百六十八話 やらかし結婚編103
さて寝よう。陽の高いうちから周りに働かせて自堕落満喫するのだ………いや、過労だけど。一応、診断書書いてもらったけど。
「………(じー)」
「………(視線が痛い)」
ベッド横にわざわざ椅子持ってきて座っているアンに見られながら睡眠……出来るかと。いや、信用してないとかの話じゃなくジーッと見られながら安眠なんて出来る程の器じゃないのよ、俺…野営とか散々してた影響。
気配に鋭いアレクくん…酒飲んだ時くらいしか鈍らないのよ。かと言って、飲めるわけもなく…というわけで、交渉開始ですわ。
「アン、見られてると寝られないからティアの様子とか見てきてくれないか。風呂の介助とかレミだけじゃ無理だろうし…」
「大丈夫です。ミスティア様の事は、レイリック家の侍女さんにお手伝いしてもらえるよう頼んであります(えっへん)」
「……用意の良い事で」
アンが自慢気に、各家の使用人とは既に連携が取れるように色々と手配していると話した……メルの仕業だな。学園に通い出したら、手が足りない事もあるだろうからアンに仕事教えたな。
元棄民とはいえ、今や大公爵の第十四夫人…シンデレラも顔負けの玉の輿。とはいえ、その出自を蔑む奴が出る可能性は高い。そこで各家の使用人による相互の見張りである(俺、靴フェチじゃない)
特にスタンティーナ家…もといバナナ組だけで安心出来ると思うけど、念には念を入れる徹底ぶり。ダダ甘いお姉ちゃん嫁たちの過保護ともいう。
愛嬌と忍耐力だけで嫁たちの中でも影響力強くなってるアン……将来的にはこの家支えるのは、こやつではなかろうか?
そんな事考えつつも、部屋から追い出せそうにない。押してダメなら引くしかない……この手はあんまり使いたくなかった。だってバブみに訴えるし…
「アン……寂しいから一緒に寝てくれないか?」
「ご主人様……あれだけ汚れてたのに、まだしたいんですか?」
「………ちゃうねん…人肌恋しいねん」
そりゃあ、アンとだってしたいケダモノ…でも、出せないものは出せない。じゃなく、アンが寝れば視線を気にせず俺も寝れる……
後、人肌というか体温恋しいのは事実。嫁たちに調教されたというか、ミュゼットとメルを昔から寝つけさせた結果である。
特に子どもの体温って高いから安心出来るのよ。抱き枕としても良いし…つまり、アン抱き枕しろ(目の前に居るのは合計50年近く生きたおっさんだぞ)
大きなお子ちゃまアレク、10個も年下の少女嫁に甘えてるの図…十分変態だわ(知ってた)
アンも何処となく呆れた様子ながらも渋々ベッドに入ってくる。それをぎゅっと抱き締める変態夫…(お巡りさん、夫婦だけどこいつです)
「ご主人様…これで眠れますか?」
「アンも一緒に寝て良いからな…むしろ、アンの方が毎日頑張ってるんだからゆっくり寝ろ」
「ご主人様、そう言って逃げませんか?」
「逃げないって…嫁の寝顔見るのは夫の特権よ。むしろ、村でもそうしてたろ?」
たった三日だったけど、アンとあの村で夫婦になって骨埋めるのも悪くないって思ってたのよ。それこそ一番新婚夫婦してた気もする…今もだけど。
使用人として頑張ろうとしているのは分かるし、反対したくないけど…こうやって陽の高いうちからイチャイチャするのが俺の望み。ただ、イチャイチャするのにも体力要るわー…
本当なら、マリアみたいにいっぱいキスしてやろうと思うのだが……あれ、すっごい体力要るのよ。酸欠やると間違いなく失神する…
なので、顔とか首筋とかにいっぱいキスマークつけよう。痕残すと後が怖いので消すけど……特にミュゼットに怒られる(色んな意味で)




