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「ようこそ。写真部兼学生相談部へ」

 放課後。

 職員室で私は、鈴木先生から1枚の紙を貰う。


「もっとかかると思ったんだけど……ちなみにどこに入る予定か聞いてもいい?」


 そう。貰った紙は入部届だ。

 昨日の1件があったから、私は写真部に入部してみようと思った。他の部活に入るよりはいいんじゃないかって。

 東条さんがうるさそうだけど、ストッパー役の上原さんも居るから、多分大丈夫だろう。


「写真部に入ろうかなって思ってます」


「写真部? ……あぁ東条さんの部活ね。仲良さそうで良かった。でも、1つ注意よ。東条さん達の部活は写真部じゃないの」


「違うんですか?」


 東条さんも上原さんも写真部って言ってるから写真部なのだと思ってた。


「創部の時に色々あってね。学生相談部っていうのよ」


「学生相談部? 写真と全く関係ないじゃないですか」


「そこらへんは東条さんに聞いたらいいんじゃないかしら。どうせ、入部届の部長署名欄に名前書いてもらわなきゃいけないんだし」


 私は職員室を出て、写真部……じゃなくて学生相談部の部室へ向かった。

 1度教室を覗いてみたけど、東条さんの姿はなかったから部室に行けば会えると思う。


 扉の前でスーハーと大きく深呼吸。


 昨日は気づかなかったけど、入り口横に手作り感満載の看板が立て掛けてあった。


 その看板には、写真部とデカデカと書かれていて、その横に小さく学生相談部 気軽に相談してねと書かれていた。


 ドアをノックすると、中から知らない女の子が扉を開けてくれた。


「ようこそ。写真部兼学生相談部へ。何かお困りですか? 私達が相談に乗りますよ」


 東条さんとかが出てきてくれると思ったのに、知らない子だったからさっきまで言おうとしてたことが飛んでしまった。


 私達の間に沈黙が流れる。


「どうしたの? ゆうちゃん。中に入ってもらいなよ」


 ずっと黙ったまま入り口に居るのを不思議がった東条さんがこっちへ来た。

 女の子が壁になってて、入ってきたのが私だって最初は気付いてないみたいだったけど、ようやく気付いたみたい。


「うわー! 花凛ちゃん!! どうしたの? 何か用事? 用事が無くても大歓迎だよ!」


 入ってきたのが私だと気付いた東条さんは、テンション高めに私の手を引いて中に入れてくれた。

 中には上原さんも居て、他にもう1人知らない子が居た。

 部屋の真ん中に置かれた大きなテーブルを見るとトランプが散乱してて、今までトランプしてたんだなって思った。


 東条さんが用意してくれた椅子に座る。

 部屋に居る全員が私に注目している状況はとても緊張するけど、言わなきゃいけない。


「……入部したいなって思って」


「ようこそ! 歓迎するよ!」


 東条さんは前のめりに体を近づけてきた。


「コラ、茜。内藤さん困ってるでしょ。離れなさい」


 上原さんが東条さんを引き離してくれる。


「ちなみにどうしてここに入部したいのか聞いてもいいかな?」


 上原さんが聞いてきた。

 聞かれるのは予想してたけど、いざ聞かれるとなると恥ずかしい。

 私はチラッと東条さんの方を見る。


「3年の中途半端な時期に入部しても大変だけど、ここならそうでもなさそうだし。……それと東条さんのこともっと知りたいって思ったから」


「私?」


「うん。昨日のこともそうだけど、東条さんのことをもっと知りたいって思ったの。駄目かな?」


 東条さんの行動原理は理解不能だ。昨日のことをとっても私には理解できない。だから近くにいれば、少しでも理解できるようになるんじゃないかって思った。


「えへへ……嬉しいな。花凛ちゃんにそう言ってもらえて。これからもよろしくね」



 入部届の部長署名欄に東条さんの名前を書いてもらう。


「そういえば、ここって写真部じゃないの?」


「うん。正しくは学生相談部。写真部じゃないんだ」


「……どういうこと?」


「これには深い深い理由があってね。長い長い悪魔との戦いの結果なんだ」


 そういって東条さんは、この部活を創部した時の話を語りだした。


ここまで読んでいただいてありがとうございます。

次回からは過去編で茜視点です。

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