二百六十三話 やらかし新婚編3
勿論、そんな世迷言は却下された。まあ、元貴族(騎士爵)がクビになってそんな仕事するわけないよな……俺がクビになったらするとしよう。
「旦那様。大公爵がするような仕事でしょうか、それは?」
「職に貴賎は無いんだぞ、ティア……ただ、やりたいかやりたくないか、やれるかやらないかだけなんだ(うほっ)」
「うほっやないやろ…」
レミのツッコミはともかく、ティアは当然難色を示す…そうだよな、人力車より御所車だよな。え、それより馬車だってか。押し車か富車の方が…って言ったら殴られた。レミのツッコミは厳しいぜ(働くポンコツ車のアレクです)
まあ、全部一通りやってるけども……後、今夜もやるみたいだけど(今夜の夕食も精のつくものの匂ひがする)
アリスベル様たちも食べて帰るか誘ったが、そんな無粋な事しないと言われた…別に飯食うくらい無粋ではないと思うんだが。それともあれか…さすがに人妻は許容範囲外なんだが期待されてたのか?(そんなわけないのは分かってる)
*
食事を済ませ、日課の入浴……最近、風呂が攻防の場になっている。無論、敗北した…げっそり。
「なあ、メル……どうして全員そんなに張り切っているんだろうか?」
「アレク兄様。大公爵が妻を沢山娶っているのに誰一人子を成せていないというのは醜聞になるからというのが建前です…」
「…本音は?」
「差異はあれど、長年想い続けてきたアレク兄様に目一杯愛されるんですから、積極的になるのは当然です」
左様か…一休みと逃げ出して紅茶をすする俺と給仕を買って出たメル以外は部屋で待機シャトル…第二ラウンド不可避。
愛されるよりも愛したいアレクだから相乗効果で盛んなのは仕方ないのよ……もっとも、一部は仕事とかどうするんだろう?
「愛するのは構わないんだが…仕事は産休とかでどうにかなっても、学業はどうするんだよ…」
「アレク兄様。貴族学園の事を気になさっているのなら杞憂ですよ……淑女が一番大切のは良い殿方と結ばれて良い妻として支えるという事です。ましてや、私はさておき他の方々は現時点で国の要となりうる方々ばかり…学業に関する負い目も無いかと」
「メル…ミュゼットと同率の次席がさておくわけないじゃん」
私はいいのですって俺のメイドが天職と断言するメル……とか言いつつ、ミュゼットに同行して国政とか王都の重要事項に携わっているのである。第二夫人である時点でかなり重要人物なんだが、イマイチ自覚足りてない気もする。
なのにメイドで満足してる……メイドプレイで満足させすぎたのだろうか。いや、俺が不在の間にメイド根性を獲得したのだ…つまり、犯人はルチル(決めつけ)
まあ、俺が万が一ミュゼットだけしか選ばなかったらメイドだと言って付いてく付いてくして既成事実達成させようとしたんだろうけど…(そして愛人として押し掛けてくるルチル……恐ろしい子)
そんな初期の計画の弊害なんよ…きっと。未だに第二夫人の地位が過分だとか思ってるのもそれが原因かと……まあ、俺なんでか大公爵だもんな。ただの野猿が…
それを言えばメルも他の面々も大変。ただ、そういう地位とか抜きにしてでも結ばれたのは事実……いざとなったら全員で他国逃亡とかしてもいいのよ。とか言ったら、反旗を翻して国を乗っ取るとか言う嫁が数名……嫌や、王様なんてしたくない。邪智暴虐の自覚はある…
一介の騎士でよかったはずの俺と、ミュゼットの侍女でよかったはずのメル……お互いにどーしてこうなったと思うのであった。まあ、ほぼ俺のせいなんだけども…




