百五十六話 やらかし結婚編91
お湯で洗い、酒に浸し…うん、何とかなりそう。そんなでウナギのタレは出来た。身も同じ処理して焼いて蒸してる。後は食べる直前にタレに浸して焼くだけだ…肝吸いもあるよ。アンが怪訝な目で見てた…うん、肝はお好みで入れようと思う。
「ご主人様は…本当に全員に食べさせるつもりですか?」
「ちゃんとパスタの具材も残してるし…強制はしない。でも、一口くらい食べてもいいじゃない」
「………一口だけですよ?」
納豆もあるよとは言えない雰囲気。まあ、レシア以上に飯には困ってた経験あるだろうからなぁ…
だからこそ、美味しいもの沢山食べて欲しいのである。そして、勉強とかしていっぱい世界を知って……ロクでもない男に捕まったんだなとか思ってもいいと。
学園通い出したら結婚破棄されても仕方ないダメ旦那とは自覚してんのよ…
*
皆が帰ってきて、食堂にうな重……お重が無かったのでうな丼が並んだ。ミュゼットとシェリ以外の目は冷たかった。が、食べ始めたらご飯がご飯がすすむくん…
結局、全員が完食した。そして、責められた…やはり一人一尾は少なかったか。逆だって、あんなに一生懸命に食ってたのに…(明日もハイキュー件開催の件)
なお、ヤーマン家の庭にバナナ組が勝手にウナギ養殖場の為の池を掘る事件が後に発生したとかしなかったとか(味見と称して懐柔済み)
さて、そのバナナ組…もとい暗殺集団のトップであるルチルと元見習いという名の落ちこぼれエルミディア嬢である。サロンで寛いでいる俺たち三人…ウナギって意外と低カロリー。
薄暗くなった庭で運動とかしている一部嫁たち…まあ、自発的に運動するのは良い事だと横目に見てるわけである。ウナギ少しずつ食べてご飯おかわりし過ぎるからや…
「それで、アレク…話って?」
「ああ……うん。その、何だ…エルミディア嬢に暗殺者見習い時代と同じナイフを一本、用立ててくれないかなと」
「アレクお兄様、それは…」
昼間、なかなか良い動きをしていたエルミディア嬢。とてもじゃないが落ちこぼれというレベルではなかった…あれだ。追放された後に覚醒するとかってパターン…とまではいかないが、筋は悪くないのである。
ましてや、頭脳の方は国の中核。本当にエルミディア嬢は落ちこぼれだったのかという疑問……というか違和感。
そりゃあ、原作の腹黒な方ならそんな事微塵も思わなかっただろうさ。けど、そうでない目の前の少女……暗殺者としての才覚は俺には分からんが、武芸者としては嫁という贔屓目あるにせよ、そこそこ強い。それこそ少し鍛えれば同じ武器を使うレシアと同等くらいにはなると踏んでいる。
「……アレク。僕としてはそれは出来ない。エルミィは落伍した…暗殺者としての誇りは渡せない」
「別に暗殺者になれって話じゃない。ましてや、人殺ししろとか思ってないさ…あくまでも護身用だ。エルミディア嬢は強い…だからこそ、慣れた武器でいざという時に自らを守って欲しい。それだけだ……それとも何か。手を汚して欲しくないから襲われても抵抗しないで死んでくれなんて思ってるのか。大切な妹分に」
「………アレク、何処まで理解してる?」
何処までと言われても、完全なる想像と重妄想。ミュゼットとメルを見たルチル、妹属性に目覚めて近場にいたエルミディア嬢を我が妹と定め、可愛がり暗殺者ではなく別の道に進ませたかった。その結果、弟の婚約相手として将来本当の妹となる事まで確定させた…
までは良かったのだが、そこから色々と狂って今に至る。なお、原作でルチルもとい処す子ちゃんが出るバッドエンドはミスティア嬢かエルミディア嬢ルートが多数。他三人のルートは期限内ならやり直し可能だったりする。あんまり好意抱いてないって分かったわけだし…
つまり、真犯人はルチルである……いや、単なるダダ甘お姉ちゃん。もっとも、その真意は理解されずに誤解されエルミディア嬢は孕み袋と割り切ってしまい今に至る。




