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第12話

 月曜日、今日から通常通りの日常が始まる。でも僕にとっては非日常だ。今までとは全く違う生活が始まるんだ。


 まず5時に起きて1時間の勉強。暗記系に特化してひたすら暗記をする。


 勉強が終わって朝食を摂って学校に向かう。今までは歩きで登校していたけど今日からは自転車登校にすることにした。


 時間を有効活用できるように少しでも短縮できるものは短縮する。


「いってきまーす」


 早速自転車に乗って学校へ向かう。歩きで30分くらいかかっていたのが10分になった。20分浮くのでこの20分を今は勉強に充てる。後々は学校に許可を取ってパソコンを持ち込んで仕事をするという選択肢もありだ。


「速水、おはよう。こうやって会うのは10日ぶりくらいか。何か顔つきが変わったな」


 大木君が僕の元にやってきて軽く談笑する。この時間は体を休めるのとコミュニケーションを取る時間とする。


「おっす晃弘!久しぶりだな!サッカーの特訓しっかりやったって薫から聞いたぜ!一緒にできなくてごめんな」


 続いて瞬がやってきた。瞬とは本当に会話やメッセージのやりとりも一切なかったから本当に久しぶりって感じだ。


「別に謝らなくてもいいよ。結構日に焼けたね」


 こんな感じで瞬とも軽く談笑する。そして最後にやってきたのが薫。


「おはよう晃弘。今日から自転車で通うっておばさんから聞いた。それなら事前に言っておいてほしかったな」


「ごめんごめん。言っておけばよかったね。もしかして一緒に行こうとか考えてた?」


「そう。待ってても出てこないから気になっておばさんに聞いたら先に行ったってなったからあやうく遅刻しそうになったんだからね!」


「ごめんよ。これから自転車で通うから一緒には行けないかな」


「うん、分かった」


 ちょっと不機嫌そうな薫。今度からは瞬と一緒に登校できるようにうまく瞬に話しておこう。そしたら二人の距離も縮まるだろうし。


 こうしてホームルームが始まって授業が開始された。授業の進み方や先生の説明が変わったわけじゃないけど、何か物足りなさを感じた。


 そして4時間目が終わって昼休み。ここの時間の使い方も重要だ。これから仕事をすることになったら昼休みを有効活用しようと考えている。


 だからこの時間は一人でお昼を摂るようにして残りの時間は仕事をする。そのための場所の確保が必要だね。ということでどこか空き教室がないか見て回ろう。


「速水、飯一緒に食おうぜ!」


「ごめん大木君。これから昼休みは一人でとろうと思うんだ」


「そ、そうか。何かあったのか?」


「具体的なことは言えないんだけど、ちょっと修行中の身でさ。色々と自分のために時間を使いたいんだ」


「なるほど、夜しかゲームができなくなるって言ってたけど、速水には速水の事情があるってことだな。昼休みのことは分かったけど、夜はゲーム付き合ってくれよ」


「うん、なるべくその時間は取れるようにするよ」


 急いで昼ご飯を食べ、僕は空き教室を使えないか職員室へ向かった。


「失礼します。緒方先生おられますか?」


 緒方先生は僕達のクラスの担任の先生だ。


「ん?どうした速水」


「昼休みに空き教室があれば使わせていただきたいのですが大丈夫ですか?」


「第二校舎の二階に使われていない教室がある。そこを使ってもいいか許可をもらってくるから放課後に返事をする。それでいいか?」


「はい、ありがとうございます」


 これで許可が下りれば学校に自分専用の部屋ができた感じになる。何気に嬉しいね。


 昼休みが終わり、昼からの授業も午前同様に物足りなさを感じつつ6時間目までが終わって帰りのホームルームを残すのみとなった。


 みんな久しぶりに学校に疲れたんだろう。あとは帰るか部活だけになった教室内はざわざわと騒がしい。僕は瞬のいるところへ向かった。


「瞬、ちょっといいかな?」


「おう晃弘、どうかしたか?」


「薫が朝一人で学校に通ってるみたいだからさ、一緒に登校するのはどう?」


「恥ずかしくね?」


「大丈夫だって。それに薫も濃山四天王の一人だよ。狙ってる人は多いはず。牽制の意味も兼ねて行動した方がいい」


「それなら三人で行こうぜ?昔みたいにさ」


「僕は今日から自転車通学に変えたんだ。だから一緒には登校できないんだよ」


「そうか、分かった!俺、薫のこと誘ってみるよ!」


 よしよし、うまくいったね。これでお互いが自分の気持ちを確認してもらえれば、僕の未練も断ち切れる。諦めようと思ったけど、思った以上に僕は未練タラタラのようだ。だったら未練を捨てるっていう選択をすればいいんだけど、気持ちはまだ整理できていない。


 帰りのホームルームが終わり、僕は急いで自転車に乗ってカンジエスに向かう。ここから夜までは過密スケジュールだ。赤羽さん達or師匠から指導を受け、それからそろばんor速読教室、終わったらランニングを1時間、球技大会が終わってからは薫と勉強、それから寝るまではゲームという日程になっている。


 今日はカンジエスで赤羽さん達の指導後に初そろばん教室だ。ゴールデンウィークの期間中、一番しんどかったのは赤羽さん達のパソコンスキル指導だ。とにかくパソコンでやれることが多すぎて困っている。今は画像編集や動画編集を習っているけど、それが終わったらプログラミングについて教えてもらう予定。


 赤羽さん達は専門外だって言ってるにも関わらず普通に知識として持っているのか僕の質問にも難なく答えてくれる。


「なんで皆さん専門外なのに色々知ってるんですか?」


「システム部門っていう名前のせいで『このソフトの使い方分かりません』とか『パソコンが壊れたかもしれないので見てください」とかパソコン関連のことを聞かれるから自然に覚えただけだよ』


「四人しかいない中で他の社員さんの抱えている問題を解決しているので何でも屋さんだと思われているんです。ですから速水さんがパソコンスキルを身につければ身につけるほど、私達は楽ができるんです」


「もう僕はここの一員になっちゃってますか?一応業務委託契約と聞いてるんで就職するわけじゃないです」


「業務委託でも晃弘に仕事を振れるっていうのが助かるんだよ。戦力になってくれるからな」


 赤羽さん達はとにかくいつも忙しくしている。そんな中で僕に時間を割いてくれるのは申し訳ないと同時にとても親切に教えてくれるからありがたい。


「時間が来たんで帰ります。今日もありがとうございました!」


 そろばん教室が始まるので急いで自転車で教室に向かう。


「お兄ちゃんもそろばんをするの?」


「そうだよ。今日から教えてもらうんだ」


 そろばん教室には幼稚園くらいの子、小学生がほとんどで高校生は僕だけ。ものすごい浮いていて恥ずかしい。


「それじゃ始めますよー」


 先生が来てそろばんの授業が始まった。

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