九十三話 やらかし結婚編28
マリアベル様を膝に乗せ、書類のあら探し…いくら腑抜けの国王でも自分の娘が蔑ろにされていたら大鉈振るうだろう。もしくはルチル大活躍。その前に俺が大暗躍…俺の名前で告発手紙を関係各所に送りつけよう。
「とっても悪い顔していますね、旦那様…」
「失礼な。ミスティア嬢だって、こんな稚拙かつ下世話な文章に苛む必要が今後無くなるだけの素晴らしい悪巧みしてるだけなのに」
「アレクお兄様、悪巧みって自白してます…」
おっと、エルミディア嬢の指摘に苦笑いするしかない。だって、やろうとしているのは制度改革を謳った嫁たちを楽にさせたいエゴなのだから仕方ない。
もっとも、既に絡み酒夫人が動いていたりする。何故かシルディナ嬢とミュゼットも引き連れて下品な書類を持って国王のところへまた行った。さすがにそれで目を覚ましていなければ永眠しても良いですね、今宵のぴょんぴょん丸は血に飢えておる…
まあ、さすがにマリアベル様が泣くだろうからしないけど。その為に重石代わりにマリアベル様が膝の上に乗っている。さすがミュゼット、俺の行動パターンよく分かってるわ。
後、マリアベル様の行動パターンも…シルディナ嬢に対してはよく膝の上に乗せていたけど、マリアベル様に対しては羨ましそうに見てたけど数回程度しか乗せてないのだ。不敬だったし…
だが、今のところ俺の膝の上は大人気らしい…ミュゼットやメルはともかく、ルチルやレシアもずっとしてもらいたかったという始末。いつ言われたかは悟れ。
それも意識してか、マリアベル様の耳真っ赤なのよね。でも、安心してください。ロリコンナイトは未成年には手を出しません……今夜はゆっくりお休み。言ったら縋りつかれて手を出しそうなので言わない。
「マリアベル様、こことかここ、それにここ…間違っているようですね」
「わ、分かっています…」
「それに、この資料じゃ具体的な内容が伴っていません。騎士団へ赴き、俺が書いた報告書を持ってくる方が良いかと…この際、ついでに王城と騎士団の情報連携をもっと強化して…」
「アレクシール様、一気に耳元で話さないでください」
マリアベル様、耳元が弱かった。フーッと息に吹きかけたくなるが、それやると絶対怒るの目に見えて分かっているので、耳元で「愛してるぞ、マリア」って言ったった。もっと怒られた。ぐすん…
うなじくらいまで真っ赤になって可愛いのぉ…顔見えないけど、ミスティア嬢とエルミディア嬢が羨ましそうにしていた。まあ、二人の番になったらしてやるって。
頑張って仕事している出来る女の子って良いよね……どうして、こんなに一生懸命な素敵な女の子が婚約者なのに、あんな腐った事出来たんだろう…元から腐ってたからか。
*
そんな三人を眺めつつ、気付けばお昼…と、絡み酒夫人たちが戻ってきて気付いた。マリアベル様の仕事も終了。
「…というわけで、アーくん。しばらくはミュゼットちゃんとシルディナちゃんを私の補佐としてつけさせてね」
「本人たちが了承しているのなら構わないが…お手柔らかにな」
「分かってるよ。私だって王族業務は久しぶりなんだし…」
絡み酒夫人の王女業務復帰……まあ、毎日毎日酒飲んで溺れているよりは仕事与えておいた方がいいだろ。というか、将来的に三人の内誰かが産休とか育休で休んだら破綻するのは容易に分かった。脆弱過ぎんねん、この国の体制。
ミュゼットは原作通りだとこの仕事やるはずだし、中身も優秀(前世の小学生レベルなら余裕)だし、シルディナ嬢はそれを更に上回る……将来的に嫁たちでこの仕事回す未来しか見えない。
国王も徐々に復帰するとか前向きそうな発言したらしいし……よし、喧嘩売りに行こう。前向きじゃダメなんだよ。後ろ向いてても全速前進DAじゃないと。よし、シバきに行こう。
 




