「制服がセーラーなのここら辺じゃ青陵だけじゃん!」
入学式から1週間経った。
新入生の特別な時間割は終わって、通常通りの時間割、そして部活が始まる。
皆は憂鬱かもしれないけど、私は違う。
真新しい制服に身を包み、私はウキウキとした気持ちで学校へ行く。
なぜなら私の夢を叶えることができるかもしれないからだ。
小学生の頃から抱いてた夢。
青陵高校は全生徒が何かしらの部活に入らなきゃいけない。
そういう校則があるからか部活を創るハードルは低くて、部員2人以上で教頭先生からの承認が貰えれば部活を作れる。
私は写真部を創りたいからこの学校に入学した。
写真部を創って、私だけの可愛い女の子写真集を作るのが私の夢だ。
部員は集まっている。私と幼馴染の美樹。美樹は最初嫌がってたけどお願いし続けてたらOKしてくれた。
あとは教頭先生からの承認が貰えれば、晴れて写真部結成だ。
放課後になって私は早速、教頭先生の所に行って、創部届を出す。
教頭先生は厳しそうな見た目の女の先生だ。
「創部したいんですか? 珍しいですね」
「そうなんですか?」
「えぇ。昔は部活の数も少なかったのでそれなりに居たんですが、今では沢山の部活があるので滅多にないですね」
教頭先生はそう言って私の渡した創部届を見てくれる。
「写真部ですか……」
教頭先生のすらすら動いていた目の動きが途中で止まる。そして手をワナワナ震わせて、
「こんな部活承認できるわけないでしょう!」
突然怒り出した。
怒られる理由がよく分からないから戸惑う。
「どうして駄目なんですか?」
「活動目的が私的すぎます。部活動ということは部費が出ます。私的な物に部費は出せません。どうしても写真部を創りたいならそこらへんをもう一度考えなさい」
教頭先生から創部届を返された私は自分の教室に戻った。
教室には美樹しか残ってなかった。
私は自分の席に座って机に突っ伏す。ちょっとひんやりした机の感触が頬に当たって気持ちいい。少し元気が戻った。
「ちょっと茜。どうだったのよ」
美樹が机に触れてない反対側の頬をツンツンしながら聞いてきた。突っ伏したままだとずっとツンツンされそうだから顔を上げる。
「駄目だった」
「どうして?」
「私的な活動目的の部活は承認できないんだって」
「活動目的? 何て書いたの?」
創部届は私が全部書いたから美樹は創部届に何を書いたのか知らない。
「可愛い女の子写真集を作る」
「は?」
「可愛い女の子写真集を作る」
「いや、2回言わなくても聞こえてるから」
美樹は私の持ってた創部届を取って読む。
「うわっ本当に書いてある」
美樹は信じられないものを見たっていう感じで言う。
美樹には私の夢をずっと言ってきたのに今更何を驚くんだろう。
「まさか本気だったの? 可愛い女の子写真集」
「もちろん。何の為に必死に勉強してここに入学したと思ってるのさ」
青陵高校はここら辺じゃ1番の難関校だ。私の学力ではちょっと厳しかったけど、美樹に教えてもらいながら必死に勉強した。夢を叶える為に。
「凄く今更だけど写真部なら澄川にあるんだからそっち行けばよかったんじゃないの?」
「澄川じゃ駄目なんだよ。青陵じゃなきゃ」
「何で?」
「制服がセーラーなのここら辺じゃ青陵だけじゃん!」
そう。私は制服は断然セーラー派だ。
ここまで読んでいただいてありがとうございます。
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