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百八十八話 やらかし結婚メルモニカ編②

アレク兄様をとことん分からせた。まったく…私が嫌うと思われるのは心外です。


次の方…つまりルチルレート様と交代して、皆が経緯を見守る事となった。おそらく、今日は全員休む事になるだろう…手配しておかないと。


とはいえ、まだ日も明けて間もない。まずは朝食作りと台所へやってくると、レミルーファ様が準備をしてくださっていた。



「レミルーファ様、代わります」


「大丈夫でござるよ。メルモニカ殿こそ、たまには休むでござる」


「…でしたら、一緒にしましょう」



アンはアレク兄様の部屋を片付けると言っていたし、結局いつも通り……皆の様子を見る限り、簡単に食べられるものが良さそうですね。


そう思いつつ、スープを作っていたところ、レミルーファ様から尋ねられた。



「そういえば、メルモニカ殿とアレク殿はどんな出会い方をしたのでござるか?」


「……何ですか、いきなり?」


「ミュゼット殿には根掘り葉掘り聞いたでござるが、メルモニカ殿はあまり語りたがらなかったので気になったのでござるよ」


「……ミュゼット様と似たり寄ったりですから、語るほどの事ではなかっただけです」



私はミュゼちゃんとずっと一緒に居た。だから、ミュゼちゃんの語っている気持ちは、ほぼ私の気持ち……


そんな事を考えつつ、アレク兄様と出会った頃の事を思い返していた。




辺境伯領は魔物の跋扈する危険地帯。だからこそ、辺境伯領では騎士が定期的に領地を巡回して魔物の討伐を行い領民の命を守る…


だけど、それも万全ではない。領地の一部を管理する男爵である両親は管理する土地を没収された。表向きは優秀な両親の引き抜き。


でも、その実態は近隣の不正により騎士の派遣を行われなかった事による魔物増加に伴う巻き添えでの領民への危害があり管理する街の再建不可能という魔物災害の結果だと後に知らされた。


そんな事を知るわけもなく、物心ついた私は住み慣れた土地を離れ辺境伯領都のカノーラ邸にやって来る事になった。


道中の馬車の中では両親の不安が伝播したのだろうか期待なんて無く恐怖が心を支配していた。そして、それはカノーラ邸で最高潮に達した。



「「「………」」」


「っ…」



居並ぶ大男三人…アレク兄様の言葉を借りるなら、キングコング、ゴリラ、インテリ眼鏡。恐怖以外の何物でもない。



「は、はじめまして…メルモニカ…です」



母の後ろに隠れて、そう発するのが精一杯だった。「ああ」とか「ふむ」とか淡白な返答…後にただただ不器用なだけであると分かるけれど、幼子にそんな事が分かるはずもなく、ただただ恐怖でしかなかった。



「メルモニカちゃん、はじめまして。俺はアレクシールだよ…今日から君のお兄ちゃんだ」



そんな中、アレク兄様だけは違った。わざわざ膝を折って、私の目を見ながら優しく声を掛けてくださった。


ただそれだけ。それだけで私は恋に落ちた。




「と、まあそんな感じですかね」


「アレク殿は天性の女たらしでござるな…」


「それは同意します」



それなのに、今更嫌われようとする…だいたい、身近に二人も同じ境遇の方が居る時点で珍しくもないでしょうに、何を臆病になっているのか…


でもまあ、そういうところもアレク兄様らしい。あまり語られなかった本来のアレク兄様もミュゼちゃんを失って傷ついたというのに…


アレク兄様たちは、本来のアレク兄様が私を傷つけて子どもを産めない体にしたと言っていたけれど、逆なのではとも思う。私が慰めた結果ではと…


どちらにしても、考えても仕方ない事。今の私が愛しているのは今のアレク兄様…それを納得させるにはまだ足りてない気もしますね。

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