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二百四話 やらかし結婚シェリチェ編②

結局のところ、ウチは乗り換えただけや…きちんとした当時の次期騎士団長に。


なんて、格好つけた事を思ってみてもよそ様から見たらその通りってのは事実やし…ただ、兄さんが恐れられとるから物好き扱いされる方が強い。


そんな風評はあっても、結局のところ兄さんとミュゼットはんだけがウチの事を心から分かってくれる同じ立場ってのもあったわけや。




「アホみたいな事件やな…ほんま、浮かばれんで。この男の人…」



今はもう前世の名前なんて覚えていない…ただ、当時高校生だったウチは、あの事故のネット記事を読んでそう口にした事だけは覚えている。


男の人が子どもを救おうとしてトラックに轢かれた。即死だった…そこまでなら美談にもなりそうなのに、その子どもは対向車線上の横断歩道で轢き殺された。


結局、男の人は死に損。その勇気を讃える声と侮蔑する声とがあった…それでも、ウチは「凄いなー」くらいの感想しか持たなかった。




今世では、いきなり呼び出された。何や、ウチのボンクラ婚約者が決して手を出してはいけない部類の令嬢様に絡んだ挙句、怪我させたとか…


連帯責任を問われるかと思ったけど、そうやなかった。先方曰く「婚約者が居るのに他の女性を誑かし、怪我させるなんて男の風上どころか風下にも何処にも置けない。望むなら俺が粛正するから、後は好きに焼いてくれ」とか……


そんで、許可したら目にも止まらぬ内に倒してしもた。原作の次期騎士団長が聞いて呆れる…という気持ちもあったけど、兄さんに対して純粋に「凄いなー」って思ってしもた。


それで少しでも自称次期騎士団長(笑)を鍛え直す為に頑張ったんやけども、結果はお察しや。




兄さんとはそれっきり…のはずやったんやけどなー……第四王女襲撃事件、切り裂き公爵事件、ペリドッド事件の立役者。それに加えて女遊びの激しい婚約者を仕置きしてくれた…


中身ダメ男で外面もクソ男よりは、中も外もダメ男の方がいい…くらいの気持ちで周りに同調したんやったけど、ロデルを切り捨てた時に嫁ぐなら兄さんがええと思ってしもうたんは事実や。ミュゼットはんの惚気の所為も多々あるけど…


でも、結局最後は押し負けた。心の何処かで他にも奥さん居るし、その内でええから子ども作っておけばなんてのもあったけど…格好ええところもダメなところも好きになっとった。


それに同じ境遇ってのもあったし、ミュゼットはんの中身は子どもやし、ミュゼットという主人公に転生したからこその安心感からか思いはしないけど…


ウチらは違う。裏の裏まで知っとるし、こうも思ってしまう…「もしかしたら、いつか前世の全てを失って本来の自分に戻ったら…」と。


ウチも兄さんもそれを恐れとる。消えるのは仕方ない…横入りしてしもた存在やし、元に戻るのが自然な摂理や。けど…


それは自分だけが傷つく事やない。愛する人らも傷つける。そういう意味では、あのクソ男と結ばれようとしたのは本来のシェリチェに申し訳なさを覚えたったからかもしれん。


兄さんも、そんな気持ちがあったから故郷を離れてミュゼットはんたちから遠ざかろうとした……単にヘタレの言い訳やろうけど。


傷の舐め合いみたいなところもあるけど、一人で抱えるには重過ぎるもんも二人ならって事やな、うん…


それでもまあ、結果的には華星のほぼ全てをぶっ壊して、乙女ゲームを単なるハーレムものに変えてしまうほどの行動力は凄いなーと思うで。


まあ、その行動力の大半は他の嫁連中やけども………ウチはあんまり関わってない方やで。うん…


後、ウチの考えが正しいなら今後も色々凄い事が起きそうやし、それを見るのも悪ないわ。

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