百四十四話 やらかし結婚編79
結局、レミルーファ嬢がやりたいものは見つからないまま。色々と回ってみたけど、興味を引くもの無し…まあ、将軍の娘で侍かぶれだけど、箱入り娘だったのよね。仕方ないよね。侍が好きそうな団子売ってる茶屋とか無かったもんね(偏見)
とりあえず、家庭菜園でもしようと勧めたら野菜の苗とか買ったので当面はやりたい事を見守ろう。時折仮面着けて。さすがに嫁のパンツ被る気は無い…仮面オーダーメイドしよう。妹に嫌われるタイプの仮面にはしないよう気をつけないとな(どのみち嫌われそう)
「いっその事、大公爵夫人の仕事を任せてみてはどうですか。ミュゼット様もあの様子では卒業後に王城勤めでしょうし…」
「メル、レミルーファ嬢に任せられるだろうか?」
「少なくとも侯爵家の令嬢ですよ。語尾はともかく、人としては……騙されやすそうですけどね。腹芸は無理でしょうし」
帰宅後、レミルーファ嬢はアンと庭に畑作り。俺はメルと夕食作り。今日は卵と青菜の炒めものなど薄味に。
で、メルが言うには、ミュゼットの代わりに茶会とか出させても良いだろうが、舐められるという。むしろ、俺が舐め回すけど。というか、舐められるより熱々の紅茶を掛けられたりする方が心配。
貴族のお嬢様、ご婦人方の茶会……あれだろ、豪華な三段くらいの台に菓子類置いて楽しむやつだろ。一口サイズの菓子よりドーンとホールケーキとかの方が取り合いにならなくて済みそうだけどな。むしろ、俺ならケーキバイキング形式にする。
よし、我が家で茶会をする時は俺がケーキとか手配しよう。友達呼んでいいからな……え、友達居ないとか言うな。
「当たり前じゃないですか。私にとって友人と呼べるのはミュゼちゃんくらいなものですよ…そもそも、男爵令嬢ですよ私。それも辺境伯の子飼いで、学園ではあわよくば辺境伯令嬢と付き合える足掛かりくらいにしか思われてませんし」
「……あのチンパンのせいか。まあ、そんな連中相手にしたくないよな。とはいえ、レミルーファ嬢たちとは仲良いだろ?」
「話はしますが、私はミュゼット様の側仕えとして同席していただけですし、友人かと問われれば微妙ですね。こちらとしては同志として信頼はしていますよ…ただ、向こうは高位貴族令嬢ですし」
あかん、メルもミリスベルと同じくらい拗らせてる側だった。辺境伯令嬢の親友が家の位で悩むなよ…そもそも第二夫人だよ、君は。家内でふんぞり返って良い立場よ、ミュゼットの次に。むしろ、家事もこなして実質良妻の手本。
こういうところも改善していかないといけないのよね。年齢、実家の大きさ、俺との付き合いの長さetc…そんなもの負い目に感じる必要無し。せめて比べるなら俺に対する愛で比べて欲しい……俺としては等しく愛したいけど。
まあ、メル自身が悪いわけじゃないのよ。周りがやたらと高位貴族令嬢ばかりだから萎縮するのは分かる。むしろ、レシアやアンのような対応出来るのが不思議。むしろ見習って欲しい。
本格的な身内だけの茶会をやろう。茶会出た事ないからよく分からんけど本音トークやらなきゃ分からない事だってあるさ。
場合によっては殴り合い噛みつきあいまでは認めよう。髪引っ張るのはダメ。俺の力でも毛根は簡単に再生しない。いきなり髪の毛伸びたりするようなジャ◯プ漫画じゃない、この世界。
まあ、そんな事しないだろうけど。場末の酒場じゃあるまいし……起きないとは言い切れない。とりあえず、明日は準備して、明後日茶会をやろう。ここ数日、手土産のスイーツ買ってきてないから奮発して一人当たりホールケーキ一個ずつ分くらい買おう。
「アレク兄様。ケーキは控え目にお願いします。また顔に吹き出物が出来ても困ります」
「俺ならすぐ治せるから我慢せずに沢山食べるといいからな」
「…………なら、二人でホールケーキ一個でお願いします」
つまり、八個までならいいのだな。四種類を二つずつ頼もう…生クリーム、チョコ、チーズ、ロールくらいか。なお、シュークリームなどはケーキには含まれない模様。沢山用意するべや。
後、俺は当日給仕に専念しよう。嫁をもてなすのも夫の勤め。日頃から色々と頑張っているのだ…




