二話 やらかし9歳期
アレクシール・カノーラです。あの騒動から一年が経ち9歳になりました。体感的に20歳までが人生の半分と感じるらしいので、約25%は終了のお知らせ…
この一年、ミュゼットのご機嫌取りに費やす日々だった…後、剣術とか。勉強は匙を投げられた…「教える事は何もありません(家庭教師談)」だとよ。酷くね?
ミュゼットとの仲は…時折「あの時の事は忘れてない」という視線は感じるが、好感度は「にいちゃま嫌い」から「にいちゃまなんて好きじゃない、ふん」に変わった。3歳でツンデレ覚醒してる。第一次反抗期ともいう。最近膝の上に乗ってくれない…
さて、3歳である。本来なら男爵家にて可愛がられている時期……かなぁ? 反抗期で見知らぬ人間のところに売り飛ばされて恐怖に慄いていたところからやっと自分の立場を受け入れ諦めた頃かもしれん。そう思うと、やはりクソゲーのクソ設定だと思う。
そういう意味では、母上の分まで愛情を注いで…とは思うが、やはり足りない。男には母性愛を完全に出せるはずがない。
そう進言した。クソ親父は味噌っカスの分際でと睨んではきたが、愛娘の為ならと納得してナニーを雇おうとなった。ナニーって何?
そんなボケをしたら殴られた。酷くね?
最近、領地に吸収合併された男爵家…その男爵が優秀な人らしく、文官として雇おうという話があったそうな。その妻をナニーとして雇用して夫婦共に住み込みで働いてもらうという事になった。計画通り…にちゃぁ。
というか、進言しなくてもそうなる予定だったんだけどな。殴られ損である。が、ミュゼットが居ると居ないとでは予定通りに行くか曖昧3センチだった。セーラー服ルート破綻しては困るのだ。
だって、長兄も次兄も貴族学園行ってない。貴族の義務果たしてないのである…学園なんて行って何するんだっていう途上国以下の働け単細胞主義の我が家。蒙古タンメンも真っ青な中卒主義…そんなんで大丈夫か、辺境伯の将来。
どうせ味噌っカスの俺も貴族学園なんて行けない。家庭教師もヒットマンもスルーするんだぜ…あぼーん。でも、せめてミュゼットには高学歴の看板持って幸せな明るい未来を描いて欲しい。こんな田舎から脱出してほしい。
その為のキーパーソンが先の男爵夫妻の娘である。
「は、はじめまして…メルモニカ…です」
母親の後ろに隠れて恥ずかしげに自己紹介してくれた赤い髪の幼女、メルモニカ・アーバン男爵令嬢である。ミュゼットと同じ3歳にして、原作の親友枠。クールビューティー…自称新人声優のボイスが良いのよ、また。
いや、こんな純真無垢な子をいつか戻ってくるミュゼットの侍女にと教育という名の虐待を行ったクソ親父クソじゃね?
その所為で感情を上手く表に出せないようになるとかやっぱ原作クソだ…ひとつ屋根の下でこれから暮らすのだから、そんな苛烈な教育させないようにせねばならない。
「メルモニカちゃん、はじめまして。俺はアレクシールだよ…今日から君のお兄ちゃんだ」
「お兄ちゃん…」
「………にいちゃまの浮気者」
おや、ミュゼットが難しい事を言っている。浮気などしない…ましてや、原作通りクソみたいな辺境伯三男の婚約者にメルモニカちゃんを仕立てるわけがない。クソ親父が強制的にそんな奴を婚約者にしたから感情が死んだという設定あるんだぞ。そんなバカボンボンくたばってしまえ……あれ、胸が痛い。
そんなミュゼットとメルモニカ…同い年でナニーであるメルモニカの母親がまとめて面倒見るのだから仲良くなるのは必然だった。仲良き事は美しい…てぇてぇ。
呼び方なんか「ミュゼちゃん」「メルちゃん」だし、原作以上の仲になるのは間違いない。だが、その反面俺余計に要らん子になった。たまに2人と遊ぶ事はあっても暇を持て余すようになった。
どないしよ?