六十八話 やらかし結婚編3
縛られて放置される事しばし……着替えがどうのこうの皆さんが賑やかにあっち行ったりこっち行ったりしてる。うん、もう全員荷物移してるだろ、これ。誰一人として通い妻するつもり無いな…
後、水着がどうとかタオルがどうとか言ってるから、これからどうなるのか悟った。一緒に風呂入らされるわ、これ……いやいやいやいや。
無理。あんな美少女全員に囲まれて風呂とかナイトソード抜刀不可避。そのままパーティナイツしてしまう…逃げよう。
もう少しお互いの事知ってからでええやん。ミュゼットやメルだけならまだしも、るっちーとかほぼ初対面だぞ。もう少し甘酸っぱい純愛育んでから押し倒してええやん…男は意外とロマンチストやねん。
というか、ワレ豆腐メンタル也…抜刀したナイトソードちっさとか言われたらアレク自害する。
椅子のまま少しずつサロンの入口に向かって逃走……ズィーコ、ズィーコと引きずり、何とか入口まで着いた。このまま部屋まで……
「ご主人様、一緒にお風呂行きましょう?」
「………アン。今日はこのまま寝ようかなと思うんだけど…」
「ご主人様…めっ!」
「はい…入ります」
アンには勝てない。10も下の女の子を無下に出来ない……嫁なんだよなぁ…貴族で未成年の子を娶るのは醜聞にもなるが、平民では成年とか関係なく事実婚しているのも多いというガバガバな世界だし。でも、手を出すのは違うと思う。耐えれるかは別だが…
アンに縄を解いてもらい脱衣所へ…後ろを向いている間にアンも浴室へ行ってしまう……逃げたい。でも、視線が浴室のガラス越しに多数背中に突き刺さってくる。心配せんでも下着漁りとかしないし…
服を脱いだ俺の防御装備はタオル一枚のみ…アンも「全員タオル巻いてますから安心してください」と言っていたが何を安心すればええねん。少なくともセリーヌとクリスティーナ嬢に関しては安心出来ない…むしろ、巻いてないとかありそうで怖い。
ええい、ままよと浴室に突入。この家の浴室、やたらと広いのよ…ちょっとした小さな銭湯クラスで。そこに十四人の嫁勢揃い…二、三人くらい恥ずかしいから辞退しても良かったんよ。むしろ堂々としている方が多いとかどうなん?
というか、視線が痛い。むしろナイトソード縮む…いや、バスタオル厚そうでとかじゃなく湯気であまり見えないんよ…これが噂のレーティング対応仕様か(違う)
「ご主人様、順番に頭と背中流してくださいね」
「…何故に?」
「アレク兄様が悪いんじゃないですか。アンにはして、私たちにはしないなんて言うつもりじゃありませんよね?」
アンとメルに押し切られる形で二人の背中を流す事に…しかも全員分。生殺しかな、それとも俺下男くらいにしか思われてないのかな?
二人が並んで椅子に座り、バスタオルを取る…前の鏡に顔は映るが他は湯気でくもって見えない。おのれ、レーティング対応仕様(だから違う)
アンの髪を洗い、気持ちよさそうな顔を眺めた後、メルの髪を洗うのだが…
「メル、もたれかかってきたら洗いにくいんだが…」
「アレク兄様が頑張れば良いだけじゃないですか…それとも、昔みたいに膝の上に乗りましょうか?」
「単に甘えたいだけだな、さては…」
まあ、ミュゼットの侍女として色々苦労してきたからな。甘やかしても良いとは思う…思うが今、膝の上に乗ったらナイトソード暴発する。体そらしてるから見えちゃいけないとこチラチラ見えんのよ。
耐えた。何とか耐えた…横にアンが居なかったらメルを押し倒していたのは間違いない。アンの背中を流した後、メルは「抱きついた方が洗いやすくないですか?」と誘ってくる始末……今度二人だけの時にお願いします。
これ、後六回もしなきゃいけないの?




