百五十一話 やらかし結婚編86
エルミディア嬢によるお昼ご飯はパスタに決定…朝晩は米だから軽いものにしたいようだ。
なお、俺と一緒に作るのも確定。嫁と一緒にご飯作るのは楽しいから良いのだが量が多いからという理由もある。
さて、そうと決まれば買い出しである。乾麺はあるが何パスタにするかまでは未定。どうせパスタじゃ足りないから朝気になってたパンを買ったりケーキ注文したりとやらねばならない事は多いのである。
「結構、タイトなスケジュールですね…お昼ご飯遅れて皆様が怒らないでしょうか?」
「空腹は一番のスパイスさ。それに、唸るくらい美味しいのを作れば問題ないだろう」
「素人ですよ、あたくし…まあ、パスタは何度か作った事ありますけど…」
野宿とかでもパスタは楽だもんな。最悪、茹でて適当な野草と和えるだけで食える。草が違えば味も変わる…最近、幸せ過ぎて野生の勘が鈍りそう。今度、野営しよ。
まあ、俺とエルミディア嬢が頑張って作るのだから大丈夫だろう。バナナパスタは……ルチルが居ないから不要だな。バナナ組とか近衛とかヤーマン家の使用人のとかは作らなくていいし。
そういえば、エルミディア嬢ってルチルとミスティア嬢以外に話してる姿あんまり見ないなぁ…この子もコミュ障。ましてや落ちこぼれのレッテル持ち…拗らせてるのは仕方ない。が、買い出ししてる場合じゃなかった。
午後からは皆と一緒に作業させるべき…あまりにも世界が狭すぎる嫁たちばかりである。優秀なのに(人の事言えない)
まあ、少しとはいえ人を害する為の所作を学んでいたともあれば人間不信になっても仕方ないし、その上落伍者になって子を産むしか使えない扱いされてしまえばそれも極まる……バナナ組の元女組員、南無南無。
そんな閉鎖社会で狂う事なく自分を捨てず立身出世して国の不可欠なポストになった事考えたら立派か……俺と何か境遇似てる気もする。
それもあってか、あるいは原作と違って毒気が無いからか……お節介したくなるのは否めない。むしろ、種馬の相手になぞさせたくないのである。元女組員みたいに…元女組員みたいに(大事な事なので二度)
「さっきから何かお悩みですか? 百面相してますよ?」
「…エルミディア嬢は知らないだろうけど……バナナ組裏切ったら元女組員は孕み袋にされるのか?」
「あー……大丈夫ですよ、ルチルお姉様は分別弁えてますから。生か死かくらいは選ばせます…四肢切断して問答無用なのはだいぶ前です」
バナナ組の闇を知ってしまった…知りたくなかった。忘れよう……原作にすら出ない事だし。辺境より過酷…尊厳は大切。
そんな闇の世界から二人を引き離せたのは良かったとしみじみ……さて、話を昼飯に戻そう。
個人的にはパスタといったらナポリタン…だが、さすがに数日前にも食ってるから他のが良いな。シンプルにニンニクと鷹の爪が効いたペペロンチーノ…といきたいが、マリアやシルディにアンには不評間違いなし。
カルボナーラかな。ジェノベーゼも捨てがたい……ボロネーゼでいい気もする。よし、全部作ろう…
「アレクお兄様…夕食もパスタにならないよう少なめにしましょうね」
「………何故分かった?」
「いつもじゃないですか…メルモニカ様から言われています。『アレク兄様は私たちを育ち盛り食べ盛りの男子学生のように扱うので注意して見ててください』と。メニューは決めてますから、荷物だけ持ってください」
メルと仲良いのか。呼び方も似てるもんな…そうだな。カルボナーラは今度にしよう。うな重が食べられなくなる…
エルミディア嬢はトマトとバジルのパスタにするようだ。目玉焼き乗せて良いって…粉チーズも足して、ベーコンじゃなくて粗挽き合い挽き肉に変更。結果、良いとこ取りのパスタにパン。
パン、沢山買おうと思う。結局、同じである。この後、ケーキ屋寄るからそこでも買い漁るわけだけど…
メルの誤算は、エルミディア嬢に『育ち盛り食べ盛りの男子学生のよう』と言った事である。俺は、『育ち盛り食べ盛りの大食いフードファイター娘のように』扱っているのである。結果、余るのだけど(どのみち同じ)




