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64.祠へ

エル・ド・ランの駐屯地で騎士団と冒険者が大量発症したと報告され、一体原因は何かと頭を悩ませる一行。


そんな中で気になっていた青いビジランティの花の報告をする。


植物に詳しい冒険者も青色は聞いた事が無いらしく、アセリアと色々な意見を交わす。


そんな時、ブラスティーの腰巾着がビジランティの花を調合して騎士団に飲ませたという。

薬剤師の知識も何もないのに、だ。


その事で質問をするアセリアに傲慢な態度を取る腰巾着にイラ立ち、とがめるユグドラ。


逆上してユグドラに襲い掛かるも、今度は小型の斧を使ったユグドラに軽く倒されてしまう。


しかし青いビジランティを摂取した事が発症の原因である事は疑いなく、新たに部隊を再編して調査へと向かう。

 数日後にはマイネの村に到着し村長に挨拶に向かったが、なんと村人が発症してしまったらしい。どうやら青いビジランティを調べに行った者が凶暴になったらしく、狩人組織のメンバーが総出で取り抑えた様だ。


 幸い調べに行った者は戦いには向かない体格だったので、怪我人は出なかったらしい。

 俺達が余計な事を教えてしまったせいだろうか……言わなければ発症しなかったのに。


「お気になさらず。あそこは山に入る時は必ず通りますから、早かれ遅かれ誰かが見つけていましたよ」


 俺達を気遣う言葉をかけてくれた。村長は優しい人だな。


「しかし狩りはともかく、薬草採集はしばらく見合わせた方が良いでしょうね。村にとっては痛手ですが仕方がありません」


 村にとって収入源となる薬草などの販売が出来なくなるのは厳しいだろう。

 しかし暫くは我慢してもらうしかない。


「一刻も早く原因を突き止めてきます。なので暫く待っていてください」


「よろしくお願いします」


 頭を下げる村長に別れを告げて早速山へ入る事にした。




 まずは温泉を目指すが、騎士団には口が酸っぱくなるほど繰り返し注意をしておいた。あそこでの戦闘行為は厳禁だ。


 洞窟に入り奥へ奥へと進んでいくと、やはり何度もモンスターや獣とすれ違う。場合によっては一緒に温泉へと向かった。

 洞窟に入ってからも青いビジランティが無いかと注意していたが見当たらなかった。


 そろそろ温泉が見えてくるはずだ。温泉の湯気が濃くなり硫黄の匂いが強くなる。

 温泉が見えた。前と同じで沢山のモンスターや獣が湯治場として使っていた。

 温泉がわき出している場所を確認し、温泉周囲の調査が始まった。


 暫く調査を続けたが、やはり周囲には何もない。こんな暑くて湿度が高い岩場に何があるのかと思っていたが、やっぱり何もなかった。

 わき出している場所を掘り起こして水源を探すという手もあるが、現実的ではないな。

 なので次は青いビジランティがあった廃虚を目指す。




 廃虚に到着し、ビジランティがあった場所を確認した。以前来た時に簡単な囲いを作ったのですぐに見つかったが、どうやら花は摘み取られている様だ。村人が調査のために持って帰ったのだろう。

 なので他の場所に青いビジランティが咲いていないか調べる事にする。

 廃虚の中には無かったが、森の中で1本見つけられた。やっぱりピンクの花の中にポツンと青い花が咲いている。

 他にもないか探したがこれ1本だけだった。


「さてコレをどうする? 周囲には原因となりそうな物は無いし、コレを摘み取ったところで何かが分かるわけでもない」


「花の成分を調べたりしないの?」


 花を持って帰るつもりだったのだろう、リアは一歩踏み出していた。


「ブラスティー、回収した温泉はすでに提出してあるが、何か分かったか?」


「何も分かっていない、ただの温泉だった。わき水も調べてあるがただの水だ」


 騎士団で調べても何も分からないなら俺達が調べても分かる事は無いだろう。植物に詳しくなくても成分の調査なら国の機関の方が上だ。


「私達が摘み取って、誰かが発症する事は避けたいわね」


「そっか、下手に調べて凶暴になっても困るもんね」


 リアも納得したようだ。かといってこのまま放置しておくのも危険だ。


「じゃあこの花はどうする? 放置しておいて誰かが発症しても困るぞ。燃やすか?」


「そうだな、花周辺に油をまいて離れた所からエバンスのファイヤー・ボールで燃やすか」


「待ってアズベル。ファイヤー・ボールだと威力が高すぎて山火事になりかねない」


「うえ、そりゃまずいな。どうするか」


 エバンスが注意してくれて山火事は免れたが、ならどうしたらいいかとアズベルも悩んでいる。ん? 油があるのなら、紐にでも付ければ離れてても火を付けられるんじゃないかな。


「紐かロープでも持ってないか? 油で濡らせば離れてても火を付けられるぞ」


「お前、天才か!」


「ああ天才だ」


 花周辺に油をまき、紐を10メートルくらい離れた場所まで伸ばした。火打石で紐に火をつけると火はゆっくり花の方へと進んでいき、花の近くにまいてある油に火が付いた。

 炎で花の水分が奪われ、ゆっくりとしおれて徐々に燃えていく。

 青いビジランティにも火が付いた。後は放っておいても大丈夫だろう。


 しかしこれで手掛かりが無くなってしまった。


「被害の拡大は防げたが、調査も行き詰ってしまったな」


「そうだねぇ、じゃあ祠の御神体でもしらべてみるぅ?」


 どうやらケンタウリはあの祠が気になる様だ。一番最初に祠の話しを聞き出したのもケンタウリだったけど、祠とか御神体とか好きなのかな?


「これ以上ここに居て調べても、精々青いビジランティが見つかる程度だろう。ロマノフの村へ行くとしようか」

読んでいただきありがとうございます!


次回の更新は日曜日になります。

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