八十三話 やらかし結婚編18
地獄のバナナ弁当は食べきった…ほぼ、るっちーが。さすがに二本しか食えんわ。アーンして食べさせた…子猿にバナナを食べさせる野猿の構図。バナナが家計を圧迫しそうである…
仕事終わりに馬車ではなく、歩いて帰宅する約束を取り付けた…軽いデートである。あるいは馬車に唐揚げ積み込んだら匂い移りが気になるのである…明日の出勤時の為である。
午後からはお偉いさん方との面会…ちょっと前に騎士団長になったから、顔通しもしなきゃならんのよ。
とはいえ、俺の機嫌を損なうようなアホは基本的には居ない。公爵と王子を始末した無敵の笑顔で荒らすメンタルよ。誰もが皆怯えてる、まさに最狂で窮極のナイトよ。
というか、まだ新聞とか雑誌に載ってないのか「私の娘を〜」とかって言ってくるお貴族様も居る。隣に座ってるレシアの顔を見るとピクピクしてる…耐えろ、第四夫人。
はよ、指輪買わないと…どうせなら皆で写真撮影して「これが俺の嫁たちよ」って自慢しないと。愛妻家に俺はなるっ!(ありったけのゆめをー)
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来る貴族も居れば、行かなきゃいけない貴族も居る。公爵家はほぼ身内だから赴く事は無い。王宮で纏めて顔合わせしてる…同格の侯爵家はそんなに多くない。むしろ、公爵家の寄り子なら省けるし、だいたいの侯爵は官職持ち…学園長とか学校長とか。
だが、僅かながら一定数のアホは居る。格下の癖に図々しいのが…「格式がー」だの、「伝統がー」だの。挙句の果てには「その女を今夜寄越せ」だと。悪は潰えた。
俺のレシアに何するつもりだ。こいつは俺のだ。悪は潰えた(大事な事だから二回言う)
「いや、アレクシール卿…仕事増やさないでくださいよ」
「俺が法だ。嫁を穢そうとするなら国だろうと潰す」
「そこは騎士団に喧嘩売ったでいいじゃん…嬉しかったけどさ」
「兄さんらしいけどな…殺さんかっただけ成長しとるやろ」
悪をふんじばって、そいつの屋敷から蹴り出してたら、巡回中のクリスティーナ嬢とシェリチェ嬢に見つかっちゃった。まあ、伯爵家の百や二百潰したって影響ないわな。
レシアは俺の従者。その待遇は副団長相当である…非公認だけど、実質的にそうなのである。準士爵だけど待遇は伯爵相当…つまり、俺の寄り子みたいなもん。
つまり、そこで縛ってる油ぎったおっさんは侯爵に喧嘩売ったのだ。売られた喧嘩は買う、言い値で買って倍払いしたる。
伯爵は遅れてやってきた騎士たちによって連れて行かれた…嫁たちも同行。俺、置き去り…というか、俺が居たら何人首飛ぶ(物理的に)か分からないからとレシアに言われた。
唐揚げ予約してから戻ろう…閉店時間までに行けるかしら?
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行きつけの店で唐揚げ予約して職場に戻ると、件の伯爵は厳しい取り調べを受けていた。るっちー張り切ってる…油ぎったおっさんを逆さ吊りにして頭の下に煮えたぎった油を用意してる。着火までカウントダウン中。いいぞ、もっとやれ(誰も止める気無い)
だいたい、レシアは今でこそ俺の嫁だけど、俺の同期とか中心に下町のアイドル並みに人気あったからなぁ…ファンも多いのよ。むさ苦しい我が職場では尚更。
だからこそ、副団長相当の待遇もされてる……だから結婚の事は部下に話してない。新聞とか雑誌にすっぱ抜かれるまで黙ってる予定。
だって、話したら全員が敵対してくるの目に見えてる。しかも、るっちーを縁故で分隊長にしただとか変な噂立ったり、セリーヌやクリスティーナ嬢にシェリチェ嬢まで嫁とか知られてみろ…
王宮騎士団は終了のお知らせ(俺が終わらせる)である。後がめんどい…秩序保つ側が無秩序になるって最悪やん。
というか、仕事中に俺の嫁ナンパしてる奴は首飛ばしていいよね?(だから放置された)




