百九十九話 やらかし結婚シルディナ編①
*
シルディナ・マクレガー。
原作未登場。そもそもマクレガー公爵家自体その存在が語られただけで縁者は出ていない。
但し、原作にはシルディナと思われる少女の遺体が用水路で見つかったという描写はある。
*
「…お兄様が居なければ、事件解決はおろかワタクシが存命でなくマクレガー家も何の処罰も無くのうのうと生きながらえていたんですね…」
「……まあ、続編でもマクレガー家自体は3で出てくるんやけど、あんまりええもんじゃないし」
「お兄様。やっぱり断絶させた方が良くないですか?」
「シルディ、俺にそんな力無い。物理除く」
そうは言いますが、マクレガー家が式の妨害を何度も企てていると仰ったでは無いですか…
むしろ、御三方の言う前世の話が本当なら多くの罪を重ねてクリスお姉様に多少の傷を負わされ自領に引っ込んで事件を王都では収束させた上でワタクシはおそらく厄介払い…
マクレガー領ではきっと事件は続き、ワタクシは好色家にでも引き渡され殺された……
お兄様との睦事ならまだしも、そのような目に遭わされ最期がそれなら…
「シルディ…俺は救った事に後悔なんてしてない。特にシルディに対しては……むしろ、もっと早く助けたかった」
「…小兄様が……いえ、わたくしたちが知っていたら間違いなくいち早く助けていましたわ。ただ、知りようが無かった…これほどお兄様お姉様と慕ってくださる貴女を救いたかった気持ちは信じてくださいませ」
「はい…分かってます。当時の公爵家の機密主義は徹底していたとルチルお姉様も言ってました……そうでなければ陛下に奏上して救っていたとも」
決して、あの家の人間以外の誰かが悪いとは思っていない。むしろ、お兄様が居なければ増長し続けていたと思う。
妾腹の王子の婚約者にもなれなかった公爵令嬢もどき……ただいつか死ぬであろう試し切りにしか使えない泣き声を上げるだけの人形。自らの境遇なんて分かりきってた。
レシアお姉様に見つけてもらわなければ、あのまま朽ちていたはずで…幸せなんて知らないまま一生を終えていた事なんて想像に難くない。
ましてや、数多の傷痕をラティーナ様と共に癒してくれたお兄様…更に先日は教会で語っていただいた。
前世や合計年齢など些細な事…むしろ、それが一線を越えていただけない足枷なのが残念なところです。
「シルディナはんが心配なんやろ…兄さんはやり出したら容赦ないで。むしろ、よく一線越えない我慢出来ていると思うで」
「シルディ、体力無いもん…真の箱入り娘だもん…」
「そんな事ありません…お兄様が知らないだけです」
セリーヌお姉様みたいに立派な騎士のような方と比べられると劣ってはいますけど、監禁されていた時とは違ってそれなりに体力はあるつもりです…
ミュゼットお姉様は「それは小兄様が化け物じみた体力で果てるまで愛そうとするからですわ」とも仰ってくださる…一線越えないまでも、それなりに過ごしたので恐ろしさはありますが、して欲しいという気持ちもあります…
そもそも、妻なのですから遠慮して欲しくもないのですけれど……マリアベル様がごり押しで結婚を通したのはワタクシの為もあると分かっていらっしゃるのでしょうか?
「まあ、ロリコンナイトですから危惧もしていますのよ……アンに手を出すのは躊躇どころか忌避していそうですけれど、シルディナ様に対してはきっかけがあれば越えそうですし。そうしたら、『他の嫁は歳食ってる。俺はロリコンナイトだからシルディだけ愛する』とか言い出しそうで…」
「………ソンナコトナイヨー。アレククンハハクアイシュギダヨ」
「どうして片言ですのよ…」
お兄様の言葉にミュゼットお姉様が怒り始めました…




