燃え上がる意志、雷鳴轟く復活!!
セリア将軍の命が闇に消えた、その刹那だった。
空を引き裂くような閃光が、闘技場を照らした。
地を踏みしめるような振動が轟き、闘技場の中心に立つ蒼き機体――ブルーサンダーが突如、眩い蒼光を放ち始めたのだ。
レイジは操縦席の中で、呼吸を止めていた。目を閉じれば、まだ彼女の最期の声が耳に残る。
「未来は……君たちの手に……」
言葉の最後まで、彼女は希望を信じていた。
涙がこぼれそうになるのを、レイジは拳を握ることで押しとどめた。
「セリア……」
唇をかみ、血がにじむ。それでも彼の眼は、迷わなかった。
その魂は、いま確かに覚醒の瞬間を迎えていた。
「お前の死は……絶対に無駄にはしない!」
轟くような叫びが、コクピットから空へと突き抜けた。
「この闘技場を……いや、世界を!お前が守ろうとした未来を……必ず、俺たちが受け継ぐ!」
その瞬間、ブルーサンダーのコアが共鳴し、全身を覆う装甲が一層の光を放つ。
機体の外殻が音を立てて変化し、蒼き雷のエネルギーが奔流のように噴き出していく。
「レイジ、出力が……限界突破だ。こんなの、見たことないぞ!」
副操縦席のヒロトが驚きの声を上げる。冷静な彼ですら、データに目を疑っていた。
「構うもんか!今ここで決める!」
コクピットの中でレイジは、レバーを力強く押し込んだ。
「出すぞ――雷鳴斬ッ!!」
空が割れた。
雷鳴と共に振り下ろされる剣――
それは、もはや兵器の一撃ではなく、想いと怒りを纏った“魂”そのものだった。
巨大な蒼雷の刃が、黒炎の鋼龍――ダークフェニックスに直撃した。
爆音と共に空間が歪み、蒼い雷光が空へと迸る。闘技場全体が揺れ、観客席の石材が崩れ落ちるほどの衝撃が走る。
「う、わあああああっ!!」
観衆たちは悲鳴を上げながらも、その壮絶な一撃から目を離せなかった。
黒き鋼鉄獣は後方へ大きく吹き飛ばされ、巨体が闘技場の外壁に叩きつけられた。
そして、その鋼の鎧が軋むような呻きを上げながら、ゆっくりと崩れ落ちた。
しばし、沈黙。
蒼き雷が地を駆けるように、静かに残響を残していた。
しかし――
「……フフフ……」
その静寂を破ったのは、ジャスドス大帝の冷笑だった。
「見事な一撃だ、レイジよ。さすがは、ネクロマントス帝国を一人で滅ぼした男……だが……」
その声には、まるで敗北を楽しんでいるかのような余裕が滲んでいた。
「貴様らは知らぬ……我が鋼鉄王国が誇る、真の終焉を……!」
彼は、玉座の背後にある巨大な装置に手をかざした。
重厚な音が地中深くから響き始め、闘技場の奥――鉄と石で封じられた地底の蓋が、ゆっくりと開いていく。
「嫌な音がするな……」ヒロトが低くつぶやいた。
「何を……!?」
レイジが息を呑んだその時だった。
地の底から、圧倒的な重圧をまとった巨大な影が、音もなく姿を現す。
「さあ見せてやろう。我が切り札……最終兵器・鋼鉄巨人ダークゴルドンを!!」
地鳴りと共に姿を現したそれは、まさに「鉄の山脈」と形容するに相応しい。
闘技場の天井にまで届くその巨体、全身を覆う黒金の鋼、赤く輝く複眼、そして無数の砲門がその肩に備えられていた。
「な、なんてものを……!」
ヒロトが驚愕の表情を浮かべる。
「エネルギー反応……常識外れだ。あれ、一体何を動力源にしてるんだ……!? 戦艦十隻分の出力だぞ!」
レイジは無言で、それを見据える。
その背後に、セリアの微笑みがあるような気がした。
彼女の意志が、今も胸の中に生きている。
レイジはゆっくりとコクピットの奥に手を伸ばした。そこには――セリアがかつて送ってくれた、古びた勲章がある。
「ここで終わらせる。俺たちの手で、未来を取り戻すんだ」
彼の言葉に、ヒロトが静かにうなずいた。
「ああ。セリアの想いと共に、戦おう。レイジ、お前となら行ける――最後までな」
雷鳴が再び走った。
最終決戦の幕が、静かに――だが確実に――上がろうとしていた。
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スーパーロボットあるある
その121:仲間の死で覚醒。
その122:必殺技は雷鳴がセット。
その123:ラスボスはさらにでかいロボ。
その124:絶対絶命で必殺技炸裂。
その125:決戦は静かに始まる。