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二十話 やらかし20歳期・副長編③

東に陰気な若者居れば、行って職質してやり。西にくたびれたおばさん居れば、行ってその荷物を(あらた)めたり。南にヤク中の人居れば、しょっ引いて拷問して吐かせたり。北に喧嘩や粗相が有れば、つまらない事すんなと両成敗。


一人の時は酒場で絡まれ、三人居ればウロウロ歩き。同僚にデートしてんじゃねぇと言われ。妬んだりせず、首絞めたりせず、そういう者に、タワシ渡したい…フレンドパーク。


確実な手応えが無いまま半月…デートじゃないもん、食べ歩きだもんというくらい三人に奢った。ええねん、先輩風吹かせたいねん。薄給だけど…


で、マリアベル様の調査が終わったとの事でフィネット邸で会議である…良いのかな。そこまで使って。



「あ、あの壺とかいくらするんだろ…近づかないようにしないと…」


「こっちには高そうな絵画が…ひぃぃぃ」


「…平民の感覚だと、そうなるわな」



ただでさえ公爵の邸宅に平民が入る事なんて無いだろう…傷つけたら弁償、身売りで点呼、ごめんなさいで通じなーい。俺は家でよく粛正という名のキングコングパンチ喰らったもんだ。


通路の真ん中をオドオドと歩くレシアとセリーヌ…まあ、気持ちは分かる。俺は慣れただけだ。クリスティーナ嬢は、さすが商会持ちのお嬢様だけあって落ち着いて…いるわけないな、公爵家だもん、うん。足ガクガクしてるわ。子爵令嬢では寄り親でもそうなるか。


最近知ったのだが、あの事件でアリスベル様が俺を庇ってくれた背景にはクリスティーナ嬢の家が寄り子で、更に叔父が御用聞きであったのも一因であると教えてくれた…


だから、クリスティーナ嬢に目を掛けてくれとも。公爵家公認の友好関係築けと…遠回しに騎士にしろという圧力と捉えていいよな。貴族学園に行けよという俺の意思封じだな。


現在、アリスベル様たちは領地へ帰っているし、居るのはシルディナ嬢と屋敷管理する使用人が数名。しっかりと領地運営に力入れているなら王都で放蕩していたりしないのが官職の無い貴族の在り方である。一部除く…


だからこそ、姉の義実家を会議室代わりに使おうとするマリアベル様が恐ろしい…何処かのレストランの個室とかなら良いのに。まあ、シルディナ嬢が疲れるか…まだ傷癒えてないわけだし。


そんな事で、サロンで茶会しつつ会議である。公爵家だけあって広いし窓越しに見える庭がすんごいわ…まさに乙女ゲームの世界。辺境伯家の庭なんて練習場で薔薇なんか咲いてないし、穴だらけだったわ…だいたい俺の所為。踏み込みが足り過ぎた所為。



「…というわけで、当主及びその家族や周辺の胃腸改善という名目でマーメイド草の種を集めている貴族と、領地分の流通がこちらになります」


「…これ、ガーライル宰相派の領地だけが著しく多いですね」


「そうです。但し、ガーライル侯爵本人及びその領地は平年並み……これを敵対派閥の作為とするか、命じたものとするかまでは不明です」



マリアベル様とクリスティーナ嬢が言ってる事よく分からん…俺も脳筋。レシアとセリーヌは下手に口出せる状況じゃないから黙って菓子食ってる。シルディナ嬢は初対面のクリスティーナ嬢とセリーヌの二人に対して怯えて様子見ている…これ、根本的にもう二人だけで良いんじゃないかなの世界。


その後、もう二人だけで良い議論は加熱し…



「おそらく、このちょび髭の騎士の男が主犯格の一人ですね」


「この顔、何処かで…」


「…これ……ウチ(第六分隊)の隊長じゃね?」



しょっ引いた売人からの情報を元に、決して絵心の無いわけじゃないクリスティーナ嬢が似顔絵を描いた。ちょび髭でソフトモヒカンで騎士姿…の何か。画伯だなぁ…貴族学園行かなかった理由が垣間見える。でも、この顔隊長そっくりなんよ。俺も絵心無いから分かりみ。


半分冗談で言ったのだが、マリアベル様とクリスティーナ嬢はそう受け取らなかった。何やら資料を見直して…



「「それですっ!」」


「何故ハモったし」



二人曰く、ガーライル派閥の中心人物が隊長の親らしく、そのバカ息子の隊長も傲慢で欲深い人物…うん、知ってる。あいつ俺以上に仕事してない。あいつと俺の所為で第六分隊は鼻つまみもの集団扱い…だから俺は好き勝手出来てるんやけど。


まあ、状況証拠だけなので裏ドリを……え、国王に奏上して各領地を調べるにはその資料だけで十分な証拠だってか。他に特徴的なちょび髭は騎士に居ないし事情聴取するには十分だって…



「そういう事で、アレクシール様。第四王女の名において命じます。第六分隊隊長の身柄を拘束してください」


「……それは、万が一間違っていたらマリアベル様に責任が及ぶと具申させていただきたく思うのですが」


「大丈夫です。その時は要らぬ王位継承権を放棄するだけですので…アレクシール様、事は急ぎます。さあ、お早く」



そう言われちゃ仕方ない。このメンバーの中で騎士は俺だけなのだ。急いで退出して職場へ戻るしかない……


思えば、この後に残ったメンバーがとんでもない事を考えついたのだろうと後々思い至るわけだが、その時の俺が知るわけ無かった。


だって、この後セリーヌが拉致されて、くっころ展開あるんだろうな、ワクワクって考えてたんだもん(最低)

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