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二百八話 やらかし結婚エルミディア編②

話し合いを終えて、ルチルお姉様と一緒に前世持ちの人たちが書き残した変な書物を再び見る事にしました。



「…ルチルお姉様。この他にまともな書物はないんでしょうか。それこそ他の公爵家や王家に伝わるものとか…」


「探せばあるかもしれない。でも、こいつらやアレクたちみたいに伝えたり残したりしなかった方が多いと思う……」


「……もしかしたら、歴史的な人たちの中には前世を持っていた方とか居るかもしれないですね」



間違いなくアレクお兄様は後世に偉人として語り継がれる……この先に大罪を犯さない限り。


そして、前世の事はあたくしたちだけが知るだけに留まると思う…でないと、前世を持っている有用性が知られ過ぎて悪用されかねない。


それこそ、アレクお兄様のような力があり、その反面善悪の区別がつかない何かが国を滅ぼしかねない…


……実際、この書物をみれば力がある上に善悪の区別がつかない異端者が多すぎる気もします。スタンティーナ家がいかに危険な家か…


今のあたくしも勿論ですが、アレクお兄様たちが語ってくれたあたくしはどこまで知って受け入れていたのでしょうか……




スタンティーナ公爵家とその寄子である貴族家は基本的に暗殺を生業としている集団…勿論、領地運営も行うけれどそれは代官やそちら方面の教育を施された長子以外の子が行う事が主だった。


あくまでも、暗殺が主体。その中で暗殺においてもその他の事に関しても秀でていたのがルチルお姉様だった。


そのルチルお姉様をある意味で腑抜けにした「ミソッカス」…もとい、アレクお兄様の存在は全ての構成員に衝撃的だった。


大人すら勝てない天才であるルチルお姉様の攻撃を避け続けた上に心さえ奪った…空想のような方の存在を疑った事すらあった。


そして、ルチルお姉様がある日突然「押しかけ女房してくる」と出て行かれて数年してふらっと帰ってきた時には驚きだった。捨てられたのかと…でも、そうじゃなかった。


二人の妹分に公爵家夫人並みの教育を施していた…今思えば、


アレクお兄様が王都に居た事…そして、王子派の暗殺者が顔を木刀で斬られ殺された件(世間一般では王女襲撃事件)の相手方だった事……


何もかもが衝撃の連続だった。そして、極め付けは…言うまでもなくミュゼット様のお兄様であった事。


ルチルお姉様以外にも数多くの方に愛される人柄…いつしかあたくしも惹かれていきました…




「…ルチルお姉様は、もしアレクお兄様が前世持ちだったと前から知っていたら処理していましたか?」


「……出会った当初に知ってたら、変わってたかもしれない……とは思わない。アレクは僕を『処す子ちゃん』って呼んでた。それはアレクにとって知ってるぞって証拠…暗殺の事も知っているって暗に言ってた……それは前世で知って分かってたって事。それでも処理出来なかった……その時点で僕たちの生殺与奪をアレクは握ってた。ミュゼを害するって判断されてたら魔物の次に滅ぼされてたはず」



アレクお兄様の知るあたくしとルチルお姉様は、ミュゼット様の幸せを邪魔するだけでなく命を脅かす存在…もし、アレクお兄様がそう判断して短絡的に動いていたなら…


でも、そうはならなかった。あくまでもミュゼット様の自主性に任せていたのでしょう…その結果が今なのですが。



「でも、そう出来たはずなのにしなかった…アレクは女子どもには加減する。将来、それがスキにならないかが心配」


「隙ですか…」


「うん。早く王都の西にある公園にお城建てないと手狭…アレクの妻が増えない内に」



あれ、隙じゃなくて好きの話なのかな…ルチルお姉様曰く、「毒も切り傷も自分で治せるアレクは老衰以外寝不足か過労でしか死なない。そして無駄に人助けして好かれる…そして流されやすい」との事…


あたくしたちがしっかりしないと…残念ながら、この書物に書いてある人たちは総じて変わり者だけれど異性には事欠かなかった。という事は…


しっかり手綱を握ってないと、スタンティーナ公爵家や寄子のようになるんですね、分かりました…

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