二百三十話 やらかし結婚式準備編18
今夜のメニューはアレクの巻物〜椅子を添えて〜……いつものように椅子に括り付けられているのである。
「アレクシール…コニーの何がいけないというんだ?」
「親がゴリラな所」
「それはどうしようもないじゃないですか」
ゴリラ夫妻に問い詰められている俺……このゴリラ夫妻が義父母になるとかマジ拷問。そして最後かつ最大の懸念事項であったりはする。
そりゃあ、もうロリコンでいいやと諦めかけているアレクくんですが、いくら戦犯Hの知識があるとはいえ親から子を引き離すのは憚られる。ネグレクト気味だとしてもだ…
そんなロクデナシの親に懇願されても心動くわけないべ。というわけで、ピッチャー交代…何故か甥姪に問い詰められる事になるおいたんである。
「アレクシール叔父さんには姉さんを引き取ってもらわないと困るんです。カノーラ辺境伯の小猿は野猿の再来かって散々言われているんです」
「…甥っ子よ、類人猿の宿命から逃れられないのがカノーラ家だ。キングコング、ゴリラ、インテリ眼鏡改めメガネザル。そして野猿と小猿………ミュゼットは何ザル?」
「小兄様、聞こえてますわよ?」
そこは聞かざるってしといてくだちい…着飾るでいいや。猿は男連中とコニーちゃんだけでいい。
まあ、ニコラスくんの懸念も分かる。俺譲り(譲った覚え無し)の獰猛性とミュゼットに似た美貌(そばかすなんて気にしてたので消そうとしたらメイクだった事実)、そしてルチル仕込みの教養(夜の込み)……ミュゼットの下位互換かとおもっていたらカノーラ家の最高傑作(笑)だった。
いくらゴリラ夫妻が長男を推してもコニーちゃんの優秀さは隠せない。なお、一時期俺に辺境伯を継がせる話も昔あったりしたから尚更のようである。
まあ、当の本人は俺の嫁になるって気だから辺境伯なんて興味ない。むしろ、結婚する為なら独立国になりそう…だからか、このままではスピカちゃんとの結婚も危ういとか言う恋愛脳の甥とお花畑の姪……
その思考の方がよっぽど危うい。その年齢でそう思う事自体が…貴族としては有能かもしれないが。
「別においたんとしては、辺境伯領の事なんて興味ないし二人の恋愛を邪魔するつもり無いけど…それでコニーちゃんを追い出そうとするのは感心しないなぁ」
「おじちゃんには分からないんです。コニーお姉ちゃんは周りの大人たちからいっぱい褒めてもらえます。でも、ニコラスくんは親からしか褒めてもらえないんですよ…」
「あー………俺のせいだな、それは」
野猿の再来とか、辺境伯の人間は魔物倒せてなんぼって風潮は昔からある。その為メガネザルはあまり大人からの受けが良くなかった…まあ、ルクシール領復活を目指していたから一定の評価はあったが。
それに比べたら、ニコラスくんのメリットは男って事だけだ。どう見ても俺たち戦闘民族向きの性格じゃなさそうだし、俺が魔物を沢山間引いたから辺境伯の人間が出張って戦うまで喫緊の状態でない。むしろ、戦ったら胴体真っ二つにされるまでありそうである(しかもリピート再生不可避)
一方で、野猿の再来でチートしまくるコニーちゃんである。ゴリラ夫妻がネグレクトしても、メルの母であるアマンダさんも居るし俺関係やらかして貴族の子どもの生活状況調査もあるから定番の搾取子とかは無い。
結果、劣る方が周りからは軽んじられるわけである。昔の俺みたいに…
「…二人はコニーちゃんが嫌いか?」
「姉としては好きですが、後継を争う立場としては大嫌いです」
「ニコラスくん…お前、精神年齢いくつよ?」
小学生低学年なのに、言動が子どもっぽくない……ゴリラ嫁の教育方針が悪過ぎて泣ける。ルチルが居なかったらミュゼットやメルもこうなってたのかと思うと号泣ものである…




