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「ちょっと待って!!なぜ私は自分の名を言えないの?!この世界で生まれたばかりってどう言う意味?!」
すっかり私に興味をなくした長はにっこり笑って何も教えてくれない。
たまらず近くに居た鼠を鷲掴んで問い詰めた。
「どう言うことだ?!この世界って何だ?!」
私は一体どうなる?!長の何気ない一言で急に恐慌状態に陥る私に尚も長は何も言わない。
ただ慈しむ様に微笑みを返すだけ。
絶対、何か知ってるだろ!と叫んでも虚しく長の全身が薄らと緑色に輝き出した。
あ、これこのまま消えるなと思った瞬間、予想通り長はほっほっほっ!と言う今になって若干苛つく笑い声を最後にふわっと消えた。
だけど最後に、
(「我ら、……は…いつも…貴女さまと…に…ー。」)
最初から最後まで良く聞き取る事ができなかったけどもそれどころではない状況だった。
キラキラと緑色に輝いた長は最後、私が手にしたままの聖剣の緑系統の一際大きな宝石へと吸い込まれて行った。
(((「長老様ーーー!!!」)))
(((「長様、長きに渡り我らを御守り頂き感謝申し上げます!!」)))
(((「お疲れ様でしたー!!!」)))
わーっと各々がたった今お別れを告げて緑色に輝いたかと思えばふわっと消えてその残骸の光が間違いなく聖剣の宝石に吸い込まれたので一同、私が手にしている聖剣に頭を下げている。
これじゃあまるで私が拝まれているような気になってしまう。
(「良かったですね!長様はこの聖剣がここに封印されるようになってから今までずっとこの地に縛られっ…!じゃ無かった。
ここで自らずっと聖剣と聖剣の影響で湧き出る泉の管理をしていたお方なのです!!」)
「ちょっと待てーい!!さっきからちょいちょい気になるワード挟みやがって!!」
え、もしかして私、実はあのワニサイズの鼠の封印?を解いてしまったの?
あのワニサイズの鼠はもしかしてこの世界の災いとかだったりしないよね??
さっきの鼠が口走った、“封印“と“この地に縛られる“それから“聖剣の影響で湧き出る泉“のこの三つのワードがぐるぐる脳内を駆け巡る。
もしかして私はとんでも無いことをしでかしてしまったのか…?
動悸と冷や汗が止まらない。
(「聖剣様…?如何なさいました?顔色が悪い様ですが?」)
「ちょっと色々聞きたい事が。
先ずはあの長老はこれで良かったのか?
さっき他の鼠が封印だのこの地に縛られるだの言っていたがどう言う事だ?
この話の流れでは次は私がこの地に縛られるのか?!」
もはやお約束になりつつあるのか目の前に居た兎サイズの鼠を鷲掴んで問い詰めた。
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