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二百十話 やらかし結婚ミスティア編②


話が一段落したので、少し休憩をするとの事でミュゼット様と二人で話し合う事にした…本当の事を知ったからこそ腹を割って伝えなければならないと思ったから…



「前にも話しましたけれど、私が旦那様を好きになったのはミュゼット様が話す旦那様に好感を持ったのがきっかけでした……」


「……わたくしも歪めてましたのね、やっぱり」


「いえ、そこを責めているわけではありません。ただ、気になるのです…皆様の前世、『華の乙女と星の王子たち』は男の人に愛されるように頑張るミュゼット様のお話……なのに、ミュゼット様は旦那様を選んだ。しかも、家を離れるまでは実の兄妹と思っていたのに…それだけ殿下たちに無い魅力を感じていたのですね?」



そう尋ねると、心なしか不貞腐れていたミュゼット様は渋々という様子で語ってくださった…


前世の母親はエルヴァン様たちをそういう目で見ていたと。そして、その所為で前世のミュゼット様はアンと同じほどの年齢で苦労を強いられた…


その結果、あの五人に対する好意は皆無。むしろ憎悪まで抱いていたかもしれないと…


逆に女性に対してはさほど興味は無く、むしろ他人に振り回される姿を自らと重ねて不憫に思うほどだったという…性格などには嫌悪されてはいたけれど、あくまでも実害を生じさせていたのは殿下たち。私たちは物語の登場人物止まりのはずだったと…


そして、それとは関係無い旦那様の存在…母代わりの愛をふんだんに注いでくれたら当然そうなりますわね。



「…初めて会ってメルモニカに謝罪した時、あまりにも違いすぎて驚いたくらいですわ。でも、だからこそ小兄様の事を話せる間柄になったのです。そして、小兄様の妻になる事を認められました。きっと貴女たちが本来の姿であったなら決して認めませんでしたけど」


「…当然です。おそらく本来の私なら旦那様に嫌われても仕方ないでしょうし……今の旦那様、今の私、そして今のミュゼット様たちだからこそこうして幸せなのだと思います」



生来、私は愛に飢えていたのだと思います。不器用な両親の愛に気付きもしないまま、周りからの愛を求めて…けれど公爵令嬢や王子の婚約者という面でしか見られない私は徐々に狂っていった…


シェリチェ様が側近という枠を超えて親愛を与えてくださり、ミュゼット様の愛を語る姿に愛を教わり、旦那様に愛していただけた…


きっと、それらが無ければ私は哀れな女で終わっていたのでしょう。悪役令嬢という表舞台から消えて当然の評価のままに…


実感は無いのですけれど。



「まあ、小兄様でも役に立って誰かを幸せに出来たのならよかったですわ…」


「……むすっとして言われても反応に困りますわ、ミュゼット様…」



旦那様が大好きなのは重々承知していますが、同じ妻に嫉妬するミュゼット様も可愛らしいですね。


というより、中身が前世の年齢のまま止まっている気もします…前世という秘密の共有を旦那様に暴露されたから優位性を失ったと嫉妬しているのでしょうけど。


旦那様の事は勿論、そんなミュゼット様も愛しく思ってしまいます……好きな人に好きと伝えられる大切さを教えてくださった方という事もありますけれど、こう…猫っぽいところとか。


きっと、ミュゼット様の前世も本来の私も愛に飢えていたのでしょう…似た者同士、旦那様やシェリチェ様が居なければ本来の通りいがみあい命のやりとりをしていたのかもしれません。


でも、今は違う。思えば、私の価値観の変容なのかもしれません…シルディナ様が側妃であればなどと考えられていたならきっと違ったのでしょうし、第一夫人の座を狙ってしまったのかもしれません。結局は心変わり…


あるいは、それこそ私たちの前世だったのかもしれません……旦那様と巡り会えず無念の死を遂げたもう一人の私の…

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