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九十四話 やらかし結婚編29

王城での昼食…本来ならば、国王と一緒に飯食うなんて王族でなければ国賓くらいなもの。でも、俺はアレクくん。パンダみたいなもん。つまり国賓級…誰が希少種か。


半ば無理矢理、同席…かつ、毒味したらどうせ冷めてて不味い飯なので、厨房借りて俺が冷製パスタ作ったった。トマトの冷製パスタ…またトマトかってマリアベル様の顔が怖い。



「ほら、毒なんて入ってない。トマトは抗酸化作用もあって体に良いんだぞ?」


「そういう事ではなく…もういいです。お父様、アレクシール様の料理の腕は保証します。量の方は…かなり多いですけど」


「あ、ああ…せっかくだ。いただこう」



食べて毒無し証明した。まあ、軽い毒程度野生児アレクくんには効果無いんだけども…昔は平気で毒キノコとか食ってたし。


国王も山盛りパスタに手を伸ばす。無論、個々に取り分けている。余ったら使用人が分けて食うだろ…人の食べ掛けをたまには食わせてやれである。バジルも使って爽やかだから食べ易いだろう、そうだろう。


黙々と食べる俺たち…マリアベル様も最初は量に躊躇していたが、俺と国王に比べて盛りは少ない。むしろ普通盛り…チーズと生ハムの塩分もアクセントになってるから食べる食べる。


後が怖いな…太ったとか言われそうで。



「アレクシールよ……儂は何を間違えたのであろうな。エルヴァンは聡明な子だった…昔はな。テレサやアリスが婚姻し王家から居なくなり何かが狂った。エルヴァンは母性に飢えていたのだろうか…」


「……殿下の気持ちなど俺には分かりません。ただ、同じ境遇の少女には母性なんて必要ないくらいの愛を注ぎました。陛下は殿下…いえ、自分の子どもに胸を張って愛を注いだと言えるくらいの事をしてきましたか?」


「………言えぬな。テレサに責められて、何もしてこなかったと気付かされたよ。いや、したつもりだった…ミリスもマリアもお主がしていたのにな。エルヴァンたちの愚行を見逃す事が愛と誤解しておったよ」



国王が食事の手を止め、国王陛下がそう聞いてきたので答えた…いや、マリアベル様は当然だが絡み酒夫人の方は知らんがな。夫居るがな…


まあ、父親なんてそんなもんだろ…古今東西、ましてや男尊女卑のこの国、バカ息子に期待して甘やかしたくなるのは必然的とも言える。そんなんだから、ぽっと出のヒロインに心移りしたりする…


更に逆に必然的な厳しくするパターンのクソキングコングの登場。父親が甘やかしていた分、対極的な指導への反発…但し、相手は王の子、無闇矢鱈に殴って分からせる事は出来なかったからつけあがる。


結果は言わずもがな…せめて、殴って殴って殴って殴って殴って殴って分からせるくらいの気概がある兄貴分的な奴が居たら違っていたのかもしれない。



「そうか…マリアが救われた時、お主を引き抜いておれば違っていたのかもしれぬな」


「…断っていたと思いますが。親と同じ職場とか絶対嫌ですし…それに、マリアベル様を襲うよう指示した王子派の責を殿下に深く問わなかった。その時点で陛下も同罪です…あの時、俺はどうなろうともマリアベルを守りたいと思い行動しました。今もその気持ちは変わりません。もし、それが誰であろうと…」


「アレクシール様…」



まあ、今となってはさすがに嫁同士の事となると迷うけども…俺が悪者になれば済むんやけどね。だから、マリアベル様そんなうっとりした目で見ないで。俺は稀代の浮気者ですけん…


まあ、あの時ならその選択肢も考えたかもしれない。ミュゼットに相応しいような男どもにしてやるとかって…でも、結果としては今の方が良い。少なくとも差し伸べた手が彼女たちを救えた今が。



「…どちらにせよ。済んでしまった事です。陛下の子を俺は殺めた…それを恨んでください。必要なら復讐をしてください。けど、陛下に愛されたい人を見失わないでください。アリスベル様、ミリスベル様、マリアベル様もですが、貴方にはヴォイドくんという孫が居るじゃないですか。彼への愛を惜しまないでください…でないと、過ちは繰り返します。それで苦しむのは貴方が愛する人全てなのですから」


「…そうか。儂にはまだ居るのだな…大切な人が、愛する者が。アレクシールよ、今はまだエルヴァンの事については許すとは言えぬ……弱い国王で済まぬが、これからも臣下として義理の息子として支えてくれるか?」


「ええ。少なくともマリアベル様が愛想を尽かさない限りは」



マリアベル様との婚姻は認めてくれてるのね。反対されてたらぴょんぴょん丸抜かなきゃいかんかったから良かった良かった…という事にしておこう。


これからはジジバカを発揮して欲しいものだ。初めてのクリスマスプレゼントは俺が渡したけど…

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