百一話 やらかし結婚編36
それぞれの左手を取って指輪をつけて選ぶ…全員、柔らかくてすべすべの小さなおててですわ。触るだけでドキドキするアレクくん…俺、こんなに純粋だったっけ?
圧倒的にスキンシップが足りてないのよ。手を繋いでデートとか、もっとしなきゃならない。風呂やベッドだけでなく、日常的にしなきゃならない。思えば恋人期間もないまま結婚生活突入である…ケダモノ、理性を覚えるの巻。
それぞれに似合う結婚指輪を選ぶ事が出来たと思う……デザイン全然統一出来なかったけど。嫁が気に入ればそれで良い。
シークレットストーン入れるしサイズ合わせとかでお渡しは一ヶ月後だけど。その後でジューンブライド開催決定。
どうやら、教会で結婚式挙げて王城で披露宴するんだと……ねぇ、早くない。そういうのは夫婦で決めるもんじゃない。一年くらい猶予持ってやるもんじゃない?
そう問うたけど、もう何年も待っているとミュゼットたちに言われた。もうウェディングドレスもアンの分までは発注済み。ミリスベルとリテラの分もこれから採寸予定なんだと…慌ただしい。
「というわけで、アリスベル様への報告はワタクシが行きますね」
「わっちは教会に伝達してきます」
「私めは王城の段取りを。ミュゼット様は招待客への手紙をお願いします」
「分かってるわ。お父様たちには六月には式を挙げる事は伝えているし、来るとは思うけど…」
もう既に嫁たちの中では色々と決まっていた様子。まだ結婚して数日ですよ…むしろ、俺が拒むとか一抹の不安も無かったのね。信頼されてるなぁ……なのに、なんか虚しい。
いや、結婚式ってのは男がどうこうする場ではないのは分かっているのよ。女の子がウェディングドレス着て、バージンロード歩いて、男とエセ神父の前で永遠の愛を誓ってキッスするまでがテンプレ。なお、洋式の場合のみ…
……え、十六人全員とキッスするの。暴走モード入る気するわ、俺。ダミー◯ラグ並みにハッスルするわ。事前練習必ず必要…
それに披露宴するなら友達とか呼ばなきゃ……ダチは嫁になった。同期の騎士で仲良い奴は皆無といっていい…よし、強権で部下参加させる。分隊の隊長と副隊長は強制な…ルチルとセリーヌは嫁側だけど。
それぞれがそれぞれの使命を持って一旦解散…昼飯にするにはちょっと朝ご飯が遅かった。まだ誰も腹減ってない。取り残されたのは俺とセリーヌ…指輪選んでいる間に色々と決められていたようである。嫁の結束力強いのはいいけど、俺も混ぜて欲しい。
「セリーヌ…何処行く。ゴブリンのいる洞窟行ってくっころする?」
「先輩、それやめてください…今日は母が炊き出ししているはずですから手伝いに行きたいです」
「エレーヌさんの手伝いか。俺は構わないけど…まあ、そうだな。セリーヌが分隊の副隊長になったって報告もしないとだし」
「…先輩。勝手に副隊長にしないでください」
いや、もう決定事項よ。今度の隊長会で提案するし…というか、ルチル支えられるの他には居ない。バナナの彫り物した指輪が良いとかいうんだぜ…普通の買ったけど。
むしろ、おちんぎん上げて母親のエレーヌさんにもっと沢山仕送りしてやれるように配慮する俺のささやかな親孝行の後押し…または騎士団の私物化よ。
親は大事にしないといけない。特に母親………周産期医療とか新生児医療とか全然発達している様子の無さそうな中世。子ども産むのも命懸け。俺は絶対出産に立ち会って小聖回復使って嫁も子も助ける覚悟。
そういえば、俺の母親って誰なんだろう。戸籍欄空白だったし…紫色の髪の家系で俺だけ紺色だし。他国の王族とかってパターン無いよな?(フラグじゃないし、そんなの要らない。これ以上の地位要らない)
……俺、もしかして捨て子ザウルスのパターンあるかも。




