百話 やらかし結婚編35
大公爵アレクシール・カノーラ爆誕……なんでやねん。その場のノリだけで陛下が任命してきた。近日叙勲式開催…
まあ、騎士団長は続行。おちんぎんが倍の倍の倍になるよ。チンチロリンより多いね…五倍付け。必要分以外は寄付しよう、金の持ちすぎ身を崩す。でも、お小遣いの増額希望…二人も増えたんだから手土産分増やしてもらおう。
結局、報告以外は王家の冷めた朝ご飯食べるだけであった。多分、ミリスベルとマリア以外緊張しすぎて味分かってないと思う。
「…どうしてこうなったんだろうな」
「アレクシールが女たらしだからだろ」
「…そだな。レシアの言う通りだ…だからって大公爵は無いだろ。領地無しで大公爵ってただの笑いものだろ。創作物でもこんな成り上がりストーリーそうそう無いだろ」
「小兄様。陛下のご意向ですし、いいじゃないですか…王太子になれと言われたわけでなし」
指輪を買いに行く馬車の中、愚痴っているだけなのだがレシアやミュゼットが俺を宥める…まあ、国王なりに守ってくれようとしてるのは分かる。
我が子のバカ王子を手にかけた一方で、その姉妹を娶る事になったわけだし……根本的な問題は性教育が足りてないって事。それが悲劇を生み出した…そこら辺はこれから考えていく事として…
さすがに今後の事考える必要ある…大公爵なんて地位で元辺境伯の屋敷に住み続けられるか問題。部屋はあるんだ…使用人部屋改装すればなんとか追加で二人は入れる。が、ヤーマン伯爵家の使用人たちはどうするって話。
後で全員で会議確定。どうせアホの子アレクくんでは解決しない問題…とりあえず指輪が先だ。
*
王家御用達のアクセサリーショップ…何なら俺の行きつけ。ここでネックレス買った…うん、買ってない嫁へのネックレスも追加で購入する。掛け払いしてくれる優良店なのよね。クリスティーナ嬢の両親経営する店の一つだし。
さて、ここに来て論争勃発…シンプルなプラチナリングを望む派と、どうしても宝石付きのリングを望む派。後者、俺のみ……いや、俺が着けるのは本当にシンプルなので構わないんだけども…
「大公爵が嫁に宝石無しの指輪贈ったとか嫌じゃないか?」
「皆様、騙されないでください。こんな事を言って小兄様はわたくしたちを甘やかしたいだけですわ。大公爵だろうが大根だろうが散財していると思われたら、それは隙です」
「大好きです、ミュゼット。だからいっぱい甘やかさせてください」
何処ぞの炭酸みたく憂いを帯びて笑顔で言ってみたら、「そこまで言うなら仕方ないですわね…」とチョロイン発揮のミュゼットたん。それを皮切りに口説き落としていく…女たらしという目で何人かに見られた。主に店員…
結局、お互いに妥協してリングの内側に裏石…所謂シークレットストーンで入れる事にした。え、そんなのやった事ないとか言うな店員。特注代金は出す。サイズ直しも対応してるな…ならヨシ。
「…アレクシール卿って、色々詳しいですね。もしかたら、アタシより詳しいかも…」
「クリスマスプレゼントに指輪贈るか真剣に悩んで色々調べたからな…さすがに気持ち的に重いからネックレスにしたけど。今日は遠慮しないからな…後はそれぞれ好きなデザインの選んでくれ。値段とか気にするなよ」
「アレク兄様。そこは一緒に選んでください…全員分」
「そだな…でも、俺のセンスないのは分かってるだろ」
メルはネックレスを見せてくる…「私、気に入ってますけど?」と言って。店員さんに手伝ってもらって選んだんだ…悩んで悩んで。
まあ、何時間でもかけてやるばい。今日はほぼ貸し切りみたいなもんじゃけん…セリーヌとのデート時間が減るけど。




