七話 やらかし13歳期
インテリクソ眼鏡が居なくなり、少しだけ家が広く感じる今日この頃…まあ、その分姪っ子が賑やかにしてくれているのだが。更にゴリラ夫人も二人目妊娠中…そろそろ肩身の狭い思いを感じてきてる今日この頃である、穀潰し。
親父にもほぼほぼ勝てるようになり、バリバリ最強No.1の座を掴んだ頃、親父にある打診が届いた。
それは王命で「王子とその側近たちの教育をしろや、ゴラァ(意訳)」というものだった…いやいや、親父にそんなの出来るはずないやん。俺放置子やで、稽古で叩き潰すしか能のないキングコングやで?
それに、王子たちはミュゼットと同い年…つまり、現在7歳。小学生の低学年の時にキングコングに襲われてみーや、死ぬってマジで。俺生きてるけど、それは俺だから生きてるのであって、やわなハートではトラウマになる。
だが、嬉々揚々と受け入れるとか言い出した。お前、せっかく初孫見れて来年には次兄の孫も出来るってタイミングでよく家空けられるなと、王子たちにトラウマ植え付けてなんやかんやて処刑されるじゃないか、連座制で俺たちまで巻き込むつもりかと大喧嘩やった。しかも契約年数10年強だぞ。10年強も家族放置するのかと木刀で叩きまくった。
それでも折れないクソ親父。木刀も折れてない。こうなったら、ミュゼットの泣き落としとばかり声を掛けるが…「お父様が良いのなら、宜しいんじゃないですか?」と塩対応。え、ミュゼットさん何その冷ややかな目…
あかん、ここまでの育児放棄に加えて変態変身姿で完全に興味失っている。クソゴリラも「親父は頑張りすぎだよ、魔物の事も一段落したし王都でゆっくり仕事してきてくれ」とか言い出す始末…いや、魔物の事一段落させたの俺ですけどー?
学費稼ぐ為に辺りの魔物ほぼ滅ぼした。後悔は無い…当面先は氾濫起こらないだろう。ルートの一つに辺境魔物氾濫とかあるのでその原因は潰せた。これで比較的安牌な富豪令息ルートに進んだ場合でも安心である。婚約者の聖女も間接的に救う事が出来た。あんな特級呪物を使う必要無いんやで。
結局、クソ親父は折れなかった。むしろ、俺だけ頑なに反対するから皆が俺の方を説得してこようとしてきた……メルモニカまで。親父の方は他の家族の事だからと口をつぐんでいたくせに。俺だけ悪者ですわ…どうせ味噌っカスである。叩きやすいサンドバッグを叩きたくなるのは人の真理さ。ぐすん…
別に俺だって、親父を心配しているからムキになったわけじゃない。誰が心配するか、キングコングなんか。
インテリ眼鏡が出ていき、親父も出ていく…そして、来年は俺の番だ。世代交代ってのも分かってるし、自立しなきゃいけないのも理解している。
ただ、不安なのはミュゼットの事だ。メルモニカという親友が居て、ゴリラファミリーも居るから安心はある。あるが、それで良いのかと葛藤している。
可愛い可愛い妹だ。シスコン兄ちゃんとしては感じるものがある……あるが、親父みたいに塩対応されたら生きていけそうにない。まだ伝えてないけど、伝えないまま出立するの確定だわ。
まあ、キングコング居ても居なくても金さえあれば生きて行ける。親はなくても子は育つとはよく言ったものである…強くなったな、マイシスター。
所詮、俺はモブ中のモブである。原作では地の文で少ししか出ないし婚約者のメルモニカにはクソボンボン扱いされる程度のキャラ絵も無い味噌っカスである。
後、一年強の時間でミュゼットの人生から俺は不要になる…いや、元々最初から不要なのである。今までが夢のような日々だったのだ。
そろそろ、俺の人生を生きなきゃいけない。