二百十四話 やらかし結婚式準備編2
各個の下手なプレゼンテーションがやっと終わり、第六分隊の番である。というか、長年やってるくせに上達しないのどうなのか…やっぱり各隊に事務方雇おう。
さすがに任期一年目どころか、一月足らずのルチルと俺の右手…ではなく右腕ではあるけどセリーヌとて副隊長としてはまだまだ新米なので、二人に代わって俺が報告する事になっている。事務方雇おう。事務トレーナーとか事務コマンドとか必要だわ(要らん)
「まず、人事についてだ。俺ことアレクシール・カノーラが嫌々ながら渋々新しい王宮騎士団の団長に仕方なく推挙された事により空座となった隊長に新人ながらも各所にて覚えめでたいルチルレート・スタンティーナ公爵令嬢を据える事となった。なお、これは前騎士団長及び前副団長の推薦並びに王命に類する強制力のあるものだ。異議があるなら王城に行って嘆願してこい」
俺の説明に嘘はない。王命は出てないけど王様の言う事は絶対である…どうせ裏でマリアも動いてるわけだし、王女命みたいなもんだろ実質。更にミリスベルもアリスベル様も噛んでる。覆す方が無理。そもそも公爵令嬢だし…
その言葉におっちゃんおばちゃん連中は諦めの顔になる。まあ、お前らが俺を団長にしようとしたからそうなった結果であって、異論唱えるなら隊員押し付けるぞって話である(第六分隊は鼻つまみもの集団)
「それに加えて、セリーヌにはしばらく俺が兼任していた副隊長としての任を与えた。ルチルとは以前から親しく他に適任者は居なかったから当然の措置と思ってくれ。これに異議があるのならかかってこい」
「アレクシール、無駄に喧嘩売るなよ」
レシアが叱ってくるが、副隊長格にまでケチつけてくるなら再編が一気に加速して楽なのにという魂胆もあるのだ…が、さすがに全分隊が所属を狙っていた実績があるセリーヌの人事に対して文句を言う奴は居なかった。居たとしても未だに気絶していた。
「加えて、前騎士団長に倣って従士であるレシアを副団長に据える事とした。悪しき慣例だと思うなら前団長に文句を言ってこい。騎士学校で教鞭という名の暴力を振るっているから根性叩き直してもらってこい」
チンパンジーの親はチンパンジー。そういう事である…まあレシアが居ないアレクくんがどんな暴走しても構わないならいいのよ。ストッパーの居ない暴走機関車です…夜は壊れた蛇口です。
という牽制の後は業務報告である。他の隊に負けず劣らず酷い内容…城下での器物破損多数とかどっちがならず者なのか。騎士団の出費の三割は弁償代なのよ。その四割が第六分隊なのよ…
なので、今後は過度なものに関しては自腹にする。言っても聞かない治らないのだから仕方ない。なお、他の隊も当然同じ待遇…
そんな話を織り交ぜつつ、報告を終える。まあ、納得はしてないだろうおっちゃんおばちゃん連中の事など気にしてたら終わるものも終わらん。むしろ、俺自体が他の各隊の報告に納得しとらん…
何よ、第一分隊の力を誇示する為に店の酒樽壊して回ったとか。この騎士団からの卒業目指してんの。他の騎士団から「俺んとこ来ないか」とか言われたの?(あふぉー)
他にも色々とツッコミたいけど、そこら辺は前任者が悪い。父ンパンジーの責任払いだ。俺、就任したの五月からだもん。
各部隊の報告が終わったら、後期の各部隊予定である。直近なのは当然、俺たちの結婚式……結婚式といい、クリスマスといいロクデナシ部隊に重い任務が多過ぎるのは分かってる。だから、夏休みには学生見学会させたりすんねん。平等に重責課してやんねん。
他にも貴族学園の文化祭とか、競馬の国王賞(秋)とかの警護や警備もある。十一月の行事が乏しいので、騎士団主催の交流祭とかやろう。
そんな行事追加はさておき、結婚式に伴う警備体制の話である………その結婚式に出る当人が決めなきゃいけないとか本末転倒もいいところなのはどうなのか……本当に無能集団である。
 




