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第17話

 球技大会が終わり、学校の雰囲気は少しずつピリピリとした感じになってきた。それにはもちろん理由がある。6月頭に中間テストがあるからだ。


 僕達1年生にとっては高校生活初めての試験。中学の時は点数が取れなくても何も問題はなかったけど、この中間テストで点数が悪かった人は補習を受けないといけなくなる。


 それに加えて夏休みに入ると特別講習に強制参加となってしまうんだ。僕はそこまで成績が悪くなるとは思わないけど、補習を受けることになってしまうと夏休みから本格的に始まる仕事に支障をきたしてしまう。


 だから絶対に悪い成績を落とすわけにはいかない。学校の授業にはまだついていけているから補習を受けるというレベルにはならないと思う。でも、僕には今回の中間テストである目標を立てている。


 それは成績順位50位以内を目指すという目標だ。東大を目指すなら成績トップに入らないとお話にならない。でもすぐには無理だ。この夏休みに一気にレベルアップを果たして夏休み明けの期末テストでトップを目指す予定でいる。


「はあ、中間テスト嫌だなあ。速水はテスト勉強どうするつもりだ?」


 3時間目の休み時間、僕は大木君に話しかけられた。席替えをしたおかげで大木君とは隣の席になったんだ。


「僕はテスト勉強は夜のフリーな時間にするつもりだよ」


「俺と一緒にテスト勉強するつもりはないか?」


「僕も大木君と一緒にテスト勉強したいんだけど、夜になってからじゃないとフリーになれないんだよね」


「なあ、前から思っていたんだが速水は放課後何をやっているんだ?」


「今はそろばん教室と速読術の教室に通ってるんだ。そういうのもあって自分のフリーな時間は夜になっちゃうんだよ」


「じゃあ昼休みはどうだ?何をしているのかは分からないけど、そこで時間は取れないか?」


 昼休みか……。まああの空き教室改め事務所のことは大木君になら教えてもいいか。やっと片付けが終わったばかりで何を始めてもいないし、ノートパソコンも用意できてない。


 それに大木君に分からないところがあったら聞けるから勉強も捗るかしれない。


「昼休みいいんだけど、絶対に言わないことを約束してくれるならっていうのが条件かな」


「もちろん約束は守る!」


「じゃあこのあとの昼休みから始めようか」


「分かった!じゃあ昼休みな!」


 話が終わったところでチャイムがなり、4時間目が始まった。





 昼休みに入った。僕と大木君は人目につかないようこっそりと第二校舎の二階にある事務所へやってきた。


「速水、ここは?」


「ここはね、僕の事務所なんだよ。この間まではずっと掃除をしててやっと片付いたところなんだ」


「速水はこんな特権持ってるのか。教室を自由に使っていいって普通はならないぞ?」


 これは憶測でしかないけど、多分師匠が絡んでると思うんだ。大木君の言う通り、部活動や同好会にも所属していない一般生徒が普通に部屋一つを使用なんてできないはずなんだよね。


「僕もそう思うんだけど、許可はもらってるからさ。それでこの事務所のことは内緒にしてほしいんだ」


「ああ、さっきも約束したからな。安心してくれ。それにしてもこんな部屋があるなら誰にも邪魔されないで勉強に集中できるな」


「そうだね。じゃあ早速始めよう」


 弁当を食べながら試験勉強を始める。まだ3週間前だからテスト範囲については分からない。2週間前になってからでないと試験範囲は発表されないんだ。ちなみにだけど、1週間前になると部活動も休みになる。


「試験範囲は分からないけど、4月からの授業内容は確実に入ってくるから、試験範囲が分かるまでは最初から始めよう」


 大木君の言った通りに僕達は最初から復習の形で勉強を始めた。


「あれ?ここってどうやるんだっけ?」


「ああそこか、それはな、参考書のこの部分に書かれているからそれを見て理解するといいぞ」


 どうやら大木君は僕よりも勉強ができるみたい。それなら勉強を教えてもらえるから助かるな。それより授業についていけてると思っていたけど、分からないところ、忘れているところも多々ある。


 朝一の勉強は暗記系をやっているけど、試験前は試験対策をした方がよさそうだ。





「ただいまー」


「おかえりー。今日はツキが晃弘の部屋で寛いでいるわよ。ついに一緒に寝てくれるかもね」


 子猫3匹は順調に育っていて部屋を解放してからは探検とばかりに色んな所をうろちょろしていた。


 僕らの部屋のドアには猫が通れるように猫専用ドアを設けてあるから部屋の移動は自由にできる。


 僕は自分の部屋に入るとツキが僕のベッドですやすやと眠っていた。おお!これは嬉しい。僕のベッドを気に入ってくれたのなら一緒に寝られるね。


 ツキが起きないようにしながら運動服に着替えてリビングに戻るとモンとタマが僕の足元を擦り寄ってきた。


 3匹とも家での生活に順応したのはミケのおかげ。ミケが何気に色々と面倒を見ているから3匹も早く打ち解けられたんだと思う。


「今日はランニングしてからご飯ね?」


「うん、試験が近くなってきたからね。先にランニングしてからじゃないと疲労で勉強できそうにないような気がしてさ」


「分かった。じゃあこれからしばらくは先にランニングね。いってらっしゃい」


 ランニングを行って夕飯、風呂といつものように行動したあと、僕は両親に相談をした。


「あのさ、また借金になるんだけど、ノートパソコンを買いたいんだ。ダメかな?」


「晃弘の部屋のパソコンじゃダメなのか?」


「あれはあれで性能は十分だし、仕事もできるんだけど持ち運びができないでしょ?特にカンジエスや学校で作業をするとなると、持ち運べるノートパソコンの方がいいと思ってさ」


「まあ安いのであれば買ってもいいけど、晃弘のゲーミングパソコンのような高いスペックのパソコンは流石に無理だぞ?」


「うん、ハイスペックが要求される作業に関してはゲーミングパソコンでやるから大丈夫。ノートパソコンの方は主に文書作成とかで使うつもりだからそんなにハイスペックを求めている訳じゃないよ。それに自分で稼いでからちゃんと性能の高いノートパソコンは買うつもりだから」


 なんとか両親を説得してノートパソコンを買ってもらえることになった。もちろん借金だけどね。これで大体10万円ほどの借金になった。ちゃんと返せるのかな?と少し不安になった。

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