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71.新弟子は百合かい?

アズベルにしばらくの間は自主練をさせるべく、訓練内容を伝えた番長。


本格的に教える前に、以前から約束していたアルシエルに魔法を教える事になった。

「そう言う事ならいいぞ。ワシらはアグレスにおるから用事があったら来ると良いじゃろ」


「おう、わかった」


 リアにゲートを出してもらってワシは家へ戻った。アズベルは30センチの木を突き倒すには時間が掛かるじゃろうから、その間にアルシエルに魔法を教えねばならん。

 ルリ子にきゃらくたー交代じゃな!


 キャラクターチェンジ

  ユグドラ

 ⇒ルリ子

  しずか

  番長

  ディータ

  メイア

 ◆ 番長 ⇒ ルリ子 ◆


 体が薄く光り、自分の姿がゆっくりと変わっていく。


「アルに魔法を教えるって約束してどれだけ過ぎたかねぇ。ひと月どころじゃないねぇ」


 確かリアに魔法を教えて数日後の話しだったか?それからだから……まあいい。

 必要になりそうな物をバッグに放り込んで家を出るとリアが待っていた。


「アルシエルさんの訓練の間、私はどうしましょうか?」


「それなんだがね、お前はまだ一人で依頼をこなしたことが無いから、いくつか依頼をやってもらおうと思っている。簡単な物からやっていけばいいさ」


「あの、私も魔法を教えていただけませんか?」


「ん? リアは十分魔法が使えるだろう?」


「第9グループの魔法を教えてください」


 ああそれか。確かにリアには第9の存在を教えたし一度見せた。


「第9はねぇ、アタシもまだ解析中なんだよ。この前アズベルを実験台に使ったけど、まだまだ人に教えられる状態じゃないのさ」


「そう、ですか……」


 とてもガッカリしているねぇ。どうやら第8の成功率が中々上がらない事を気にしている様だけど、アタシの予想ではリアの魔法スキルは90~95だ。ここからは簡単には上がらないだろうねぇ、ゲーム時代でも数日戦闘を繰り返して0.1上がるかどうかだったよ。


「焦ることは無いよ。ユグドラでも第8の成功率は50%程度だ。魔法を使うようになって1~2か月のリアが第8を成功させてること自体が驚異的なんだ、じっくりやればいいさ」


「はい、わかりました」


 一応理解はしてくれたが納得はしていない顔だねぇ。この世界の魔法使いは本当に貪欲に魔法を知りたがるね。


「じゃあアグレスへ行くよ、ゲート」



 

 ゲートでアグレス近くの森の中に来た。

 ん?気が付かなかったけどもう夜じゃないか。アズベルの相手をしていて時間を食っちまったねぇ。まあどっちにしろ今日はアルに魔法を教えられないから、ギルドに顔だけでも出しておこうかねぇ。

 ナイトメアに乗ってのんびりギルドへ向かうか。


 冒険者ギルドに到着した。中に入るとあまり冒険者がいないねぇ、この時間は暇なのかい?


「お姉さま!」


 アタシに気づいたアルが、受付カウンターから小走りで出迎えてくれた。


「久しぶりだねぇアル。随分と待たせちまったが、リアの訓練が終わったからお前の番だよ」


「本当ですか! ありがとうございます !やっとお姉さまの弟子になれるんですね」


「それなんだがね、今から外出できるかい? 弟子になる前に教えておかなきゃいけない事があるんだよ」


「今からですか? えっと、今は私一人しか受付が居ないので、待っててください、いま何とかしますから!」


「私が受付をやりましょうか?」


 慌てふためくアルにリアが提案した。


「私は王都で、臨時ですが受付をしていましたので、暫くなら大丈夫だと思います」


「そうだね丁度いい、構わないかいアル」


「はい、是非お願いします!」


「よし。リア、アタシ達は家に戻る。しばらく頼むよ」


「わかりました」


「アル、付いておいで」


「はい」


 ギルドの2階に行き、打ち合わせによく使う部屋に入ってゲートを出した。


「これにお入り。家に繋がってる」


「わ、わかりました」


 どうやらゲートに入るのに抵抗がある様だねぇ。ドラゴンが出てくるんじゃないかと不安なのかね。えい、という掛け声とともにゲートに入ったからアタシも行こうかねぇ。




 10分も経たずにアグレスのギルドに帰ってきた。


「問題は無かったかい? リア」


 2階から降りてきて受付カウンターにいるリアに声をかけた。


「お帰りなさい。誰も来ませんでしたから。随分と早いですけど、もう終わったんですか?」


「ああ、拍子抜けするくらいにアッサリ終わったよ」


「アセリアさんアセリアさん! やっぱりお姉さまは特別なんですね! アグレスだけでなく世界を救うために生まれてきたんです!」


 そう、キャラチェンジの話しをしたら、神の御使いだとか天使さまとか言い出して困ってしまったよ。ある意味では神の使いかもしれないが、こっちから頼んだ事とはいえ、理由も分からず放り出されただけだからねぇ。


「やっぱりそうですよね! 特別な存在ですよね!」


 あんたもだったのかい?リア。


「まあ話しが早く終わったのは助かったよ。それでいつから修行に入れる?」


 ギルド受付の引継ぎがあるだろうから数日は掛かるかもしれないねぇ。


「そうですね、流石に直ぐという訳にはいきませんので、明日からでお願いします」


「それは直ぐとは言わないのかい?」


 今はもう日が沈んでいるんだよ?ギルドの仕事はどうするんだい?


「アルシエルさん凄いんです。受付表に事細かにメモが書いてあって、誰が見てもすぐに対応できるようになってるんです」


「いつ何どき緊急事態が発生するか分かりませんので、常に最大限の事をやっています」


 メガネのフレームをつまんでクイッと上げた。なんだろうね、頼もしい仕草だね。


「なら明日からやろうかね。仕事が終わるのはいつだい? それまでに宿をとってくるよ」


「お姉さま、まさかと思いますがアセリアさんと同じ部屋で寝るのですか?」


「? ああ、二人で泊まる時は一緒に寝てるねぇ」


「私の家にお泊り下さい! 部屋には余裕がありますので大丈夫ですから!」


 なんだい、いきなり大きな声を出して。まあ宿代が浮くのならいいがね。


「ならそうしようか。夕食はどうする?」


「私が作りますので、是非召し上がってください!」


「へぇ、アルは料理が上手いのかい?」


「はい! きっとご満足いただけると思います」


「そうか。なら楽しみにしているよ」

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