百四十八話 やらかし結婚編83
マリアを悪漢連中から助けた時、そりゃあ話題になったさ。悪い意味でも良いかどうかまでは分からないくらいの意味でも。
王女を悪い奴から助けた騎士様……「箱入りの貴族令嬢なんかからは憧れの対象になったでしょうね」と前にミュゼットに嫌味言われた。「もっと前から憧れていましたもの」と小声で惚気も言われた。
そんな箱入り娘の一人で変な方向に拗らせたのが暴れん坊かどうかは知らない将軍の娘…木刀から東洋というか和の文化にかぶれサムライマニアとして今に至る。つまり原作と大きく乖離した。その後押ししたのがどう考えても和の文化をよく知るシェリ。
まあ、お陰で流浪人っぽい語尾と変人の俺に憧れる残念な子の完成である。元々残念度高めだったけども。
それでも、親同士が適当に決めた婚約ですら真面目に向き合うはずだったのだ……おそらく、俺の事を引き合いに出したりしたが為に破綻したのだろうとは思う。聞くつもり無いけど。
つまりは、俺とシェリ、ついでにミュゼットの前世持ちがその未来を狂わせたわけだ。悪役令嬢の中でも悪役らしからぬ彼女が…
「今だったら、まだ追いかけられるぞ。マクレーン・ガーライルはそれなりに執着はしてるようだ……バナナ組にしばき倒されて寝込んでいるらしいけど」
「アレク殿…それ以上言ったら怒るでござる。ガーライル令息とは親同士が勝手に決めた口約束での婚約…それとは違い、アレク殿とは互いに決めた結婚。それとも、拙者が嫌になったでごさるか?」
「まさか。レミルーファ嬢があんな男の所に行くならみっともなく大泣きするぞ…」
「なら、言わないで欲しいでござる……もし、あの時王城に連れて行かれて父上や他の人たちに叱責されていたらと思うと、きっと拙者は全て否定されたと思い込んでおかしくなっていたはずでござる。それを助けてくれたのは、ずっと憧れていたアレク殿でござるよ…」
ただの思いつきなんだけどな…とは何度も言った。だが、きっとボンクラな元婚約者にも彼女は何度も苦言を呈していたのだろう。それすら否定されて女として魅力が欠けていたお前が悪いみたいな事言われたら……
まあ、俺なら殴り倒すわ。言った奴ら…その苦しみを回避出来た事が完全な決別を決めたんだろうなぁ。
「分かった。なら、もう言わない…けど、俺を選んで後悔したなら言ってくれ。その時はみっともなく大泣きするけど解放するから」
「そんな姿は見たくないでござるよ…」
「だよなぁ…みっともなく大泣きする男とか嫌だよなぁ。でも、俺そういう男よ」
「……そんな事は分かっているでござる。そういう意味じゃなく……言葉じゃ伝わらないでござるな…」
分からせられるようにレミルーファ嬢から口付けされる。膝枕してるのに無理な体勢でよくする事……ではなく、「なら、死ぬまでお預けだな」とか言わせて欲しかった気もする。後、超女々しいって知られてて辛いよぉぉ(わっしょい)
唇を離して見た顔は真っ赤に染まっていた。本当に可愛い嫁だよ、レミも……あかん、後悔させたくなるほどメチャクチャにしたくなった。
「す、少なくとも後悔したり泣かせるような事にはならないでござるよ……」
「ああ…今からいっぱい啼かせてやるからな。覚悟しとけ」
膝枕から一転、レミをソファーに押し倒して覆い被さる構図の完成…ぐへへへ。とか盛ろうとしたら監視者が来て「汚れるからお部屋でしてください。メッ!」って言われた……
アンに俺の行動パターン読まれている気もする。あるいはもっと構って欲しいのかも…月曜日、有休取ろうかな。
それはさておき、レミを抱えて部屋に行くか。顔真っ赤になってる純情娘と風呂でしっぽりしよう。




