五十四話 やらかし妹・少女期編⑧
小兄様の事はともかく、とりあえず落ち着いて話し合いをしたいと伝えそれぞれが席に着く…
「単刀直入に、僕たちをそちらの同盟に加えて欲しい。こちらはアレクの嫁同盟…おそらく、主旨は同じ」
「…それは、ルチルレート様だけでなくミュゼット様やメルモニカ様の総意なのですか?」
「はい。その通りです」
「そもそも、こちらの同盟はるっちーが提案して6年前に結成したものです。といっても、主だった活動は無く、ずるずると今日まで至った形骸的なものでした」
メルモニカ、形骸的ってそこまで言わなくても……事実だけど。むしろ、現時点で破綻しているようなものだけれど…
「でしたら…その申し出はお断りいたします。私めらは協定を結んで一年も経っておりません。私めらがその同盟に加わる方が正しいかと」
「マリアベル様。それは正しい行為ではありません。王族が公爵令嬢の下につくなど…」
「ミュゼ、僕はミュゼとメルの下についてるつもり」
「ミュゼット様。前提が間違っていますわ…アレクシール様が誰を一番想っているか。私めらは間違いなくミュゼット様やメルモニカ様の足元にも及びません。想いは負けていないつもりではありますが、アレクシール様に想われなければ意味がありません…そこには身分は全く関係ないと私めは思うのです。盟主はミュゼット様こそ相応しい…ですから、こちらがお願いする側なのです」
………ん? わたくしが盟主って何の話ですの??
「まあ、アレクシールは口を開けば『俺の妹は〜』ばかり言ってるからね」
「ワタクシの髪を梳いてくださる時も『妹によくやってたから安心しろよ』って優しく梳いてくださいます」
「毎晩、アレク兄様とお話させていただいておりますが、もっぱら内容はミュゼット様の様子はどうだったですからね…嫉妬すら覚えます」
あれ、レシアさんやシルディナ様は分かるけど、メルモニカからも撃たれてる。いつの間に小兄様と話すくらい仲直りしたのよ。だから最近いつも眠たそうにしてたのね…ズルい。
「メルモニカ、後でお話があります」
「ミュゼット様、嫉妬している場合ですか…意図的に会っていないるっちーを除けば、懇意にしている方々なんですよ。アレク兄様に想われているのに仲直りしきれていないミュゼット様が悪いんです。それを盟主にして皆が仲直りの方法を考えてくれると言ってくださっているのですから、素直に応じてください」
「うっ………分かりましたわ。皆様、よろしくお願い致します」
確かに、誰かに頼らないと小兄様と仲直りするのは困難……なのかしら?
まあ、ここに居る方々を出し抜いてわたくしだけどうこうというつもりは無い。むしろ、羨ましく思う…
どう小兄様と接しているのか聞いて、参考にして向き合わないと。
「では、まず私めらが行っていた事をご説明しますね。アレクシール様の陞爵によって、現在私めが降嫁出来る伯爵にまでは到達出来ております」
「え、小兄様が伯爵なんですか?」
「はい。騎士団の分隊長は伯爵位以上でなければなれませんし」
知らなかった…小兄様が伯爵とか。知らない事多すぎるわね、わたくし…
「ですが、目指すのは侯爵位です。これだけの人数を娶るとなると伯爵位ではやっかみも多いでしょう。何かいい事件でもあればですが…」
「悪徳貴族、処す?」
「るっちー、アレク兄様を危険に晒そうとしないでください。アレク兄様なら自力で掴み取れます」
そんな大事件が毎年起こる方が不思議なのでは…王都って怖い。
そういえば、アニメでも色々事件があったような……あ、マリアベル様の足とか。
「マリアベル様、不躾ですが…左足とか大丈夫ですか?」
「はい、大丈夫ですよ。アレクシール様もたまに同じような質問をされますが、この通りです」
少しだけスカートを持ち上げて見せてくれるけど、アニメみたいに義足じゃなくしっかりと生身の足がそこにはあった。良かった……
あれ、小兄様…足フェチ?




