九話 やらかし15歳期・入試編
旅の途中で15歳を迎えた。成人である…バルタン。フォッフォッフォッ…虚しい。
毎年なら、ミュゼットとメルモニカが手作りのプレゼントをくれてささやかに祝ってくれたものだ。パーティーなんて無かった。味噌っカスを祝う価値無しとかつらたん。
ケーキは無くても二人が作ってくれたクッキーはあるのよ。カビ生えるまでは保存していたの見つけられて泣かれたけど…食べるなんてもったいない。永久保存したかった。
そんなホームシックになったりしつつも、試験会場である王都に辿り着いた。試験まではクソ親父が住んでいる邸宅に逗留…クソ親父は王子いびりに勤しんでおり、会う機会は無かった。王太子になった途端、処刑されるんじゃないかな、マジで。
そして、試験当日を迎えた。筆記は簡単な計算問題と文章問題……貴族学園とは違って平民にも門戸を開いている騎士学校の筆記は簡単すぎる程簡単だった。ミュゼットたちがやっている宿題の方が遥かに難しいものだった……ははーん。それ分かっててクソ親父は貴族学園にゴリラたち入れなかったんだな。
まあ、騎士学校に入るのに必要なのは知恵より技術。次は実技だ…入試生同士で戦う。いや、そこは試験官と戦えよとは思うが勝敗は関係ないとか説明された。つまり、勝っても負けても技量でどうにかなるか…よかろう(上から目線)
「なんだお前、木剣なんかで戦うつもりか?」
「悪いか、筋肉ダルマ」
俺の相手は筋肉ダルマ…木剣じゃない。木刀だとは訂正しない。めんどくさいから…というか、見せ筋肉じゃんと思う。ゴリラの方が圧倒的に強そう…
あれだ、ドラゴン◯ールとかの噛ませみたいな奴だ。こういう奴と同じ教室で三年間学ぶとか嫌だなぁ…よし、潰そう(傲慢)
審判の教師が開始の合図をする。同時に筋肉ダルマがこちらに剣を掲げてやってくる…なってないなってないなってない。舐めてるのか、貴様?
勝負は一瞬にして決まる。初撃は必殺のつもりで振るわねばならない。と同時に隙を見せてはならない…相手も同じ、命のやりとりなのだ。
胴がガラ空き。いくらでも仕留める方法はある。逆袈裟、刺突、そして…
俺は相手をギリギリまで待ち、抜刀の構えから相手の右脇への横薙ぎを行う…所謂、抜き胴である。と同時に軽くステップ踏んで体を一回転させ相手の攻撃を避ける。回転力も剣戟に加わるので相手は吹っ飛ぶ…または真っ二つである。
もっとも、今回は手加減しているので数メートル程度のぶっ飛びである。かっとべ、マグナーム。いつも通りグルグル回ってノックダウンさせた。なお、親父やゴリラには対策されて通用しないんだよなーちくせう。
後、ゴブリンなら場外ホームランも可能。討伐部位探しに行かなきゃいけないので真っ二つがセオリーだけど。
あれ、なんかヤケに静かだなぁ……全員がこっち見てる。「何あの化け物」とか「あいつヤベェ」とか「剣だったらどうなるんだよ」とか言ってる………はて。俺の事かい?
俺、ただの味噌っカスですけど?
*
数日後、試験結果が郵送されて来た。筆記98点(100点満点中)、実技30点(50点満点中)で合格だった。但し、人格に問題ありと書かれていた。
やっぱり、サービス問題の「盗賊が現れた。どうしますか?」を「問答無用で叩っ切る」と書いたのがダメだったかー…倫理的に。やはり、「殺してでも奪い取る、豚は死ねー」が正解だったわ。
後、思ったより実技の点数低い。木刀だったのが相手舐めてるとか騎士道に反するとか思われたんだろうな…仕方ない。騎士にはなりたいが、騎士道なんてどうでもいい。我が道を走る…そして、嫁を見つける。それが我が道、この旅…何処かに船持ってる金持ち居ないかな。俺、フ□ーラ派やねん。
まあ、合格は合格だ。その事を偶然帰ってきた親父に伝えると「そうか、頑張れ」としか言われなかった。誰が□ボコンだよ、ゴエ◯ンだよ。せめて合格祝いくらいしろよ、剣とか贈るくらいしろよ。
当然、そんなの無かった…ちくせう。




