百七十八話 やらかし結婚編113
世界は残念だ。それでも嫁しか愛さないけど……食後、何人からかハニートラップを仕掛けられそうになったが、永続トラップ発動、嫁の睨みでかわした…まあ、その実はミュゼットたちがいつ復学するのか尋ねるものだったが。
何だかんだで、ミュゼットやティアたちは高嶺の花だし王子たちの事を詳しく聞きたかっただけの子の方が多い。ゴシップ大好きなのね…また何人かはミリスベルたちへの実家での境遇相談とか。俺の愛人になりたいって子は居なかった…事にしよう。
「バナナ組、何処までも蔓延る…ああ、恐ろしや恐ろしや」
「アーくんって見た目だけは満点だもんね。しかも騎士団長で大公爵なんだから財産目的とかで狙う子も居るよね…」
「万年金欠なのは知ってるだろ?」
「アーくん、自分の事より他の人事優先するからね。レシアちゃんに色々プレゼントしたり、セリーヌちゃんたちにお菓子差し入れしたり……性根は腐ってるけど、本当は優しいって知ってる子だって居るんだよ」
聞けば、中には貴族に引き取られて幸せに暮らしている元孤児も居るそうな……その内、裸見た責任取れとかレシアやアンみたいな事言って押しかけてきそう。
さっきドナドナされた子も見た記憶ある気もする。が、どうして女装してるんですかねとか聞く気も起きないけど(性転換魔法なんてありません)
*
学園は普通に授業している事もあり、見学したかったけど止めておいた。アレク、そんじょそこいらの芸能人並みに知名度あるねん(映す価値なし程度の格付け)
参観日とかあるだろう…多分。ミュゼットたちが居ない授業見ても退屈だし。
というわけで、あまり病み上がりを連れ回してはという真面目なリテラの言葉もあり、俺たちは酒場に来ていた……なんでやねん。ここは帰る所だろうがよ。
「はぁ…お昼から飲むお酒は格別だね」
「最低だな、ミリスベル」
姉や妹がお前が休んだ分まで働いているというのに…とかより、酒場のマスターに無理言って開けてもらい、常連だから好きに飲めと言われて好きに飲んでる。普段は飲めない安酒を…
元王女で伯爵夫人に安酒なんて出せないからとそれなりの酒を出してたのは当然。王都中に顔知られているわけだし安酒なんて売った日にはどうなるか…
だが、本人はそんな安酒が飲みたい。悪酔いするのに…そんな安酒飲んでた俺が言うんだから間違いない(ただ酒に弱いだけ)
それでも、ここの酒場で三人で飲みたかったのだと言われればチョロ旦那は拒まない。もっとも、酒飲んでるのはミリスベルだけで俺とリテラはホットミルクなんですが。
「本当はね…いつか、アーくんにも話そうって思ってたんだよ。それこそもっと早く…」
「…絡み酒するにはまだ飲み足りないだろ?」
「少し真面目な話なんだから聞いてよ…」
ミリスベル曰く、結婚式の時に俺が攫ってくれたならヨシ。そうでなくても一、二年の間に伝えて俺が貰ってくれればとか期待していたらしい。それでリテラも解放されてとか…俺の気持ちガン無視かよ。
だが、マリアやレシア、クリスにセリーヌといった面々の出現。それが目論みを狂わせたそうな…仕方ないね、アレクロリコンナイトだもん。
年下には甘いのはミリスベルも同じ。ましてや、実妹や妹のように可愛がっているレシアの気持ちは朴念仁より分かっていたとか。そりゃあ躊躇もする。
結果、雁字搦めの酒浸り。そして、朴念仁は子どもはまだかと揶揄ってくる始末……大いに傷ついていたと宣わられた。
「仕方ないだろ…知らなかったんだから」
「そうだけど…知らなくても言っちゃいけない事だってあるんだよ?」
「それは、まあ……でも、俺の気持ちだって考えろ。既婚女性でいつ妊娠するか分からない奴が酒浸りなんだぞ……正直、襲って欲しいとか思うだろ?」
「……そうして欲しかったって言ったら?」




