百二十三話 やらかし結婚編58
房中術…それは言わずもがな。ただ、やっぱり男はあんまり覚えないものなんだと、ルチル談。愚弟の種馬も習ってなかったとバナナ組調査で判明しているとか。
つまり、男は勝手に覚えるか使用人や専門の人に教えてもらうかという事…そういう本とか無いもんな。小説あれど漫画とか写真集とか無いのよ…つまり妄想力に欠ける。
前世の知識ある俺だからぶっつけ本番でもどうにかなるが、世の男たちは違う…子どもの作り方は大雑把に知っていても、その過程が拙い。というか、何でそんな事で悩んでるんだ俺…
「アレク…きっとバナナが足りてない」
「るっちー、何でもかんでもバナナの所為にしないでください。アレク兄様、し足りないのなら私の部屋に来ればいつでもお相手しますよ?」
「別にムラムラしての考えじゃない。純然たる疑問だ…辺境なら牛や豚とか相手にする奴も居たが、王都じゃ娼館も安くはないからな。そういう被害に遭ってる女性が居ないかとか心配なんだよ」
朝食作りの最中。そんな変な話になってた。メルは牛や豚って反応してるけど、それでミンチする力強めるのやめろ…朝からハンバーグとか食べるわけじゃなくて、昼のサンドイッチ用らしいけど。メンチカツでも良き。
まあ、そんな性癖はさておき。元々何の話してたんだっけ……ああ、そうだ。王家の教育係の話。クソ親父がスライドしなかったらきっとミスティア嬢たちを教えていた人間がバカ王子たちをまともに育ててたって話。強いて言えば、その分クソ親父と同等のクソが噛ませ犬を噛ませ犬たらしめていただろうという話。つまり、そいつを教育係にするのは問題。
その辺りの調査をルチルやバナナ組にしてもらって、今後の悪影響を無くすようにしたらという提案である。無論、原作の事は推測として。
今後の悪政に繋がる可能性は少しでも排除しないといけない。教育面ではそれが顕著…私利私欲の穿った教育なんてされて、彼女たちは悪役令嬢化した。まあ、境遇もあるが…
そういう意味では今後も公爵家は大変。ヴォイドくんの婚約者たる外伝の主人公をはよ見つけないとあかん。更に王妃教育して国の機密に触れて万が一婚約破棄されても毒杯なんて事にならないよう対策必要。
女の子が犠牲になって国が安泰なんてのはおかしいのである。というか、マリアやミリスベル派の仕業ってのもある。いざとなったら俺を害して未亡人になって王族の籍復活とか狙うかもしれん……
「それは無い。アレクが産ませた子を神輿にする可能性はあっても、アレクと敵対するのは悪手…アレクが国滅ぼすから」
「アレク兄様が摂政や関白になれば済む話ですね」
「それが嫌だから言ってんねん…」
国の運営に関わるとか嫌。関白宣言とかしたくないだーよ。俺より先に死んではいけないを除く…
本来なら愚物の傀儡でもバカ王子は生かしておけば良かったんだろうけど、やっちまった責任はある。でも、摂政や関白はマリアやミリスベルがする方が良い。押し付けよう、だから俺にそんな話振ってくるなバカ貴族ども。
そんな事を考えつつ、バナナ入れてこようとするルチルを阻止しながら飯を握る。今日の朝ご飯はライスボール…つまり、おにぎり。あまり過ぎた鰹節の有効活用である。炙った海苔に鰹節醤油ご飯を乗せて握るだけ…男の手で握るからビックサイズですわ。
まあ、ミュゼットからの要望…「大きなおにぎり食べたいですわ」と久々に言われたから兄ちゃん張り切る。これにより、余ってもサンドイッチを余る程作らせない口実になるんだとか。カレー事件の教訓を守らせる為に。
まあ、日中はヤーマン家の使用人も来るし余っても良いと思うんだけどな…やっぱりただ食いたいだけか。最近、他の嫁ばかり構っているから拗ねてるんだなぁ…平等に愛するって大変だわ。




