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百二話 やらかし結婚編37

日曜日の昼下がり。毎週その時間に炊き出しが行われる…昔はミリスベルと俺だけで始めたが、今では多くの貴族や学生が参加するマルシェみたいになってる。当然、無料配布…節税対策としても各地で人気なんだと。


何処ぞの最狂信者に言わせれば、その元祖であるミリスベルと俺は聖女・聖人…とはいえ、俺たちだって本業忙しいので今では主にエレーヌさんが取り仕切ってくれている。


最初は高貴な方のお遊びとお情けとして批判してきた急先鋒がエレーヌさんだった。そこで漠然と「一食浮けば夕飯にありつける人がいるかもしれない。おかずが一品増えるかもしれない。それだけで十分です。所詮道楽です…感謝なんてしなくていいんです」って言ってのけたミリスベルは格好良かった……元は俺の台詞じゃなければ。


今日も今日とて一番人気は王女直伝(嘘)の洋風豚汁のブース。無論、俺が考案したメニューである。ごった煮ともいう。具沢山、すいとん入り。野菜も取れて腹も膨れる…今や多くの料理が提供される中であっても不動の人気なのが不思議。


まあ、そこはミリスベルの人気…という事にしておこう。セリーヌと俺が手伝い始めたら列が四倍に増えた。今日は俺作ってないねん…




炊き出し終了後、余った食べ物をいつものように沢山もらって、この間までレシアが暮らしていた部屋で食べる…今はエレーヌさんが暮らしている。


レシアからのささやかな恩返し…土壁の寒々しい家から移り暮らせるように仕向けたと。育ての親みたいな人に少しでも恩返ししたいと…おちんぎんで家賃払うって言ってた。


いや、ヤーマン家が既に買い取っているんだけどな、この部屋。つまり、リテラはお金受け取らないと思う。受け取るようなら躾ける。



「それで、セリーヌは昔から『騎士様のご飯を毎日食べたい』って言って…それが叶ったんだからって、食べ過ぎてないだろうね。この子は…」


「うっ…」


「まあ、セリーヌは昔から健啖家ですからね。騎士は体が資本ですし、人数も人数ですから沢山作るので…」



母親にくっころ並みに恥ずかしい過去を晒されるセリーヌ…だが、沢山食べる子は好きだし、セリーヌは炊き出し当初から沢山食べてくれる良い子の一人だったので昔話は微笑ましい。言われた本人はたまったもんじゃないだろうが。


エレーヌさんは、肝っ玉母さんである。それこそ、俺やミリスベル以上に聖人扱いされて良い…だって、俺らが始めたガキの戯言に乗っかってレシアだけでなく周りの浮浪児たちを育ててきたおばちゃん(まだ若い)連中の中心。


昔は何処かの貴族の屋敷で働いていたらしく、それこそ俺たち以上に親身になって子育てに関わってきた……セリーヌの父親が貴族であるんだろうなぁと推測はするが口にはしない。見つけたら叩っ切るけど。



「ところでエレーヌさん…俺たちに子どもが出来た時は子育て手伝ってもらえますか?」


「せ、先輩…いきなり何を…」


「先の事は決めとかなきゃだろ。エレーヌさん以上に親身になって子育てしてくれる人を俺は知らない…勿論、専用の使用人は雇うけど何があるか分からないからな。他の義両親は貴族ばかりだし、フットワーク軽いエレーヌさんに手伝ってもらえれば安心だろ?」



実際、ミュゼットはそれで攫われかけたわけだし、親の愛情足りてないのが多い我が家…特に俺。子どもしばき倒すクソ親父になりそうで恐怖。


というか、中世の平均寿命とか世界情勢とか日頃の恨みつらみとか鑑みると俺長生き出来ないはず…祖父母に会った事すら無いし、俺と同い年のリテラの両親が先頃死んだらしい……


義理でも親孝行して孫の顔とか長く見せたいわけよ。よし、今夜はハッスルするぞー。エレーヌさんも「任せとき」と了承してくれたし。


結果、親の前で子作り頑張ると言ったようなもの…セリーヌが「くっころ」と叫んだかは想像に任せる。顔は真っ赤だったとだけヒント出しとく。

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