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百十六話 やらかし結婚編51

周囲が若干殺気立っている気もするが、気にせず嫁たちと食堂でご飯。一般の立ち入りは食堂だけでなく色々許可出してんだから、羨ましく思うなら伴侶連れてこいや。カレーは騎士以外有料だけど。


なお、バナナ定食はバナナと肉の炒め物があり美味しそうだった。料理人やるな。俺はここでは食わないけど……絶対、近々朝夕の食卓に並ぶだろうし。


シルディナ嬢が俺の昼食にと選んでくれたのは麻婆丼、スープ付き。興味本位である…まあ、俺は食えるから良いけど、興味で味見したシルディナ嬢やマリアは辛さにやられた。シェリチェ嬢は辛いの大丈夫だった…俺やルチルの言う事聞いて味見しなきゃ良かったのに。


ルチル曰く、「赤いのは味を疑え」とか…まあ、一理ある。キノコ類とか特に……何か意味深な事言ったか、俺。セリーヌ、どうして頬染めるよ?


舌先をコップの冷水につけて冷やすシルディナ嬢とマリア…そんなので熱々のドリアなんて注文したもんだから大変。あーんとかしてあげたいけど、今回は無理だな。火傷注意…後、舌舐めて癒やしてあげたいとか思う俺の変態性も残念。


というか、騎士って基本バカ舌多いのねと再確認したお昼ご飯であった(辛さ足りないから一味唐辛子を足しながら)





さて、午後である…飯を含めて一時間の休憩なんて安っぽい事は言わない。休憩は90分。とはいえ緊急出動とか時折あるのが騎士団…近年は大きな事件無くても、小さな事件は多い王都…国の中心だもん、それはあるよ。


とはいえ、騎士団長が出向くような大事件があった事は少ない……おそらく、公爵ガトチュ事件が今のところ最後だろう。


そんな加害者と被害者である俺とシルディナ嬢。マリアみたいにキスしまくろうと二人でベンチまでやってきたのだが、拒否された……



「今キスすると、絶対辛いですよね…お兄様の唇」


「……そだね」


「それでもしたいですか?」


「………我慢する」



嫁の痛みは俺の痛み…我慢の子やでアレクくん。ぐっすん…自業自得だけど。ポケットに入れてた飴でも舐めよう。シルディナ嬢にも当然渡す…迷子をあやす為にいつも入れてる七つ道具の一つさ。


さて、キスはメインの予定だったが、もう一つの話をしなければならない。昨日伝えられた現マクレガー侯爵の件だ。正直、今まではフィネット公爵家をはじめとする多くの後ろ盾があった上に表舞台はおろか軟禁状態に近い箱入り娘として手厚く保護されてきたシルディナ嬢…


だが、これからは違う。俺の嫁としてもだが、王家の手伝いとしても優秀な彼女は表舞台に立つ事となる…個人的には監禁して毎日ぺろぺろしたいけど。それだと公爵と大差ない…



「……そうですか。無視してくださって構いませんよ」


「それで良いのか…何なら滅ぼしても構わないんだぞ?」


「気持ちは嬉しいですけど、おそらく国王陛下が存命の間は公爵に戻る事は無いでしょうし…お兄様は大公爵。つまりは国王陛下の次に偉くなったんですよ? 侯爵如きの戯言をいちいち聞く暇なんて持たなくて良いんですよ」



なるほど…世が世なら小国の主になってもいい地位。嫁の実家の影響力さえ蚊みたいなもの…まあ、毒親毒家族なら思う存分権威執行して良いと。


出自の分からない生き物にそこまで権力与えてどうすんだとも思わなくないが、嫁守る為なら良いかとも思う。ましてや、侯爵の異母兄以外は血の繋がりも無い赤の他人…遠慮する必要は無い。いざとなれば俺が実効支配しても良い…民に刃を向けた前当主への怨みだってあるだろうからな。


それでも、家に居た時に一人くらい優しくしてくれる使用人とか居なかったのかと尋ねるが、居たらあんな境遇にはなっていないか。俺の嫁たち、なまじヒロイン力強いのよ。その中でも虐げられる異母妹なんてポジションよ…普通なら逃げて冒険者とかになってもいい境遇。それをどうにもしなかった使用人はクズだ。


将来的には、使用人を雇い入れなきゃ回らなくなる我が家…メルとアンが居るから大丈夫とは思うが、そういう使用人は雇い入れたくない。まあ、ヤーマン家の使用人は優秀そうだからそのまま迎え入れたら良いんだけど。


人の家見て我が家を直せってか。近隣の土地買って拡張工事しようかな(違う違うそうじゃない)

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