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其の二:マサコとリョウヤ

「先生、どうして子供はエロ本読んじゃいけないんですかあ」

「…それは、判断力の問題よ」

「えーっ、失礼ですよ、僕たちだって性教育の授業で色々知ってるじゃないですか」

「だけど、ああいうイヤらしい本やビデオというのは、正しくない情報を大量に含んでいるから」

「SMプレイとか?」

「そ、そうね」

「だけど先生、僕たちだって木の股から生まれた訳じゃないんですよ」

「そうね…いえ、そういうことじゃなく…」

「お父さんとお母さんがセックスした結果僕たちがいるんでしょ」

「そうね、でも、本やビデオのは大袈裟にしてあって、不健康だったり犯罪的だったりするの」

「じゃあヤりすぎると馬鹿になるって本当なんですか」

「いえ、それは嘘だけれど…それにそれは自慰のことよ、リョウ君」

「だったら大丈夫ですね」

「大丈夫じゃないわ、第一法律で決まってるんだから」

「法律で決まってるから駄目なんですか」

「いいえ、駄目だから法律が出来たのよ」

「…先生。『悪影響』ってどういうことですか」

「本やビデオの?…それはね、いけないことをそうと理解しないまま子供が真似てしまうことよ」

「そうならないために性教育があるんですよね」

「ええ、そうよ」

「だったら、性教育で十分な知識を身につけた今、僕たちはエロ本を読んでも大丈夫なんじゃないんですか」

「…いいえ、駄目です。先生が許しません」

「先生はエロ本にあるみたいなセックスしてないって言い切れるんですか」

「まあっ…何て…」

「言い切れなかったら僕たちの勝ち…言い切れたら先生の勝ち」

「…ありま、せん」

「こいつは…嘘をついている味だ…」

「ちょっと!」

「このコーヒー砂糖入れすぎですよ」

「してないったら!」

「えーっ、エロ本ってノーマルなのも扱ってますよ」

「……!」

「先生恥ずかしーい」

「…あのね、よく聞いて。アダルト本やビデオは、本当に嘘だらけなの。大人の人はみんな、あそこに描かれるセックスが現実とはかけ離れてるって知ってるの」

「じゃあアダルト業界って夢を売る仕事なんですね!わかりました!さようなら!」

 

「な…な…」

 リョウヤ君は風のように去っていってしまった。

 立ちすくんで小刻みに震えていたマサコ先生は、突然、職員机のコーヒーを一気飲みし、激しく咽せた。

「なんて悪い子なんでしょうッ!ガボッ」


読んで下さり本当にありがとうございました。この回は全文是ネタでございます。宜しければ、ご意見ご感想などお聞かせ下さい。

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