二百六十九話 やらかし新婚編9
春は揚げ物、夏は汁…そうめんとかざるそばとか夏バテで食べやすいものが恋しくなる季節。それでも、嫁を膝の上に乗せて愛でるのはやめられない止まらないである。
でも、嫁たちがそれを是とするかは別問題。大半は暑苦しいと拒むのである…夏が憎い。まあ、羞恥とかもあるけど…(人目のないところではギュッとする)
ただ、数人は好んで膝の上に座ってくる。その筆頭は言わずもがなシルディである。
「お兄様。そこはダメです…」
「いいじゃないか。少しくらい…」
「そういうのが一番ダメなんです…」
ただの帳簿付けだよ? 嫁へのお土産を経費扱いしているだけだよ。後、ちゃんと税理士に見せるのは作ってあるよ(これは単なる俺の小遣い帳である)
というか、サマードレスという薄着で責めてきてる方がダメなんですが…ロリコンナイト、昼から盛りそうな休日である(いつも盛ってるけど)
それでも盛るのを堪えて小遣い帳をつけるのは、俺の金遣いが荒い疑惑をもたれたからである。服に縫い付けた金貨の数まで把握されてるのだ…なお、へそくりは多々ある(主に師匠の獲得賞金)
まあ、単に毎日スイーツ買って帰るのが原因。借金してまで嫁を太らせたいかと言われたから清廉潔白を証明するのだ(それでも嫁たちまだ細い)
それに、高級なお菓子ばかり買っているわけじゃない。むしろ、質より量な嫁たちばかりなり。無論、衛生面とかはちゃんと見極めてる…
「毎日こんなに出費してるんですか…」
「これでも少ない方じゃないか。人望無いから部下に奢るなんて機会もほぼ無いし……バナナ以外」
「そういうところはきちんと出費した方がいいと思います…」
バカに食わせるのはカレーだけで十分。それでなくても散財しているから金欠になるんだよ……飲む打つ買うばかりなり。なお、飲む打つはするけど安酒と競馬だけなアレクである。
それに新婚合体するから定時上がりするのは当然だよ。定時後の飲み会は業務として残業代出さなきゃいけないのよ。昔、一度だけやったけどロクな事にはならなかった(制服クリーニング代を沢山請求された。未だに解せぬ)
クリーニング代に比べたら嫁へのお土産なんて可愛いものである。そこはシルディも納得してくれた……多分。
それに、これから出費は増えるのだ。嫁たちの学費とかいずれ産まれてくる子の養育費とか色々………後、新しい屋敷の費用。なお、結婚祝いとして王家とかから多額の補助あり。
それに何より嫁たちには菓子だけじゃなくて色々贈りたいという男心。嫁が侮られるという事は大公爵への侮辱行為。だから金かける理論……理屈は通じても清貧のイメージ(孤児院に色々支援している事実)に反すると反論された。
「夜会とかドレス要るやん。化粧品だって必要やん。アクセサリーだっていっぱい着けたいやん」
「お兄様…そういうのは各自、自分のお金で買います。大なり小なりありますけれど、ちゃんとお給料貰ってますから。貰っていない人にだけ贈ってください」
「…ほぼ居ないやん」
アンでさえ仲良くなった他家のメイドとか引き抜いて(処遇が悪い人のみ)、新しい屋敷が出来るまで限定でメイド喫茶始め出した始末(コニーの入れ知恵)…
俺の嫁たち有能過ぎて、下手すれば俺の給料より稼いでる気する…(なお、甲斐性見せるために嫁には生活に関する金出させない模様)
金は天下の回り物だけど、確実に俺の方が先に逝くんだから貯めてた方がいいんだけどなぁ…とか言ったら泣かれるので言わない。
ただ……最近、俺を誘うための衣類は増えているのは把握している。チョロ旦那アレクは、その罠に毎回引っかかるのである。無くても引っかかるけど…無駄遣いはいけないと説いても増えるのだ。
なお、某商会から買ってるのでデザイン原案は俺だから回り回って嫁から搾取しているのだが……経済規模が小さい上に結局、嫁たちの土産代で還元している事実。
その事がシルディに発覚しないわけがないはずなのだが……色々と微増したからかなぁ(でもまだ足りない。モチモチ感が足りない…でもそれがいい)




