八十一話 やらかし結婚編16
…見慣れたい天井。いやぁ、まあ未だこの部屋に馴染んでいないだけだが。というか、この部屋に隠し通路あって小さな専用浴室あるとか知らんかった。まあ、メルは知ってたみたいだけど…何故に?
大風呂だと使用人も一緒だし当時は時間で男女区切ってたから作ったのか前々からあったのか…どうでもいいや。
メルは寝ている……正直、ミュゼット以上に愛しちまった。マムシドリンクの効果は抜群だ。小聖回復いっぱいかけとこ。筋肉痛も和らぐはずだ。
覆せない運命か…まあ、仕方ないよな。どう歪んでも出会った時から愛しちまったんだから。俺のヒロインさんなんだからな。あー、仕事休みてぇ…
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そんな事すれば、他の嫁に何言われるか分からない…今日と明日行ったらお休みだ、土日は休みだ。土日祝日と年末年始は絶対休むと決めている…とりあえず風呂入って、朝飯作りだ。
ピザトーストとポトフ、適当に葉野菜千切ったりしてサラダを作る……つもりだったのだが、朝市に牛乳の買い出しに行かされた。バナナジュース用の牛乳飲んだから足りないとアンに怒られた…ぐっすん。
どうせならガロンサイズで買ってこようと意気込んでいたら、監視の目としてミスティア嬢とエルミディア嬢がついてきた。朝の散歩ついでだとさ…信用されてない。牛乳以外は買わないよ。お釣りで買い食いなんてしないよ…
「いえ、そういう事を心配していません…朝市の調査を兼ねてです。王子職の中には、市場調査もありますし」
「…本当は、アレクお兄様が二徹に近い状態なので心配しているんですけどね」
「エルミディア…ミュゼット様に怒られますよ」
ああ、ミュゼットの差し金なのね。二徹程度大した事ないってばよ。分隊長時代は六徹くらい普通だったし…なんて暗黒環境。
心配してくれるのはありがたいが、周囲からの視線が痛い。何せ、美少女二人侍らせての買い物である…ゴロツキみたいな連中は居ないが、それっぽい視線を受けるのは仕方ない。
ミュゼットやメルに負けずとも劣らないのだし…何故か両腕拘束状態。ラブラブ二股野郎と見られても当然な状態…ガロン牛乳どうやって持って帰ろ?
これが誰も居ない森の中だったら二人をグチョグチョに愛するんだけどなぁ…マムシドリンク今日は飲まんとこ。強過ぎる…
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結局、ガロン瓶じゃなくリッター瓶で四つ買って袋で二つずつ分けて持って帰ってきた。ゴミが増えると怒られた…後、ポトフが味噌汁になっていた。レミルーファ嬢の仕業である…味噌とか何処で手に入れたよ。
「塩辛いな…薄めても無理だ。薄めてスパイス入れてトロミつけてカレーにしよう」
「申し訳ないでござる…味見をして、少し薄く感じたから味噌汁にするのだと思って…」
「ウインナー入れる前だったからなぁ…まあ、そういう事もあるさ」
食べられなくなったわけでなし、メルだって説明したら許してくれるさ…但し、カレーは辛口にしないように。レミルーファ嬢の頭を撫でて名誉挽回出来るよう励ました………でも、絶対にサポーターが居る。
「アン。カレーって知ってる?」
「知りません…」
「…シルディナ嬢は?」
「食べた事はありますが、作った事までは……」
あかん。頼みの綱が潰えた…メルはあんなだし、ミュゼットだってまだ回復してない。仕事や学校を除けば……居ない。カレーのスパイス分かってる奴皆無…俺は知ってる。カレー粉はある。が、ルウを作る技量が…
「なんで、わっちを見て声を掛けてくれないんですか?」
「だって、無理だろ。聖女がカレー作るとか」
「偏見ですっ! カレー作りは得意です」
「…あのー、拙者も出来るでござるよ?」
戦犯と最狂信者には期待はしない。最悪、カレーじゃなくて牛乳ぶち込んでシチューもどきでも良い。食えるもの出来なきゃ外食でも何でも良い…だから家だけは燃やさないでくれと念押しした。
フンガーしてた。二人で頑張って美味しく作れたら、おっちゃん何でもお願い一個聞いちゃるけん…今夜の手土産はドーナツやめて惣菜にしよう。唐揚げが良いかな…




