七十話 やらかし結婚編5
かけ湯をして、次の組を待つ……やってきたのは処す姉妹。いやいやいや、一番接点無い組来たやん。ルチルレート様とエルミディア嬢……せめて、どっちか変われ。どっちも話す内容が無いねん。
「アレク、全身洗え」
「バスタオル取るな」
ストーンと落ちそうなバスタオル外そうとする…取っ掛かりが無いのよ、処す子ちゃん。間一髪、エルミディア嬢が目の前に立って直視は出来なかったが幼児体型なのは分かった。後、風呂ではパンツ脱げ。
「アレクは縞パンが好きだから穿いてたのに…仕方ない脱ぐ」
「だから、目の前ですんな」
「アレクお兄様、少し目を閉じててください。ルチルお姉様は羞恥心をパンツ見られて以降捨ててしまったので」
俺の所為か? そういえば、ナイフ返さないといけないなぁ…とか思いつつ目を閉じとく。変な性癖の所為で処す子ちゃんが変わったのかなぁとも思いつつ、布ずれの音を聞く……
「アレク、かぶる?」
「いいから片付けろ、はよ」
油断ならん、このるっちー。頭にパンツ被せようとしてきやがった。やっぱり変な子だ…
まあ、変なのは二人がバスタオル脱いだ後にも感じた。それぞれにうっすらと残る数多の刃物傷の痕…ルチルレート様は暗殺者として育てられたのであろうから分かる。が、エルミディア嬢にもそれなりの傷痕…
「…シュノーケン家も暗殺者稼業なのか?」
「スタンティーナ公爵家の寄り子も全て基本は暗殺者。表と裏、それを牛耳るのがスタンティーナ…シュノーケン侯爵家は、配下の筆頭。但し、エルミィはスタンティーナ公爵家の次期孕み袋としか期待されてない落第生だった」
「それ言い過ぎじゃね?」
「いえ、ルチルお姉様の言う通りでした。ルイレート様に当てがうしか無い落ちこぼれ…貴族学園を卒業したら使い潰すまで子どもを産み続けるしかない、取るに足らない存在だったんです…」
設定資料集にも無かったぞ、そんな話。仮に原作であの種馬令息が選ばれたら………それこそトラウマもの。虫にグチョグチョされる某後輩キャラ並みに酷い事になってたと思うと、ちょっと聖剣解放したくなる。いやナイトソードではなく木刀の方な。
でも、疑問がよぎる。ならばどうして俺の嫁になれたのか。利用価値がある彼女を手放す理由…それを尋ねた。
「それは…王子の業務があたくしとミスティア様が居なければ回せなかったからです。そうでなければ、今頃ルイレート様と同じく領地へ戻って……」
「僕はそんな事させない。エルミィがアレクを望んだから今こうしてここに居る。それが全て」
「……まあ、孕み袋よりはマシか。こんなおっさんの嫁の方が」
「おっさんじゃありません。アレクお兄様は当時から最強だったルチルお姉様の攻撃を全て回避して退けたそうじゃないですか。憧れの人の憧れ…そんな人の子を授けていただけるのなら光栄です」
あかん、この子も狂信者だった。一撃食らったんだけど、神格化されとる…何人の人生歪ませてるんだ、俺。
とりあえず、二人の傷は消していこう。勲章かもしれないけど、やっぱりそういうのはええねん。可愛い女の子がずっと長袖とか背も出せないドレス着るとか嫌やねん。可愛い子はより可愛らしく………うーん、感化されるの早いな、俺。
「…そういえば、ルチルレート様は暗殺者から足洗えたのか?」
「るっちー、名誉顧問。後、様付け要らない。嬢付けも要らない。僕たちはアレクの嫁だから」
「…善処する。閨を共にするまでには」
「なら、一両日中。第三夫人の順番は早い」
名誉顧問って何さ。一応順列あるのね、夫人枠…知らない事ばかりで悩むわ、マジで。てか、一両日って早ない?




