかったのにな」


「ニャー」


 鳴きながら瞬にスリスリするツキ。


「なあ晃弘、一匹譲ってくんねえか?」


「そう言いそうな気がした。ダメだよ。もう三匹ともうちの家族だからね」


「こんなかわいいのがあと二匹もいるのかよー。羨ましいぜ」


「瞬の家はまだ動物飼えないの?」


「ああ、親父が動物ダメだからって結局ミケの時から何も変わってねえよ」


「飼ってみれば良さが分かるのにね」


 実際うちもミケが来た時、父さんは難色を示していたんだ。ところが今は一緒に寝る仲にまでなってるんだからね。


「他の二匹も見せてくれよ?」


「いいよ、ちょっと待っててね」


 僕は一階に降りてモンとタマを連れて部屋に戻った。


「はははっ!やっぱ飼い主に似るってのは本当だな!」


「そうだね。晃弘っぽいよね!」


 うんうん、いい感じじゃない。二人きりだと何を話せばいいか分からないって言ってたけど大丈夫じゃん。


「ほら、連れてきたよ。こっちがモンでこっちがタマだよ」


「あー、猫に埋もれて生活してえー」


 瞬は終始三匹にメロメロ状態だった。元々ミケを拾った時も拾おうと言い出したのは瞬だった。それだけ瞬は猫が大好きなんだ。


 そういえば僕と瞬ばかり喋ってたけど薫はどうしたんだろう?と思って薫を見ると、あの時ランニング中に二人で帰ってるところを見かけた時よりもキラキラした笑顔で瞬を見つめていた。


 イケメンが猫と戯れてる姿なんて女子からしたら眼福だろうね。その笑顔、納得だよ。


「いやー、今日は猫を堪能できたわ!明日もまた勉強頼む!」


「私も勉強になったよ。じゃあまた明日ね!」


 そう言って二人は出て行った。よし、僕は寝ようと思ってカーテンを閉めようとした時だった。


 窓からなぜか瞬の家の前に二人が立っていて、瞬が少し屈み、こちらに背を向けた薫が背伸びをして何かをしていたのが見えた。いや何かって言わなくても分かる。180㎝を超える身長と150㎝しかない身長差のある二人が屈んで背伸びをして近くにいたんだ。どう見てもキスだ。


 なんだか見てはいけないものを見てしまったと思ったと同時に、今日この3時間で一気に二人の関係が進展したんだなと安堵の気持ちもあった。


 やっとそこまで行ってくれたか。あとは付き合うことになったっていう報告を待つだけだね。でもなぜだろう。吹っ切れたはずなのに鈍い痛みのようなものを感じた。





 次の日、僕は昨日のキスからの恋人報告があると思って待っていた。でも何事もなかったかのように教室ではいつも通りの二人。


 それに夜の勉強会も昨日と同じだった。勉強会終わりのおしゃべりも特段そういう話になることもなく小学生の時の思い出を語っただけだった。


 あのキスは何だったんだろう?ただ単に勢いでやっちゃっただけ?それとも僕の見間違い?でもキス以外に何がある?頭の中がクエスチョンマークだらけになった僕はいつもと変わらない二人の姿に困惑するしかなかった。


 そして試験前日。いつものように勉強会をしておしゃべりタイムに入って30分が経った頃だった。


「ねえ瞬。お願いがあるんだけど、今日は明日もあるからこれでお開きにしたいんだけどいいかな?」


「お、そうだな。明日のために速く寝た方がいいしな。それじゃ今日はこれでお開きにしよう。それにしてもこの1週間は楽しかったわ。また次のテストの時もよろしく頼む」


 そう言って瞬は帰っていったんだけど、なぜか薫はそのまま残った。


「どうしたの?薫は帰らないの?」


「ねえ、勇気を出してこの1週間頑張ってみたんだけどどう思った?」


 ああ、瞬のことで相談したかったのね。ちょうどいいや、僕も思い切って聞こう。


「毎日服装もバッチリ決めてたしね。しっかりアピールできたと思うよ」


「しっかりアピールできたのね?ならよかったー!」


「それにしても瞬と大胆にキスするとは思わなかったよ」


「瞬とキス?そんなことしてないよ!するわけないじゃん!」


「でも勉強会初日、終わってから瞬の家の前でキスしてたじゃない」


「あー、あれね。瞬の頭にゴミがついてたから取ってあげたのよ」


 なんだ、そうだったのか。僕の勘違いだったってわけか。


「あとね!キスなんて付き合ってからじゃないとしないに決まってるでしょ!」


 やっぱりちゃんと貞操観念はしっかりしてるや。


「ごめんごめん。僕が勘違いしてたよ」


「私はチョロい女じゃないからね!そこのところは分かってよね!」


「うん、分かったよ。それじゃ薫もそろそろ帰って明日に備えた方がいいよ」


「その前に最近の他の四天王の動きはどうか教えなさいよ」


「僕は情報屋じゃないからね?ていうか自分をちゃんと四天王として認識したんだね」


「そうじゃないと勝負できないからね」


「その判断はいいと思うよ。ただ残念なことに他の四天王がどうこうしたというのは今のところ聞いてないね」


「何もないってことでいいのね?」


「そうだね、その認識でいいと思うよ」


「よかったー!これで安心できたから明日の試験には万全の調子で挑めるよ!じゃあこれで帰るね!」


「うん、おやすみ」


 なるほど、万全の状態で臨んで四天王に学力で差をつけようってことなんだね。黒羽先輩は学年が違うからテストでどうこうっていうのは難しいけど、他の二人については問題なく薫は勝てると思う。


 向井さんは僕よりも勉強はできていないことは分かっている。沖田さんはどうなんだろう?アイドルやってるけど実は勉強ができるってタイプかもしれないから未知数だね。


 結局球技大会と同様、狭山薫対沖田美羽との勝負ってところかな。


 それは置いといて、僕も順位トップ50位以内に入れるように頑張らないとね。


 僕もいつもより早く寝て次の日に備えた。ついに中間テストの日がやってきた。

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