二百二十五話 やらかし結婚式準備編13
結局のところ、行き着く先は当人同士のお話である…平然とその手の店に行く父ゴリラと、学費の為に売り飛ばす母ゴリラ。そんなロクでもない親より本人の気持ちである。元辺境の野猿、小猿を知ろうとするの巻…
「コニーちゃんは、別に結婚してまで親から離れる必要ないんだぞ。俺に助けを求めるなら保護って形でも良いし、学費援助だってするし、何なら将来の職業斡旋だってする…望むならキングコングとゴリラをぶっ飛ばして辺境伯にだってなれるんだぞ?」
「お兄ちゃん…難しい話をしてコニーを拒むつもりだねっ!?」
「……しまった、この娘もカノーラ家の血筋だ」
我が家のアホの思考を完全に受け継いでいる…特に恋愛脳と脳筋方面。伊達にミュゼットの妹分ではない。
そもそも、ルチルの技を覚えているのだ…三年以上前に。しかも、ミュゼットたちより高度に…
その頃から確実に俺を狙っているのだとしたら、貴族学園とか小猿とか全てどうでもいい話…むしろ、それすら利用して俺に迫ろうという悪知恵が回るはず。それも我が家のアホの思考(恋愛編)
つまり、俺に逃げ場無し。助けて、嫁えもん……誰に頼るべきか。ここの選択重要…
ミュゼットとメルとルチルはまず論外。既に誰の部屋でコニーちゃんを寝かせるかまで話し合っている…その時は部屋作るて。俺の部屋広いから仕切って一部屋増築するって。俺に執務机なんて要らんねん…(机はプレイにしか使ってないし)
レシアとセリーヌとクリスもダメだ。辺境伯令嬢なんて肩書きに尻込みするのが目に見える…むしろ、面倒だから受け入れるってタイプだし。
ティアは想いの長さとか言うから絶対受け入れるし、エルはルチルに従うし、レミは嬉々として稽古相手になる。シェリは原作知ってるから独身は可哀想と思ってるし、ラティーに至っては俺の辺境伝説を聞く為にとか言い出すだろう…
マリア、シルディ、アンに至ってはお姉ちゃんと呼ばれてメロメロである。むしろ、マリアが成人した後の事を考えてとか算段しているのを以前聞いた…ロリコンナイトには二人では立ち向かえないんだと(そりゃそうじゃ)
リテラもドレスと指輪を手配したわけだから同様なのだろう…むしろ、絆されたのは目に見えて分かる。軽はずみな言動で嫁にしてしまったツケである…後悔はしてないけど。
つまり、頼れるのはミリスベルだけ………あ、詰んだ。間違いなく詰んだ…だってミリスベルだぜ(ほぼ期待してない。酒も入ってるし)
だが仕方ない…期待してないけど期待しよう。やれば出来る子、ミリスベル……やったとこ見た事無いけど。
「コニーちゃんはまだ十歳なんだよ。アーくんだってさすがに一人の女の子って感覚より妹や娘に近い気持ちでしか見れないと思うよ…ましてや、生まれた時から知ってるんだから尚更…」
「そんなのは分かってます。お兄ちゃんにとってコニーは姪っ子だって…でも、この国の歴史を辿れば姪っ子だって王妃になってますし、ましてやお兄ちゃんとクソゴリラたちは実際従兄弟。ミュゼットお姉ちゃんが結婚出来るのに年齢や戸籍だけでダメって言うのは違います」
「うっ……アーくん。やっぱり無理だよ…この子、マリアと同じくらい覚悟決めてるよ、絶対…」
ミリスベル敗退…知ってた。マリアと同等とか言ってる始末…そんな気はしてた。むしろ、それ以上と思ってるけど…
というか、コニーちゃんも口悪い……まあ、クソゴリラだけど。子ども放置して花街に消えるクソゴリラだけど。
やっぱり前世あるんじゃないかなこの子……だったら尚更、俺みたいな三文安選ばないとは思うけど。
だが、コニーちゃんはその考えを論破していく…
曰く、俺は辺境を救った奇跡の英雄…単なる肉と金と安全を得る為に戦って、知識ひけらかした無能なガキ野猿のムーブなんですが。
曰く、そんな忙しい中でも昔からずっと愛を注いでくれた優しいお兄ちゃん…まあ、ミュゼットとメルにくっついて回る子を邪険に扱うなんて出来ませんがな。言い方悪いけど、ついでですねん…
………あれ、俺が論破してない?
「うぅぅ……お兄ちゃんはコニーの事が嫌いなんだぁ…」
「そんな事あるわけなかろうもん。おいたんはコニーちゃんの事が世界一好きだぞ……姪っ子として」
「姪っ子として……実は本当の娘とかじゃなく?」
何をぬかしてますねん、この姪っ子。ゴリラ嫁と俺が寝たとかあるわけなかろうもん…ゴリラ、花街なんか行くから父親として見限られてますわ。




