四十一話 やらかし22歳期・隊長編⑩
マリアベル様に家の事は任せ、騎士団庁舎に殴り込みしたが…次期騎士団長の座は覆らなかった。なので腹いせに全員ぶっ倒してガン◯ム・ザ・ガ◯ダムの真似した(そういうとこやぞ)
団長になる事に伴い、必ず従士が必要という事で帰りに現れたレシアを君に決めたした。従士教育に金貨三十枚……侯爵なのに金欠。
なんか、今までの給与も爵位反映してなかったとか正式に爵位渡してなかったとか色々不備あったらしい…不備というか、王子派の妨害と国王の怠慢。マリアベル様が気付いたから来月一気に差額分入る…税金差っ引かれて。王女命の無駄遣いすな。
それまで銅貨三枚(レシアに金貨三枚渡して、掃除用具買ったら金貨尽きた)で過ごせと……食堂で無料のカレーばっかり食う生活か。ハハッ…
*
セリーヌやクリスティーナ嬢のご飯差し入れや掃除手伝い、マリアベル様やシルディナ嬢のお菓子差し入れなどで何とか生活出来た。
騎士団長の引き継ぎ業務とか、レミルーファ嬢の突撃隣の道場破り(隔日実施)とかあって大変だったけど。あの子サムライマニアだったわ、原作でも…今度木刀プレゼントしてやるか。
そんなこんなで日々を過ごし、やっとミュゼットとメル、それにアンが帰ってくる事となった。皆を呼んでささやかなおかえり会をするつもりだったのだが………
「何故、ここに居るねん。処す子ちゃん……」
「処す子じゃない。僕はルチルレート・スタンティーナ…貴族学園前生徒会長にして、アレクの婚約者」
「待て待て待て、また情報量過多やん」
ミュゼットたちがサロンにやってきたと同時に入ってきたのはドレス姿の処す子ちゃん。スタンティーナって、公爵家ですやん。前生徒会長ってミュゼットの知り合いですやん…どゆこと?
「小兄様。諦めてください…今日まで誰も伴侶に選ばなかった小兄様が悪いのです。ここに居る14名、纏めて娶ってくださいませ」
「いや、だから説明…」
「アレク兄様。後できっちり説明します…まずはこちらにサインしてください」
ミュゼットには恐ろしい事言われ、メルには結婚証明書を突きつけられる…既に14名の少女たちの記名済みのを。
「アレクシール様、今なら王女命で未成年の私めたちも含めて結婚出来ますので、ご安心ください」
「何を安心しろと…」
「嫌ですか、お兄様…」
マリアベル様には安心しろと言われ、シルディナ嬢は泣きついてくる…嘘泣きだろ、それ。でも勝てない…
「アレクシール、裸見た責任取れよ!」
「先輩、自分が妻ではダメでしょうか…」
「アレクシール卿っ…お願いします」
「待て待て待て……」
レシアにセリーヌ、クリスティーナ嬢まで畳み掛けてくる。
彼女たちはまだ良い。彼女たちだけなら迷わずサインしていただろう…後、アンも。だって、短編版のメンバーだもん(メメタァ)
でも、問題は…噛ませ犬五人衆よ、なんで名前書いてある(処す子ちゃんには怖くて聞けない)
「ミスティア嬢、エルミディア嬢……年上の殿方の所へ嫁ぐのでは?」
「ですから、こうしてここに居るのですよ。旦那様?」
「ルチルお姉様を娶るのなら、公爵家の秘密を知るあたくしも安心してアレクお兄様に身を捧げられます」
は、嵌められとる……しかも、スタンティーナ家が処す子ちゃん所属の暗殺集団って遠回しに教えられて逃げ場無くなった……
「な、なら…レミルーファ嬢、シェリチェ嬢、ラティーナ嬢。有能な方との縁ってのは…」
「無論、アレク殿の事だが?」
「兄さん。同じ秘密持っとる同士、仲良くしよな」
「ユニコーンの角を賜る聖人様以上に有能な方は居ません」
あかん、完全にロックオンされてる…後、ユニコーンはぶっこした。そこは間違えないで欲しい…
こうなりゃ最後の良心、アンを頼るしかない。このままではあの村の村長たちと変わらんぞ…
「なあ、アン…こういうのはおかしいよな。この世は一夫一妻が良いよな?」
「ご主人様…みんなと一緒にお風呂入りましょう?」
「……………はい」
完全敗北。前世の大学の恩師が言ってた。結婚とは誰にも咎められずにその相手と合体出来るんだって…いや、マジで。
こんな美少女たちにそれを求められて拒めるわけないじゃない。俺は素直にサインした…
「でも、ミュゼット…俺たちは実の兄と妹だし、さすがに受理されないんじゃ…」
「はい、小兄様。これで満足かしら?」
「………マジすか?」
「ええ。マジでしてよ…愛してますわ。小兄様…きっと、前世から」
ミュゼットの渡してきた紙…そして、その言葉を知るにはもう少し時間が必要そうだ…
【三章に続く】




