表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
200/296

二百話 やらかし結婚シルディナ編②


ミュゼットお姉様に問い質されたお兄様は、「マクレガー家の房中術が悪いんや」と言っていました……お兄様が楽しめない分頑張ったので、それに関して他の方より好まれているみたいです。今度、皆さんに教える機会を設けて欲しいと頼まれました…


そういう意味でも、お兄様にとってワタクシは今のところ特別なんだそうです。他の方とは違ってワタクシとアンちゃんはお兄様が居なければ確実に死んでいて存在しなかったであろう事が明白…ただ、アンちゃんとは違って後ろ盾も地位もあるからこそ逃避行する時にはそのしがらみが枷になるようで連れて行くのを躊躇うようです。


ワタクシたちは一蓮托生。夫婦という地位以外の何物も必要ないというのに……前に比べて余裕が無くなっているのは目に見えて分かっています。やはり、お仕事が負担になっているのでしょうね。




助け出されて、お父様を殺めた事を悔いていたお兄様と出会った。でも、憎しみを抱く事は無かった。むしろ、あんな親でも奪ったのだとワタクシを心から心配してくれる優しさにワタクシは惹かれた。


それまではただ生かされているだけの存在…王子の婚約者として教育を施され、それでも適わなかった失敗品。利用価値も無く存在価値も無いただのガラクタ…


そんな価値観を変えてくれたのはあの家を出てから出会った人たちだった。


生きていていいのだと、何をしなくても存在していいのだと…特にお兄様が優しく膝の上に乗せて頭を撫でながら態度で教えてくれた。


だからこそ、今のワタクシがこうして在り続けている。




思い返せば、お兄様に出会う日まで幸せなんて知らないままだった…お兄様の隣がワタクシの居場所。


ならば、お兄様の居場所にならなければいけないと思うのです。前世というしがらみに囚われていますが、聞けばお兄様たちの知る物語は破綻して次に知るものは二年も先…


それも結局大きく変わっているみたいですし、残念ながら役に立つかどうかは不明確とシェリチェお姉様は仰っていました。


そもそも、ワタクシの生存をはじめとして色々と違うのですから未来に関してはほぼ最初から手探りだったようにも感じられます…


それならば、今後お兄様の地位を万全にしてあらゆる脅威に対処する必要があるように思います。


残念ながら、かなりごり押しもしたので伯爵までならやっかみも少なかったでしょうが侯爵どころか公爵も飛ばして大公爵になるお兄様……いくらなんでも陛下の悪ふざけが過ぎます。


ですが、それくらいしておかないと国内どころか他国の貴族から何を言われるか分かりません……王女や公爵家令嬢、侯爵や伯爵令嬢と多数を娶っているのだから一人くらい融通しろとか言われる可能性もあります。


ですから、地位としては確固たるものにしたのでしょう…その分、敵も多くなりました。そして残念ながら、お兄様の功績は市井の人たちは王都民を除いてあまり知られていないように感じられます。


悪意ある貴族ならまだルチルお姉様たちが対応していただからでしょう。ですが、地方の民たちからの信頼を勝ち得るには炊き出しの方法を伝授しただけではまだ弱いのです。


やはり領地は必要です。見習いたい領地運営を行い、他領主がそれを真似広めていく…それによって他領民からの信頼を得る事で大公としての地位を盤石のものにする…


王都は基本的に国王の直轄領地ですが、その差配をしているのはミスティアお姉様たちお兄様の妻。もう権利くらい貰ってもいいんじゃないですかね。


もし、お兄様が失踪などしようものなら王都民は阿鼻叫喚すると思いますよ。それだけの事を既にしているのですし……


考えが逸れました。お兄様がおそらく抱いている恐れ……少しだけ分かりますからね。あの時、もしも選ばれていたら…もしも見つけ出されないでいたらなんて何度も考えました。


でも、考えなかったもしももあるんですよ? だからこそ、今があるんですから…

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ