第1話 初めまして
目を開けた。少し眠い。
もう少し寝ていようか。
そう思い二度寝しようとし、ふと気付いた。
「ここ、どこだ…」
俺は19歳の大学生だ。
都内の大学に通っていて、顔は普通。大学のない日はバイトをして、友達と遊んで…いたって普通の大学生活だった。
今日が来るまでは。
ここがどこかわからないので寝る気も失せた。そしてずっと日常に戻れなかったらどうしようと不安になり血の気が引いた…誘拐…?でも何で俺なんかを…顔がいい訳でもない…とりあえずここがどこかの手がかりでも得ようかと辺りを歩こうとした。しかし窓ひとつない、全体がコンクリートでできていて物1つおいてない殺風景な部屋に手がかりなんてものはなかった。いよいよ俺は死ぬのかと悲しくて怖くて悔しい気持ちになった。
何もすることがなくコンクリートの壁をずっと眺めていたら足音がした。そして近くで立ち止まった。何回も鍵を開ける音がした。厳重に鍵を閉めているのだろう。まさかそれが自分のいる場所の扉を開ける音だとは思いもしなかった。
「はじめまして。おはようございます。」
扉を開け最初にそう言った。
見た目…は…
俺は気付いたら床に寝そべっていた。




