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第1章 灰目の少女と藍目の少年への依頼

剣も魔法も存在する世界-その中で、数ある小国の1つ、シンシア王国。水に囲まれた地形のため水源に困ることはなく、そのため作物の出来も良い。諸外国との関係も特段悪いことはなく、王の治世も穏やかで争いのない平和な国だ。


最も、王侯貴族様の顔の下でどれだけの怖いやり取りが行われているのかなんていうのは、庶民の知ったことではない。




そんな王国にあるギルドの1つ、ヒアリール。




初代ギルドマスターの最愛の女性の名前から取られたというその名前を掲げたギルドでは、3人の男女が顔を合わせていた。



1人は、初老の男性。

1人は、黒髪、藍色瞳の少年。

1人は、焦茶色の髪に、灰色の瞳の少女。



「それで、お嬢さんを探して欲しいという依頼ですが、お嬢さんが家に帰らなくなったのはいつからですか?」



少年の言葉に初老の男性は困ったように眉を下げた。



「一昨日の朝、新しく仲良くなった女性と共に城下町へ出かけると言ってそこから……」

「なるほど。その友人の名前や顔などわかりますか?」

「申し訳ないのですが、そこまでは……」



男性の言葉に、少年は小さく溜息をついて、メモしていた手帳を閉じて、立ち上がる。



「とりあえず、先程お伺いしたカフェに、写真を持って行ってみます。なにかわかり次第連絡しますのでお待ちください」



少年の言葉に、男性は深く頭を下げた。それだけで、この男性が娘を心から心配しているのが少年少女にも伝わってくる。



貴族、商人、それなりの地位に居そうな男が、ほとんどが庶民で構成されているギルドに対して頭を下げるのだから。プライドより娘の方が大事ということか。


その様子に、今まで一言も発してない少女が僅かに口元を持ち上げる。それを見た少年はこめかみを抑えながら、彼女に立つように促した。その際、初めて男性と少女の目が合う。



「行こう。フィア」

「あ……」



フィアと言われた少女は己の唇に人差し指を当てて、にっこりと笑った。そして、軽く会釈だけして立ち上がり、少年に続いてギルドを出ていった。



一方、残された男性は漏れ出た言葉をそれ以上続けれず、驚いていた。彼女と目があった時、その灰色の瞳が一瞬、ほんの一瞬ではあるが、紅に見えたのだ。



まさかな、と男性は思い直す。紅はこの国の王家の証。王家の者がギルドに所属しているなんて考えられない。それに少女が瞳は灰色だったはず。紅ではなかった。たとえ、誰かに聞かれても、彼女の瞳はー



「灰色だったな」





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