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十四話 やらかし18歳・新人騎士編②

檻の中のアレクー、その向こうの兵士ー。みんな何処へ行ったー、飯提供も無くー。非常に欲しい…出来ればカツ丼。


一応、俺の嫌疑は王女誘拐未遂並び大量殺人と殺人未遂ってところだろう…俺はやってねぇとか反論しよう。犯罪グループは沢山殺したのは事実だけども。いくら凶行とはいえやり過ぎと言われるだろうし、どうせ騎士追放と犯罪奴隷は確実だ。何せ、証人が居ない…本気出して木刀で斬ったから物的証拠もある。


座して死を待つのみだ。ただ、この程度で襲撃が終わるはずもない…設定では、第四王女は王子派の一部貴族から逆恨みされて王太子にならないよう傷を付けられたという事になっている。所謂、貴族の暴走だ。犯人は一部生かしてあるから指示した奴らは捕まるだろう…


まあ、これで死刑になっても満足だ。アニメで語られなかったマリアベル様の本音は円盤特典の小冊子で語られている…曰く、「この足では好きな人とダンスさえ踊れない」と。小さな少女の小さな願い、幸せを守れて死ねるなら本懐だ。


でもせめて、カツ丼食ってから処刑されたい。




留置されて2日目。仕事サボったなぁ…解雇かなぁ。死ぬからいいけどと思い要求したカツ丼食い終わって静かにしていると、突然牢にやってきたのは二人の少女(一人は人妻)だった。



「アレクシール様っ!」

「アーくんっ!」


「おや、わざわざ王女様お二人が御足労いただかなくても……処刑の言い渡しなら兵士にお任せください。それとも、王女様自ら断罪されるので?」


「アーくん、捻くれ過ぎだよっ!?」



ミリスベル様がそういいつつ、牢の鍵を開ける。よくないなぁ、そういうの…もう少し疑いを持って行動しないと。仲良くなって暗殺する為に近づいたとかってパターンあるだろがい。


まあ、しないけど。するならとっくに出来てたけど。


牢から出された途端、マリアベル様が抱きついてきた。「ありがとうございます」と「ごめんなさい」を何度も涙声で繰り返す少女……感謝される覚えはあるが、謝られる覚えは無い。僅か10歳の少女である…王女である前に。


怖かっただろう、辛かっただろう…不敬とは分かっているが、優しく頭を撫でて慰めた。きっと、この子の証言が俺を牢から出すきっかけになったのは間違いない。思い出したくもない恐怖を、それでも話してくれた彼女の気高さに俺は「ありがとう」と感謝した。




その後の顛末を語ろう。


俺は結局お咎め無し。むしろ、国王自ら直接感謝の意を伝えられ恐縮したくらいだ。


お礼に何かと押し切られ、剣を下賜していただいた。ふ◯きのつるぎっぽい格好いいやつだった。ヤッター。


と、喜ぶのはさておき。大変だったのはここから。近衛や騎士団の不甲斐なさを恐れ多くも訴えた。改善を約束していただいたし、知恵を貸して欲しいとまで頭を下げられた。まあ、親として国王としては当然だろう。もう少しで娘を害されるところだったのだ。ミリスベル様との交友関係(絡み酒の被害)も知られており、それなりに信用していただいたというところだろう。


問題は、今回の事件に加担した連中…対外的に過激派として粛正対象になる事となった。侯爵以下複数の貴族家が取り潰される事となった。おそらく、処す子ちゃん大活躍。


それに伴い改革や見直し、連座制による追放など中央省庁も大混乱…再編には時間かかるとの事。無論、騎士団も含まれる。


とりあえず、親父は加担していないので当然お咎め無し。俺は士爵叙勲を兼ねた騎士任命式の延期くらいしか影響なかった。まあ、それくらいなら些細な事だ。


後、変わった事と言えば、ミリスベル様の炊き出しに時折マリアベル様が参加するようになった事と、お忍びの時に護衛を頼まれたり、騎士団へ差し入れしていただけるようになった事とかか。まあ、慕ってくれているのだと思うと悪い気はしない。


国王の許可もあるし、きちんと守れるように近衛も騎士団も鍛えてやるぜー。


合言葉は、「守り続けたい、この笑顔」である。

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