二百八十九話 やらかしのその後1
はや新婚一年。そんなに経てば慣れる新しい生活……とはいうが、新大公爵邸はまだまだ完成していない。ミキサー車もクレーンも無い世界の建築現場は工期が長いのである……予定では後三年。ナガタニエン…
まあ、人材(元貴族郎党など)は沢山居るらしいから資材高騰とかしなければ遅延はないだろうとの事…
だが、それでは遅いのよね…
「どうにかして妊娠期間を延ばせる方法とかないだろうか?」
「聖人様、さすがにそれは神の御業でも無理ですよ…」
「焼きそばで引き受けそうな気もするんやけどな…今流行りの焼きそばの聖女とかってのが」
シェリの言う焼きそばの聖女は、ラティーが(計画)妊娠したから現れた自称女神である……何やら、メカファフニールがどうとか竜王がどうとかで金が必要になった屋台店主の金策らしいがよく分からん。ファフニールってドラゴンだった気もするが、そんなファンタジーな生き物居ないだろ(ユニコーンの事忘れてる)
そんな事はさておき、ラティーの進学の問題である…ただでさえ、ティアたちが休学したから半年入学延期して、結婚したから更に半年。そして、癒しの力を子どもにという卑しい考えで第一陣にねじ込んできた(むしろ、ミリスベルとリテラ以外はまだハラマスコーイするつもりなかった)という……つまり、今年も入学しなかったのである。まあ、マリアもしなかったけどさ。
進学より実務が忙しいし、大公爵夫人という肩書きあるからというマリアの判断はともかく、ラティーの場合は単に進学したくないだけなのではと思い始めた昨今…
まあ、学校なんて行かなくても聖女は引退するまで安泰だからいいか(もうどうだっていいや)
さて、そんなのより手狭な我が家で子育てが出来るかという問題である…現在、空いてる部屋は皆無。子ども部屋が足りない…乳母雇う部屋が足りない。
エレーヌさんだけで数人の赤子を見るのは不可能なので、嫁実家から応援求む状態……なのだが、本人たちは育てる気満々。貴族なんだから少しは楽すれば良いのにと思うが現代思考なのである。
つまり、当面夜這い出来ないという構図……で、愛人を見繕っている嫁がチラホラなのである。嫁公認の愛人とか、やがて夫人に加わるフラグじゃんか。最悪、嫁死亡フラグじゃんか…そんなのは認めない。
というか、一月我慢出来てたんだから人を性豪みたいに扱わないで欲しい。それはカノーラ家の血筋とか思わないで欲しい(嫁二人は間違いなくその血筋)
「まあ、ミュゼットはんとコニーちゃんは独占欲強いから仕方ないやろ……本来なら第一夫人が率先して後継ぎ作るはずやのに、頑なに最後望んどるし」
「出産は命懸けですからね。仮にミュゼット様に何かあれば聖人様がどうなるか…」
「いや、ミュゼットに限らず嫁たちに何かあれば廃人になるからな、俺」
だからこそ、育休導入していつでも出産に立ち会えるようにした。王都だから産院もあるにはあるが、旦那は外って所が多いから自宅出産一択にした。最近では小聖回復の鍛錬も真面目にしている………通常でも腕なら新しく生やせるくらいまでにはなった(前例はあったけど)
問題は同時に出産するとかってなった場合…………ユニコーンの角使用不可避。もう二、三匹狩っておかないといけない気もする…
とりあえず、焼きそばの聖女雇おう。焼きそばの材料買い込もう…
「雇うのは構わんなんやけど…何処に住まわせるつもりなんや?」
「……庭にテントでも置けば良いんじゃないかと」
「自称でも女神なんですから、それはどうかと……」
なお、喜んでテント生活を始めた模様……それまで野宿とかどういう自称女神だよ。




